動かぬ太陽光 退場促す

動かぬ太陽光 退場促す

— 再生エネルギー買取り、認定方式に変更 —
政府は国会に2016年2月に再生可能エネルギー特別処置法(FIT法)の改正案を提出しました。
骨子は、電力買取価格の単価が高いことを前提にした太陽光発電計画が増えすぎたために、認定方式に変更するものです。政府は、民進党(当時民主党)政権時代に再生エネルギー買い取り価格を高い水準に設定した「太陽光バブル」の後始末に苦慮しています。今回は、現在でも80%弱が未稼働である問題に対して、一定の条件で認定を取り消せるルールに変更しようとしています。

再生エネルギーを電力会社が固定価格で買い取る制度が導入されたのは2011年度です(当時民主党、野田政権)。経済産業省は、初年度の買い取り価格を1kwhあたり40円、翌年度も36円と、再生エネルギー買取りで先行していたドイツの2倍以上の高値に設定しました。当時、「黄金の国ジパングと呼ばれて、国内外から投資が殺到した」(江口直明弁護士)そうです。

確かに、海外でも当初の買い取り価格は高く設定され、その後は下げていくのが一般的です。このため、転売する目的で認定枠を抑える業者は出てきます。その場合でも、転売がうまくいけば稼働されるはずですが、日本の場合は未稼働の案件の割合が出力ベースで、初年度は43%、2013年度は81%に達しています。

太陽光発電の認定出力

出典:日本経済新聞:2016/4/15

竹内則史弁護士は、「(太陽光)パネルを設置すれば誰でもできる、との安易な発想で不動産業者などが参入した」と証言しています。東日本大震災により発生した津波を原因とする原発事故を受けて、太陽光発電の導入に主眼を置いたため、基準を緩くした事情もあります。
例えば、太陽光発電の建設予定地は、2013年度までは地権者との契約書や登記簿謄本は必須ではありませんでした。つまり、土地を保有していなくても「土地を賃貸・譲渡する用意がある」との地権者の証明があればよく、同じ土地で複数事業者が認定を受けた例もあるそうです。

高村ゆかり教授(名古屋大学大学院)は、「いつ稼働するか見通せない案件が多いと、今後の買い取り価格設定などの政策判断が難しくなる」との指摘をしています。
松村敏弘教授(東京大学)も「消費者負担の観点からは、未稼働の高額枠をできるだけ失効させるのが望ましい」と述べています。

しかし、正当な理由が無く権利を取り上げるのは訴訟されるリスクが発生します。
再生可能エネルギー特別処置法(FIT法)の改正案では、「施行予定の2017年4月1日時点で、電力会社と接続契約を結んでいない認定枠は執行させる」と決めています。

例えば、東京電力管内では、接続契約を結び、売電を始めたのは4割、3~4割は接続を申し込んだが稼働待ちの状態、残りの3~4割は申し込みもされていないそうです。この様に、動かす意思が無い案件を失効させて、早期稼働の方向に向かわせる狙いがあります。

再生エネルギーの買い取り費用は、電気料金に上乗せされているので、国民負担は想定以上に膨らんでいます。2016年度に電気料金に上乗せされる賦課金は標準家庭で月額675円。国全体での負担総額は約1兆8千億円に上ります。

日本政府は、再生可能エネルギー特別処置法(FIT法)の改正案に、2017年度から発電コストの安い事業者を優先する入札制度の導入も盛り込んでいます。それでも、導入当初に設定した高コストの太陽光発電は20年間残されたままです。
情報の引用:日本経済新聞   2016/4/15 朝刊  執筆:瀬川奈津子解説委員

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