4.2 油圧ポンプ

4.2 油圧ポンプ(hydraulic pump)

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1.油圧ポンプの定義

油圧ポンプは、電動機や内燃機関などの原動機が発生する機械的なエネルギーを受けて、流体エネルギーに変換して、管路内に吐出してシリンダーや油圧モータなどのアクチュエータを作動させるための、油圧システムの動力源です。

2.油圧ポンプの形式

ポンプは、非容積式と容積式に分類されます。非容積式は負荷圧力が変動すると吐出量が変動するのに対して、容積式は一般的に、負荷圧力の変動に対する。吐出量の変動が小さい特徴があります。吐出量が変動すると、アクチュエータの速度を制御することが難しいので、油圧システムを構成するポンプは、ほとんど容積式ポンプが採用されています。

油圧システムに採用される容積式ポンプを構造的に分類すると

(1) ベーンポンプ
(2) ギアポンプ
(3) ピストンポンプ
(4) スクリューポンプなど

などに分類されます。

これらのポンプを、吐出量の調整可否からから分類すると、定容量形ポンプと可変容量形ポンプとに分類されます。

3.油圧ポンプの性能向上

油圧ポンプの性能向上には、コンパクト化と高効率化とが不可欠です。そのための手法として、高圧化と高速化とが検討されています。

(1)高圧化

たとえば、建設機械に搭載の油圧ピストンポンプは、1970年代はシステム圧力が20MPa程度であったものが1980年代に35MPa程度まで上昇しました(図4.2.1+)。その後は大きな変化はありませんが、これは高圧化による作動油の寿命低下や、配管や構成機器の信頼性が対応できていないことなどによると推定されます。近年は、CAEツールの適用により、強度設計の精度が向上したことや各種材料特性や表面処理により耐焼付き性向上などが図られてきています。また、表面粗さについても精度向上が図られています。

図4.2.1 建設機械のシステム圧力の変遷

(2)高速化

通常。作動油には数%の空気が溶解しています。空気を溶解した作動油が減圧されると、減圧があるレベルに達すると気泡になり作動油中に現れます。これをエアレーションといいます。エアレーションが、ポンプの吸込み側のシリンダブロックのピストンボア内で生じると、異常音が発生し、吐出流量も減少します。さらに減圧が起きくなり、作動油の蒸気圧より小さくなると、キャビテーションが発生します。このキャビテーション発生の開始点が吸込み限界状態になります。
ピストンポンプではバルブプレートを球面状にして吸込み性能を上げる設計がされる場合もあるが、基本的には吸込み側の抵抗を減ずるしかありません。
特に、低温で始動する場合は、作動油の粘度が大きくキャビテーションが発生しやすいです。

キャビテーションを防止するためには、何らかの手段でブーストすれば油圧ポンプへの吸込み圧力が上昇するので、高速化が可能となります。例えば建設機械では、油圧回路を閉回路にしてギアポンプなどで過給することで、高速回転が可能になるように対策しています。また、航空機用のピストンポンプでは、ターボポンプを前段に直結して過給している場合もあります。

この他、高速化する際に考慮しなければならないものは、Pv値があります、いわゆるトライボロジーの問題です。

筆者は、流体力学を専攻していましたが、ターボ機械の設計の時はあまりトライボロジーについての知見はありませんでした。油圧に関わる仕事になってから(設計ではありませんが)、トライボロジーに少し興味を持つようになりました(独白)。

 

 

参考文献
流体機械工学演習  前田照行  学献社
フルードパワーシステム Vol39,No5 2008年9月  建設機械用油圧ポンプの高出力密度化  大見康生

引用図表
[図2.4.1] 建設機械のシステム圧力の変遷 フルードパワーシステム Vol39,No5

ORG: 2018/2/31