インド風力発電、新たな主戦場に ものづくり、ひとづくり

インド風力発電、新たな主戦場に

風力発電が、世界的に普及が急速に進んでいます。現在、インドが新たな主戦場になっています。
政府が電力インフラの整備で風力を積極的に導入、発電能力は世界4位に規模になりました。現在、地場のスズロン・エナジーに加えて、スペインのガメサ、デンマークのヴェスタスなどの外資系が続々進出してきます。
2030年には、中国、米国に次ぐ世界3位の市場になる可能性もあります。世界市場を巡る攻防が激しくなります

地場スズロンの展開

インド北西部のグジャラート州に広がる荒涼地帯に、高さ80~120mの巨大風車が750基ほどがそびえたっています。ここはスズロンが運営する風力発電所です。州営の電力会社などに送電して、60万世帯分の電力をまかなっています。
発電所の近くにあるスズロンの工場では、作業員が風車の巨大なブレード(羽根)を組み立てています。周辺には風車を据え付ける土台や電気機器を製造する工場が集積しています。過去には、伝統工芸品が主産業だった一帯は、今ではスズロンの城下町に様変わりしました。

インドグジャラート州に広がる風力発電機

インドグジャラート州に広がる風力発電機
frm ”https://www.thehindu.com/business/Industry/tata-power-arm-to-buy-wind-farm-in-gujarat/article5214436.ece”

 

インドにおける脱石炭政策

インドで風力発電ビジネスが広がる背景には、インド政府の後押しがあります。現在主力になっている石炭火力は大気汚染物質や地球温暖化ガスの排出量が多いです。さらにインドで採掘される石炭は、一般的に質が悪いため発電には不適です。従って、発電用の多くは輸入に頼っています。エネルギー安全保障の観点からも「脱・石炭」が必要になっていました。
「南部や北西部などでは、風況が安定している。」(インド風力エネルギー協会;スブラマニアン会長)ことより、風力発電に力を注いでいます。

インドにおける風力発電機の分布

frm ”https://www.renewablesmart.com”

 

インドの風力発電

インドの2015年末の風力発電能力は、約2,500万kWで原子力発電所25基に相当します。これは、中国、米国、ドイツに次いで世界4位の規模です。
国際エネルギー機関(IEA)の推計では、2030年までに、発電能力は1億kW程度まで拡大して、ドイツを抜いて世界第3位の規模になる公算が大きいとのことです。
インドの総発電能力の中で風力が占める割合は2014年の8%から、2040年には13%になると推計されます。

インドの発電能力比率

frm ”日本経済新聞 2016/4/1 朝刊”

 

インド地場スズロン社の動向

インドの企業であるスズロンは、インドにおける風力発電拡大の機運をとらえて、インド国内に風力発電機の工場を次々立ち上げて、一時は国内い市場の50%以上の圧倒的なシェアを押さえました。現在は、インド国内10工場で年間1,700基(2,100kW発電機換算)の生産能力があります。米国や中国など17か国以上に輸出している実績があります。2015年3月期の連結売上高は1,984億ルピー(約3,400億円)になります。

外資の参入と発展

風力発電の旺盛な需要に着目した外資の参入も目立ちます。
ガメサ社は2009年インド南部チェンナイに、初めて工場を立ち上げました。インド各地の発電事業者からの受注を獲得して、本格参入から5年でスズラン社を抑えて、インド国内首位に成長しました。
ガメサ社のインド現地法人のカイマル会長は「世界最先端の製品をインド市場に合わせているのが我々の強みだ」と説明しています。研究開発では欧米の拠点と連携しており、発電効率が高く、砂ぼこりが多いインドの環境に合わせた風力発電機を投入する計画だそうです。
ガメサ社の2015年度の売上高は35億ユーロ(約4,500億円)で、風力発電機の売上げの29%がインドでの売上げでした。
カイマル会長は、「今後もインドが収益を上げ続ける市場であり続けるのは間違いない」と強調しています。
風力発電機の生産高で世界2位のデンマークのヴェスタスも、インド市場に参入しました。2015年11月に、ブレード(羽根)の新工場を設置すると発表しました。
世界3位のUSのゼネラル・エレクトリック(GE)は、2015年3月に、風力・太陽光向けのエネルギー貯蔵施設の実用化に向けた実証実験に参加すると発表しました。

スズロン社の巻き返し

スズロン社も巻き返しに動き出しました。欧州市場に進出するために2009年に買収したドイツの風力発電機のメーカを売却することを昨年(2015年)に決定しました。
スズロン社のタンティ会長は、「海外から手を引き、国内市場に注力する」と明言しています。同社では2016年中に新たにブレードの製作工場を3か所新設する計画を進めているそうです。

風力発電へのインド政府のテコ入れ策

インドでは、風力発電の普及に向けて、各州政府が固定価格買取り制度(FIT)をを導入しています。インド風力エネルギー協会によると、風力により発電した電力は、1kWh当たり約3~5ルピー(約5~9円)で、5~25年間買い取られるとのことです。
FITによる買い取り価格が高いとされる、日本の1kWhあたり22円(出力20kW以上)より安価な設定に思えますが、インドの一般家庭の電気料金は日本の3分の1から4分の1程度と推定されています。発電事業にとっては、収益を見込める水準であるといえます。

太陽光発電との関係

再生エネルギーとして、有力視される太陽光については、太陽光パネルの価格下落で、インドの太陽光発電機のコストは、石炭火力と同水準だそうです。
インド政府は、2022年までに太陽光発電の能力を風力を抜く、1億kWにする計画とのことです。
ガメサ社が、インド南部のタミルナド州で、太陽光発電所の設計や建設を受注しました。
スズロン社も、2015年1月に太陽光発電に参入を発表するなど、風力発電機メーカの各社は、風力発電と太陽光発電との両にらみで、事業拡大を目指しています。

リンク先
福島県沖の大規模洋上風力3号機、日立製作所が受注
大型洋上風車、三菱重工業、実は初製品

 

出典:日本経済新聞  2016/4/1 朝刊

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です