3.3 調査のためのツール(Tools for investigation)

3.3 調査のためのツール(Tools for investigation)

 

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破面を、高倍率の光学顕微鏡や電子顕微鏡などを用いてミクロ的に観察することは非常に大切ですが、目視レベルで、マクロ的に観察することも重要です。

マクロ的に観察する際に、便利なツールを以下に示します。

(1)ルーペ(虫めがね)

10倍程度のものが観察に便利です。倍率が高すぎると焦点深度が小さくなるので帰って使いずらい場合があります。破損部品の表面の仕上げ程度や、破面周辺の状態、き裂発生起点の近傍の様子、き裂の進展方向、はめんの凹凸の程度、破面の粗密の程度、最終破断面の状態など、破面全体の状態を把握するのに有用です。

 

 

 

(2)携帯顕微鏡

特に、機械部材の破損が発生した現場で破面の状態をより詳しく観察するのに便利なのが、倍率が、50~100倍程度の、携帯用の顕微鏡です。価格的にも手頃で手荒に扱って壊れてもあまり気にならないし、ポケットにも入ります。破面付近の切欠きの有無や、破面の状態を観察してより詳しく見ることができます。

 

 

(3)マグネット(磁石)

磁石に付く、付かないによって、観察対象の材料が鉄鋼材料か、非鉄金属材料かの判断がができます。磁石につく場合は、ほとんどの場合鉄鋼材料と判断できます。ただし、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304など)や高マンガン鋼など非磁性の鉄鋼材料もあります。

(4)やすり

ヤスリの硬さは通常HRC60程度です。やすりをかけて滑るか食い込んで傷をつけるかによって、硬い材料か軟らかい材料なのか、また熱処理の有無も判断できます。

大型構造物など、試験室に持ち込んで硬さを測ることが困難な場合に、現場的に硬さを推定する方法として、HRC40~65の範囲でHRC5きざみに調整されたやすりが販売されています。価格的にも高くはありませんし、コンパクトなサイズなので、現場に持ち込んで確認するのに便利です。

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(5)木軸のマッチ

木の軸のマッチは、燃える部位により温度がある程度の温度推定ができます。赤い硫黄部分が発火する温度は、おおよそ270℃です。軸木が焦げる温度は約400℃、軸木が燃え出す温度は約600℃です。
また、マッチの長さは約50mmで、2mm角の四角形の断面です。メジャーが無い場合に、破断面の面積の割合を検討するために役立ちます。

(6)メジャー

破損部品の大きさや、破面における疲労き裂進展の領域や最終破断面の面積の割合などを測定しておおよその寸法を判断します。

(7)ビニール袋

ここで言うビニール袋は、100円ショップで売っている、チャック付きポリ袋です。サイズは色々あるので何種類か揃えておくと、観察対象の試料を保存しておくのに便利です。

 

(8)火花試験

具体的なツールではないですが、JISにも規定されてお、簡便な材料識別方法です。鉄鋼材料の場合は、グラインダに当てると火花が発生します。その火花の破裂状態から、炭素量や添加元素の種類や量をおおよそ知ることができます。これにより、破損部材の鋼種について推定することができます。

 

参考文献
100事例でわかる 機械部品の疲労破壊・破断面の見方  藤木榮 日刊工業新聞社

 

REV:2024/07/06