3.2 境界摩擦の機構

3.2 境界摩擦の機構(Mechanism of boundary friction)

スポンサーリンク

 

境界摩擦状態でも、相対する固体表面が凸部となる場合は、固体同士が直接接触します。その部分で境界膜を挟んだまま、荷重を支えるのに十分な接触面積を得られるまで塑性流動します。その結果境界膜が部分的に破断を起こします。その結果、固体表面同士が凝着します。このときの摩擦力は、凝着部のせん断に要する力と、吸着膜のせん断に要する力との和になります。

 

図3.2.1に示すように境界潤滑下での一つの接触点を考えます。

図3.2.1 境界摩擦と乾燥摩擦部位のモデル

接触点は乾燥摩擦の状態の部分と境界摩擦状態の部分とで構成されていると考えられます。この一つの真実接触面の面積をAr,境界摩擦部分のせん断強さをsb,境界膜が破断して金属の凝着を起こした部分の面積の真実接触面面積に対する比(破断率)をα、その部分のせん断強さをsmとすると、摩擦力Fは次式で表されます。

  (式3.2.1)

 

本式で、sm > sb になりますので、αが大きいほど摩擦力は大きくなります。

 

実際の境界潤滑部では、smsb,α の正確な値はわかりません。従来からある実験データや摩擦力Fの測定結果から、これらの値を推定することになります。

ちなみに、この項では真実接触面積Arとして、固体同士が真に接触・結合している部分だけではなく、数分子程度の境界膜で間を隔てられている部分も含みます。

 

 

参考文献
トライボロジー入門    岡本純三 他   幸書房

引用図表
図3.2.1 境界摩擦と乾燥摩擦部位のモデル   トライボロジー入門より改

 

ORG:2018/10/12
REV::2018/10/13