2.2.4 絞り(ires)
2.2.4 絞り(ires)
スポンサーリンク
油圧装置では、油圧ポンプから吐出された作動油の圧力や流量を調整する必要がある場合、弁を用います。弁は作動油の流れの断面積を変化させて圧力や流量を調整します。
流れの面積を減少させて、管路内や作動油の通路内に抵抗を与える機構を絞りといいます。この絞りには面積減少部の長さが断面と比較して短いオリフィス(orifice)と、長いチョーク(choke)とがあります。
1. オリフィス
オリフィスは、管路の途中に設置された一般には円形の穴が開けられた薄板で、その長さは穴の通路断面寸法に比較して短い場合の絞りを言います(図2.2.4.1)。
[図2.2.4.1] オリフィス
オリフィスを通過する流れは、流体が慣性を持つことからオリフィスを少し過ぎた場所で断面積が最小Acになります。この部分を縮流部(vena contracta)といいます。縮流の大きさは、A2/A1 (A1;管路部断面積、A2;オリフィス開口部面積)や、レイノルズ数の関数になります。
縮流の程度を表す量としてCc:縮流係数(coeficient of contrsction) が用いられます。
オリフィスを通過する流速Vは、
で表されます。
ここで、
ρ:作動油の密度(kg/m3)
⊿p: オリフィス前後の圧力降下(Pa= N/m2)
Cv:速度係数;ほぼ1に等しくなります。
オリフィスの開口部の面積をA1とすると、オリフィスを通過する流量Qは
ここで、
Cd=CcCv:流量係数
オリフィスの流量係数の一例を示します(図2.2.4.2)。
[図2.2.4.2] オリフィスの流量係数
2. チョーク形絞り
断面が円形で、直径に比較して長さが比較的長い絞りをチョーク形絞りといいます(図2.2.4.3)。
[図2.2.4.3.(a)] チョークの例
[図2.2.4.3.(b)] チョーク形絞り
内径d 、長さl のチョーク形絞りがあります。これに粘度μ の流体が流れる場合、チョーク前後の圧力差p1–p2 と、流量Qとの関係式は次式で表されます。
これは、層流流れのハーゲンポアズイユの式です。
油圧系の場合、絞りのように小さい断面積を通過する流れは、作動油の動粘度が大きく層流になることが多いため、本式が適用できます。
参考文献
油圧教本 増補改訂版 日刊工業新聞社
流体機械工学演習 前田照行 学献社
実用油圧ポケットブック_2012年版 日本フルードパワー工業会
FLOW MEASUREMENT HANDBOOK ROGER C. BAKER Cambridge university press
引用図表
[図2.2.4.1] オリフィス FLOW MEASUREMENT HANDBOOK改
[図2.2.4.2] オリフィスの流量係数 実用油圧ポケットブック_2012年版
[図2.2.4.3.(a)] チョークの例 油圧教本 増補改訂版
[図2.2.4.3.(b)] チョーク形絞り 実用油圧ポケットブック_2012年版
ORG: 2018/5/5