2.1 破断面の保護(Protection of the fracture surface)

2.1 破断面の保護(Protection of the fracture surface)

部材破損等のクレーム調査において、もっとも重要な作業は、試料/資料の収集です。特に不具合の発生状況と部材の破損状態についての資料の収集は、クレームが発生した直後にはじめるのが望ましいです。早ければ早いほど有効です。
しかし、クレームが発生して状況によっては、まず二次災害の防止処置が優先されるため、現場の状況が荒らされる場合もあります。
クレーム調査の際は、できるだけ破損品だけでなく、余分に試料を収集するべきです。現場でいったん見過ごしてしまうと、試料を再採取は難しいです。また、予断を持っての試料の選別は、原則的に避けるべきです。

破損した部材から試料を採取する際に、最も注意を必要とするのが破断面の取り扱いです。破断面は汚染や損傷を起こしやすい、新しい金属面で、そのまま放置すれば錆を発生します。従って、できるだけ早く試料として採取して保全して置くことが望ましいですが、それができない環境の場合、防錆処置を施す必要があります。

また、破損した部材が大きい場合は、破損部から十分離れた位置で切断して、損傷破断面の観察時に、破断面に熱影響等がない状態で試験片に加工する必要があります。

さらに、採取した試料を長期間保管しながら観察する場合もあります。保管期間中に破面が汚染される恐れがある場合は、破面部分を切断して、デシケータに入れておくなどして乾燥状態で保存するのが望ましいです。破面の保存に、防錆油を塗布する場合もありますが、除去する際に注意が必要です。保管期間が短い場合は、破面を温風などで十分に乾燥させて、乾燥材と一緒に密閉できる袋に入れて、錆などの酸化を防ぐことが有効です。

この場合、破面の付着物や錆などは原則としてそのままの状態で置いておくべきですが、変色や腐食が進む恐れがある場合は除去することも考慮しなければなりません。除去する場合は、除去した付着物は別に保管して、除去前後の破面の状態を写真で記録する必要があります。デジタル写真の場合は、できるだけ画素数の多くして撮影すべきです。ただし、光の関係で正しい色彩を記録できない場合もありますので、特に色彩情報が必要な場合は、色彩の比較資料をいっしょに写すなどの配慮が必要です。

もう一つ注意したいのは、破面同士を極力突合せ無いことです。ほとんどの場合、破壊の起点は表面にあることを考えると、解析の際に最も重要な個所の情報を失うことになるので、避けなければなりません。

 

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参考文献
100事例でわかる 機械部品の疲労破壊・破断面の見方  藤木榮 日刊工業新聞社
フラクトグラフィとその応用   小寺沢良一   日刊工業新聞社
機械部品の破損解析   長岡金吾   工学図書