ダウとデュポン統合発表   2015/12/12

ダウとデュポン統合発表
化学最大手に、事業3分割

米国、総合化学首位のダウ・ケミカル社と同大手のデュポン社が、2015年12月11日、経営統合すると発表しました。

化学部門での売上高で独BASFを抜いて、世界最大の化学グループが誕生します。統合後は事業を分割して、3つの新会社を設立します。

幅広い化学製品を持つ強力な化学グループが登場することで、世界の化学企業は戦略変更を迫られることが予想されます。

統合後の新会社の社名は、「ダウ・デュポン」になります。時価総額は1,300億ドル(約16兆円)を見込んでおり、国内化学最大手の三菱ケミカルホールディングスの約13倍に相当します。

統合新会社の出資はダウとデュポンの株主が50%ずつ折半します。新会社の会長は、ダウ・ケミカル社のアンドリュー・リバリスCEO、CEOにはデュポン社のエドワード・ブーリンCEOが就任します。取締役は両社からそれぞれ8人ずつ選任されます。新会社の本社は2か所体制として、現在のダウ・ケミカル社、デュポン社の本社に置かれます。

米ダウ・ケミカル社とデュポン社は統合・分割を機に、成長余地の大きい農業関連や産業分野を強化します。
農業分野では、遺伝子組み換え種子などで、欧米競合との競争が激しくなりそうです。自動車や医療向けなどの産業分野でもダウ・デュポン連合の存在感が強まると予想されます。世界の化学メーカの勢力図が大きく変わることになります。

今回の統合のきっかけは、農薬・種子などの農業分野です。穀物価格下落やドル高の影響で、2015年第三四半期(7~9月)の農業分野の損益は、両社とも赤字に終わっています。特にダウ・ケミカル社は農業分野の売上高が、デュポン社の半分程度に過ぎず、事業継続には再編が不可避でした。

両社の農業部門は統合で、種子分野の売上高が米モンサント社を抜き、世界一になる見通しです。新興国では、現地企業が低コストで攻勢を強めており、ダウ・デュポン社は今後、規模のメリットを武器にして、これら新興勢力に対抗していきます。

ダウ・デュポン社は産業分野でも新たな展開を行います。両社が力を入れる自動車分野では、ダウ・ケミカル社は内装などに使われる樹脂、デュポン社はエンジン回りの特殊部品の耐熱素材などを供給しており、製品の重複が多くありません。統合の結果、品そろえが充実することにより、自動車メーカへの提案力が高まることが期待されます。

統合新会社は、農業分野、高機能材料、プラスチック・汎用化学品の3つの新会社に分割されます。それぞれの分野で相乗効果が見込めるほか、遺伝子組み換え種子のように世界シェアが一気に高まる製品も多く出そうです。

3つの新会社は、米国市場で、優位な体制を構築して、米国で稼いだ資金をアジアなど新興国展開に振り向けて、世界でさらに勢力を拡大する戦略を描いています。
今回、ダウ・デュポン社が、再編で参考にしたのが欧州の化学会社の動向とみられています。
独バイエル社は、2014年9月期に売上高の約3割を占めるプラスチック事業の分離を発表する一方で、医療や農業に特化した事業構造へ移行を進めています。
この他、欧州には、塗料最大手のアクゾ・ノーベル社(オランダ)や、特殊化学品のソルベイ社(ベルギー)など、単価の高い高機能化学品に特化した化学メーカが多くあります。何れもその分野ではシェアの高い製品を持ち、市場での評価は高いです。

ダウ・ケミカル社、デュポン社の統合で、競合他社は戦略の変更を迫られています。その中で、動きが注目されるのは、化学最大手の座を譲り渡す独BASFです。

BASFは、石油開発から、汎用の基礎化学品、更には自動車、電機、エネルギーまで手掛ける総合化学メーカです。汎用基礎化学品では、中国企業や石油メジャーとの競合が激しくなっています。

日本の化学メーカも高機能材料にシフトする戦略を進めていますが、なかなか進んでいない状況ですが、今後は再編の機運が高まる可能性があるといえます。

ダウ_デュポン売上構成比

 
日本経済新聞  2015/12/12 朝刊

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