2.流量計測方法による分類
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2.流量計測方法による分類(classification by flow rate measurement method)
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本項で詳述するように、流量を測定する方法には、いろいろな種類があります。その選定を誤ると流量を測定する目的を達成できないばかりでなく、時間やコストが増加してしまいます。
そこで、流量計を選定する際に明確にしておかなければならないことが2点あります。それらは、「何を測るのか」、「何のために測るのか」の2点です。
1.何を測るのか――測定対象を理解する
何を測るのか、測定対象についての情報をまとめる必要があります。
■ 流体の状態・流体名
測定対象の流体が、液体であるか、気体、蒸気、混相流(スラリー、蒸気ミストなど)などの内、どれに該当するか、明確にしておく必要があります。さらに、例えば液体の場合であれば、「冷却水」や、「RO水」、「切削油」、「タービン油」、「アルコール」、「A重油」など、測定対象となる流体名を明確にしておく必要があります。
■ 密度(比重)
液体・気体を問わず、流体の密度を明確にしておく必要があります。物性表などから測定対象となる流体の圧力と温度とから密度の計算ができます。
比重は、対象物質の密度と4℃の純水の密度との比で定義されますので、密度がわかれば計算できます。
密度の定義は、
\( \rho (密度)= M(質量)/ V(体積) \)
■ 粘度
特に液体の場合、粘度(動粘度)を明確にしておる必要があります。流量計の種類・大きさによって精度を保証できる範囲があり、粘度は影響を与えます。
粘度は、物性表などにより流体名と温度などから推定可能です。
流量計測では、どちらかというと動粘度の方が考慮すべき要因になります。
■ 流体温度
流量計の材質によっては、使用可能温度に制限があります。また、可動部のある流量計では急激な温度変化に対して問題が生じる可能性があります。特に高温または温度変化の激しい流体を扱う場合には注意が必要です。
■ 流体圧力
流量計の形式云々よりも、流量計自体の耐圧力については配慮が必要です。脈動流など圧力変動が考えられる流体では、想定される最大圧力での選定が必要です。
■ 流量レンジ
流量計に種別によっては、定格流量に対して精度が保証される範囲が決められている場合もあります。実際に使用するときの最大流量、常用流量、最小流量を想定して選定する必要があります。
■ 許容される圧損
流量計の種別によっては、計測部で圧損が発生します(差圧式流量計など)。特に低圧の流れでは、流量計の許容圧損を確認する必要があります。
■ 脈動の有無
ポンプの種別によっては、脈動が発生して瞬時流量が大きく変動する場合があります。選定可能な流量計が限られる場合があります。特に往復動式ポンプは、多かれ少なかれ脈動が発生するので考慮が必要です。
■ 色・透明度
面積流量計など、直視型の流量計を用いる場合は、流体の色や透明度の情報が必要です。
■ 混入物
流体物に気泡や固体粒子が含まれる場合、適用できない流量計があります。また、適用可能な流量計でも、流量計の有無、量、形状などの情報を取得する必要があります。
■ 腐食性
酸性液や、アルカリ性液、有機溶剤などの流体を取扱う場合流量計の材質に影響を与える可能性があります。材料の適合性を確認する必要があります。
■ 導電率
特に電磁式流量計を用いる場合は、流体の導電率を確認する必要があります。その他の流量計では原則不要です。
2.何のために測るのか――測定結果をどう利用するか
測定対象についての情報をまとめると、次には測定結果をどのように利用するのかという目的を明確にする必要があります。測定する目的が決まると、必要な測定精度が明確になり、どのような形式の流量計が必要か絞られます。
例えば、流量の監視と警報であればそれほど高い精度は要求する必要がありません。一方、ガソリンスタンドの給油量の測定には精度の高い流量計が必要となります。
また、質量流量は一般的には体積流量と密度とから換算して求められることが多いですが、高精度に質量流量を求める必要がある場合は、直接質量流量を計測できる流量計が必要です。
流量測定の目的を明確にすることで、使用できる流量計はある程度絞られます。
本項では、以下に示す10種類の形式の流量測定装置について記述します。ご不明な点があれば、御問い合わせ頂ければ可能な範囲でお答えさせて頂きます。
2.1 差圧式流量計
2.2 電磁流量計
2.3 超音波流量計
2.4 容積流量計
2.5 面積流量計
2.6 タービン流量計
2.7 熱式質量流量計
2.8 コリオリ流量計
2.9 渦流量計
2.10 せきによる開水路流量計
参考文献
完全版 流量の教科書 AS_93283_TG_160069_JA_1028-4.pdf キーエンス
ORG:2021/01/28