3.3 複合音の大きさのレベル
3.3 複合音の大きさのレベル(Level of compound sound)
私たちが耳にする騒音は、ほとんどが純音を組み合わせた複合音です。この様な複合音の大きさのレベルは次のような計算で進められます。
まず、騒音を構成する周波数範囲を、いくつかの周波数バンド(例えば、オクターブバンド)に分けて、バンドごとに音の大きさのレベルを求めます。
次に、これより全体の音の大きさのレベルを求めると、これが複合音の騒音の大きさのレベルとなります。但し、マスキング効果のため、全体の大きさはそれぞれの音の大きさの和にはなりません。
詳しい計算の仕方は、後述します。
S.S.Stevensは、純音でなくバンドノイズを用いた実験から複合音の大きさのレベルを求める方法をしました。この方法が、複合音の大きさのレベルを求める一つの方法としてISOに採用されています(ISO532)。
図3.3.1に、バンドノイズに対する等ラウドネス曲線を示します。Loudness Index(sone)をパラメータにして、オクターブバンドに対する音圧のバンドレベルを示します。soneとphonとの関係は、図3.3.2に示します。
■Stevens の方法による複合音の大きさのレベルの求め方
1. 騒音をオクターブ分析して、各バンドレベルに相当する Loudness Index を図3.3.1 から求めます(中心周波数;63,125,250,500,1000,2000,4000,8000Hz)。これをSi(i=1~8)とします。
2. 次に、全体の Loudness Index を次式で求めます。
但し、 Sm:最大の Loudness Index (sone)
ΣSi:全てのバンドの Loudness Index の和(sone)
全体の音の大きさは、各バンドの音の大きさの和ではなく、各バンドの中の最大の音の大きさと、残りの音の大きさの和の30%を加えたものになります。
3. このStに相当する Loudness Level (音の大きさのレベル;phon)図3.3.1、もしくは図3.3.2を用いて求めます。この結果が、複合音の音の大きさのレベルphon(OD)です。
すなわち、複合音の大きさのレベルLは、
の関係より、
phon(OD)
となります。ここで(OD)とは、オクターブバンドを用いて、Stevensの方法でLoudness Level を求めたということを表します。
複合音の大きさのレベルを求める他の方法をとしては、E.Zwickerによって提案された方法が、同じくISO532として採用されています。一般的には、上で述べたStevensの方法が一般的です。
引用元:ターボ機械 1974/3