6.2 非鉄鋳物
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6.2 非鉄鋳物(Non-ferrous castings)
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非鉄鋳物は、銅および銅合金鋳物、アルミニウム鋳物、アルミニウムダイカスト、マグネシウム合金鋳物、マグネシウムダイカスト、亜鉛合金ダイカスト、ニッケルおよびニッケル合金鋳物、チタンおよびチタン合金鋳物などに分類されます。表6.2.1に、それらのJIS 規格と機械的性質を示します。
(1)銅合金鋳物(copper alloy castings)
銅合金鋳物は、高い電気伝導性、熱伝導性、耐食性、耐摩耗性と適当な強度をもつことから、さまざまな鋳造品が製造されています。
生産量の内訳は、その多くが青銅鋳物であり、黄銅鋳物、アルミニウム青銅鋳物が続きます。
1) 青銅鋳物は、
/鋳造性、耐圧性、耐摩耗性、軸受特性のよいCu-Sn-Zn系およびCu-Sn-Zn-Pb系合金のスズ青銅(CAC 401~CAC 407)
/耐摩耗性によいCu-Zn-P 系合金のリン青銅(CAC 502A~CAC 503B)
/軸受特性のよい鉛青銅(CAC 602~CAC 605)
/耐食性,耐熱性のよいアルミニウム青銅(CAC 701~CAC 704)とCu-Si-Zn系合金のシルジン青銅(CAC 801~CAC 803)
に分類されます。
2) Cu-Zn系合金の黄銅鋳物(CAC 201~CAC 203)は鋳造性や電気熱伝導性がよいことから、機械部品、装飾部品などに広く用いられます。
3) 高力黄銅(CAC301~CAC 304)は、強度,耐食性、耐摩耗性を改善するために黄銅にAl,Mn,Ni,Feなどを添加したものです。
4) 純銅鋳物(CAC 101~CAC 103)は高い熱伝導性から、高炉羽口などに用いられます。
(2)アルミニウム合金鋳物(aluminum alloy castings)
アルミニウム合金鋳物、アルミニウム合金ダイカストは、JIS 規格では合金系により分類されます。材料記号は、アルミニウム合金鋳物がAC**(aluminum casting)、アルミニウム合金ダイカストがADC**(aluminium die casting)であらわされます。
1) アルミニウム合金鋳物
/Al-Cu-Mg 系合金(AC 1B)
/Al-Cu-Si系合金(AC 2A,AC 2B)
/Al-Si系合金(AC 3A,ADC 1,ADC 2)
/Al-Si-Mg 系合金(AC 4A,AC 4C,AC 4CH)
/Al-Si-Cu 系合金(AC 4B)
/Al-Si-Cu-M g 系合金(AC 4D,AC 8C)
/Al-Cu-Ni-M g 系合金(AC 5A)
/Al-M g 系合金(AC 7A,ADC 5)
/Al-Si-Cu-Ni-Mg 系合金(AC 8A,AC 8B,AC 9A,AC 9B)
2) アルミニウム合金ダイカスト
/Al-Si系合金(ADC 1,ADC 2,ADC 7)
/Al-Si-Mg 系合金(ADC 3)
/Al-Si-Cu 系合金(ADC 10)
/Al-Si-Cu-M g 系合金(ADC 14)
/Al-M g 系合金(ADC 5)
/Al-M g-M n 系合金(ADC 6)
/Al-Si-Cu-M n 系合金(ADC 8)
/Al-Si-Cu系合金(ADC 8~ADC 12Z)
が、それぞれ該当します。
アルミニウム合金ダイカストでは、生産量の内95%程度がADC12で占められています(2001年)。
アルミニウム合金では、シリコン(Si)を含む合金系は鋳造性がよいことから、自動車用などに多数の部品に適用されています。
なお、大部分のアルミニウム合金鋳物および、一部のアルミニウムダイカストは、T4,T5,T6,T7などの時効熱処理が施された後に使用されます。
(3)マグネシウム合金鋳物(magnesium alloy castings)
1)マグネシウム合金鋳物(MC 1~MC 13)は、Mg-Al系および、Mg-Al-Zn系合金、Mg-Zr系、Mg-希土類元素系合金に大別されます、
2)マグネシウムダイカスト用合金(MBC 1B~MBC 4)は、鋳造性、耐食性を高めるためにAl、Mnに加えZn、Si希土類元素などが添加されています。
いずれも軽量である利点を生かして、自動車用部品や、電子機器筐体、航空機部品などに用いられています。
(4)亜鉛合金ダイカスト(zinc alloy casting)
亜鉛合金ダイカスト(ZDC 1,ZDC 2)は、鋳造性、被削性、耐摩耗性がよいことから、銅合金鋳物や鋳鉄鋳物の代替品として用いられます。
(5)ニッケルおよびニッケル合金鋳物(nickel alloy castings)
ニッケルおよびニッケル合金鋳物は、JIS規格に以下のように規定されています。
/純ニッケル鋳物(NC-F)
/Ni-Cu合金鋳物(NCC-F)
/Ni-Mo合金鋳物(NMC-S)
/Ni-Mo-Cr合金鋳物(NMCr-S)
/Ni-Cr-Fe合金鋳物(NCrFC-S)
いずれも、耐熱性、耐酸化性、耐アルカリ性などが要求される船舶、化学プラント、薬品工業用装置などの工業分野に利用されています。
(6)チタンおよびチタン合金鋳物(titanium alloy castings)
チタンおよびチタン合金鋳物(TC 340~TC 6400)は、軽量で比強度が高く、海水に対する耐食性に優れ、生態適合性もよいことから、航空機用、海水プラント用に加えて、医療用、スポーツ用部品としての使用が広がっています。
参考文献
機械工学便覧 第6版 β03-02章
引用図表
表6.2.1 非鉄鋳物の規格と機械的性質 機械工学便覧 第6版 β03-02章
Correct:2018/2/11 (部分修正)
2016/11/6
本稿(初稿)は、筆者の興味と復習を兼ねているため、参考文献からの引用が主たるものになっています。第2稿ではより内容を絞り、かつより広範囲なデータに基づく記述を企図しております。