4.8 摩耗による機械の損傷
4.8 摩耗による機械の損傷(Machine damage due to wear)
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管理人は、ほぼ40年流体機械に何らかの形でかかわってきました。前項までに示した摩耗により、転がり軸受や滑り軸受などの回転支承部品、メカニカルシールやオイルシールなどの密封部品他の要素部品では、かじりや焼付きなどが生じた場合、回転停止や、密封流体の漏れなどで機器の停止に追い込まれます。ものづくりをする立場にとってこれらの異常摩耗に対応が必要です。
(1)かじり(galling)
かじりは局部的に発生する凝着摩耗です。軟らかい方の材料が摺動する方向にむしりとられたような傷を作ります。凝着を起こしやすい材料の組み合わせでは常温でもかじります。片当たりや潤滑不良、摺動面への異物混入などを避けるようにしましょう。
図4.8.1に転がり軸受のころ端面のかじりを示します。
図4.8.1 かじり(転がり軸受のコロ)
(2)焼付き(seizure)
焼付きも、摩耗に分類としては凝着摩耗の一種になります。焼付きを起こした摺動面は、一般には軟らかい方の材料が大きく損傷して摺動する方向に凹凸の激しく深い傷を生じます。硬い方の材料には軟らかい方の材料の移着が観察されます。摩擦により発熱を伴った場合、溶融痕や表面の酸化による着色が認められます。
摺動面の面圧(P)や摺動速度(V)、またはその積のPV値が、材質の組み合わせや潤滑条件により決まる摺動面温度の限界を超えた場合に発生します。また、潤滑不良や、摺動面への異物混入、片当たりなど、摺動条件に問題がある場合にも発生します。
図4.8.2に焼付きの事例を示します。
図4.8.2 焼付き(自動車エンジンのクランクシャフトベアリング)
参考文献
摩耗はなぜ起こるのか 水本宗男,宇佐美賢一 ターボ機械Vol24,No5 1996
ニューベアリングドクター 日本精工
潤滑故障例とその対策 日本潤滑学会 養賢堂
引用図表
図4.8.1 かじり(転がり軸受のコロ) ニューベアリングドクター
図4.8.2 焼付き(自動車エンジンのクランクシャフトベアリング) 潤滑故障例とその対策
ORG:2018/12/1