2.1 機械的清浄法

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2.1 機械的清浄法(mechanical cleaning)
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1.機械的清浄方法
1.1 機械的清浄方法とは
機械的清浄方法とは、部材表面に付着した汚れを物理的の除去する方法です。機械的清浄方法に分類される主なものは、
(1)拭き取り
(2)ワイヤブラシ
(3)ブラスト処理
(4)研磨加工
などがあげられます。
研磨については別項にて簡単に記述していますので、本コンテンツでは(1)拭き取り、および(2)ワイヤブラシ、(3)ブラスト処理について記述します。
1.2 主な適用分野
機械的清浄方法が適用される主な分野としては以下のようなものが挙げられます。
(1)スケール・錆の除去
(2)鋳造品の砂落とし
(3)塗装更新前の古い塗膜の除去
(4)鋳型・金型に付着した汚れの除去
(5)保全作業時の錆・塗膜除去
(6)高温で焼付いた塗料やテンパカラーの除去
(7)溶射・塗装時の粗面化前処理
(8)他の表面処理の部分的な手直し
1.3 機械的清浄方法の特徴
機械的清浄方法は一般的に、
(1)完全な除去処理が可能
(2)適用範囲が広い
(3)部分的処理が可能
(4)比較的作業性が良い
などの特徴があります。
また、清浄化以外にも、粗面化、表面欠陥の除去、表面改質などの効果がある処理が含まれます。
2.各種の機械的清浄方法
2.1 拭き取り
拭き取りは、ウェス(布、紙など)やバフを用いて、手作業もしくは機械により部材表面をこすることにより、汚れなどを除去する作業です。機械部品表面の油の除去のようなラフな用途から、顕微鏡レンズに付着したほこりの除去まで幅広い用途に適用されます。
助材として、水や界面活性剤、有機溶剤を併用する場合もあります。機械部品等の拭き取りでは、エッジ部などに拭き取り用のウェスの繊維等が残る場合があり、注意が必要です。
拭き取り用のウェスの例として、商品名ですが「キムワイプ」を挙げます。コスト的にも安価なので、工場内で精密部品の拭き取りによく用いられます。
図2.1.1 拭き取り用紙ウェスの例(キムワイプ)
2.2 ワイヤブラシ
ワイヤブラシは、鋼線や黄銅線などの金属や、ポリアミド繊維(砥粒入り・無し)、特殊な用途では竹などの天然繊維を、歯ブラシ状に植毛したり、ホイールやドリル状に植毛したものです。これをそれぞれ、人手での使用やNC工作機械のホルダに取付けて使用します。ブラシ繊維により金属表面をこすって、金属表面のスケールや錆などの異物、バリ・カエリなどを除去します。
図2.1.2 ワイヤブラシ(黄銅線使用ブラシ)の例
図2.1.3 ホイールブラシ例
2.3 ブラスト処理
ブラスト処理は、色々な材料からできた粒子を、高圧空気・高圧水などの媒体に混合して、金属表面に噴射することにより、金属表面のスケール・錆などの異物の除去や塗装前の表面処理などに適用されます。
ワイヤブラシ処理とブラスト処理とを比較すると、ブラスト処理の方が、複雑形状の部品への適用が容易です。また、適用範囲も広いです。
ブラスト処理は、投射粒子の種類や、投射方式、投射装置によりおおよそ以下のように分類されます。
図2.1.4 ブラスト処理の種類
図2.1.5 ハイドロブラストマシンの例
これらの組合せ、すなわち投射粒子の種類や、投射方式、投射装置の選択により、効果が色々変化します。素地の材質や表面状態、および要求される表面仕上げの程度に応じて最適な方法を選択する必要があります。
一般的には、開放型の乾式エアブラスト方式がもっとも普通に使用されます。投射距離の標準が10~30cm、投射角度は30~50°程度が、除去能力が大きくなります。投射角度が90°近くになると除去能力は減少するが、ピーニング効果(表面硬化効果)は最大になります。
ブラスト処理は粒子加工の一種なので、処理された金属表面はある程度の凹凸は発生します。凹み部分に水分が凝集しやすいが、アンカー効果が良好になるので塗装や溶射の前処理として非常に有効に働きます。
管理人のわずかな経験ですが、ケレンの程度により塗装の保持年数が大きく異なります。
参考文献
表面処理 日本金属学会 1961年
ミスミ(株)様HP https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/surface_treatment_technology/st01/c1965.html
引用図表
図2.1.1 拭き取り用紙ウェスの例(キムワイプ) Amazon
図2.1.2 ワイヤブラシ(黄銅線使用ブラシ)の例 Amazon
図2.1.3 ホイールブラシ例 Amazon
図2.1.4 ブラスト処理の種類 参考:表面処理
図2.1.5 ハイドロブラストマシンの例 ミスミ様HP https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/surface_treatment_technology/st01/c1965.html
ORG:2020/11/04