清潔・しつけ

清潔・しつけ(Seiketsu・Shitsuke)

 

 

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0. はじめに

5S活動は、製造業における生産性向上、品質向上、安全確保のための基盤となる活動です。整理、整頓、清掃の3Sに、清潔としつけ(躾)を加えた5Sは、より包括的で、持続可能な改善活動を促進します。
特に、「清潔」と「しつけ」は、単なる清掃活動にとどまらず、従業員の意識改革と行動変容を促す重要な要素です。 本コンテンツでは、中小製造業における5S活動の中でも、特に重要となる「清潔」と「しつけ」について、その意味、目的、具体的な取り組み方、および効果について解説します。

 

1. 「清潔」:維持管理と改善の継続

「清潔」とは、単にきれいな状態を保つだけでなく、その状態を維持するための仕組みづくりと、常に改善を続ける意識を持つことです。 清掃によって一時的にきれいになった状態を、いかに維持し、さらに向上させていくかが重要になります。

1.1清潔の定義

5Sの清潔とは、職場を常に清潔な状態に保つことを指します。清掃との違いは、一時的に掃除をするのではなく、常に汚れや異物のない状態を維持し続けることです。生産現場では、工具や設備の汚れ、床の油汚れ、埃や切粉などが発生しやすいため、定期的な清掃だけでなく、それを維持するための工夫が必要になります。

 

1.2 清潔の具体的な取組み

 ・ 清掃の標準化と日常化:
 清掃範囲、清掃方法、清掃頻度を明確にし、清掃を日々の業務に組み込みます。 チェックリストや清掃担当表を作成し、誰がいつ、どこを清掃するのかを明確にすることで、清掃の抜け漏れを防ぎ、責任感を高めます。

 • 清掃用具の整備:
 清掃用具を整理整頓し、使いやすく、すぐに使える状態にしておきます。 清掃用具の定位置管理を徹底し、使用後は必ず元の場所に戻すことを習慣化します。

 • 汚れの発生源対策:
 汚れが発生する原因を突き止め、根本的な対策を行います。 例えば、油漏れや粉塵の発生源を特定し、設備改善や作業方法の見直しを行うことで、清掃の手間を減らし、より清潔な状態を維持できます。

 • 定期的な点検と見直し:
 清潔状態を定期的に点検し、改善点があれば速やかに対応します。 点検結果を記録し、改善活動につなげることで、清潔レベルを継続的に向上させます。

 • 見える化:
 清潔状況を「見える化」することも重要です。例えば、清掃前後の写真や、清掃頻度、清掃担当者などを表示することで、従業員の意識を高め、清潔を維持するモチベーションを高めます。

 • 5Sの評価基準の明確化:
 清潔度を評価するための明確な基準を設け、定期的に評価を行います。評価結果を職場ごとにグラフ化して掲示することで、従業員の競争意識を高め、より高い清潔度を目指すように促します。

 

1.3 清潔の効果

 • 品質向上:
 清潔な職場環境は、製品の品質に直接影響します。 異物混入や汚れによる不良品発生を未然に防ぎ、安定した品質を確保できます。

 • 生産性向上:
 清潔な職場では、作業者が快適に作業できるため、生産性が向上します。 また、工具や部品が整理整頓されているため、探し物をするムダな時間を減らすことができます。

 • 安全性の向上:
 清潔な職場環境は、安全な作業環境にも繋がります。 床の油汚れや、通路の障害物がなくなることで、転倒事故や怪我のリスクを減らすことができます。

 • 従業員の意識向上:
 清潔な職場を維持しようとする活動を通して、従業員の美意識や責任感が向上します。 また、チームで協力して清掃活動を行うことで、連帯感も生まれます。

 • 顧客からの信頼獲得:
 職場環境は、顧客に良い印象を与え、企業への信頼を高めます。工場見学などを通じて、顧客に清潔な職場を見てもらうことは、品質に対する安心感につながり、企業全体のブランドイメージ向上に貢献します。

 

2. 「しつけ」:ルール遵守と習慣化

「しつけ」とは、職場におけるルールやマナーを守り、それを習慣化することです。単にルールを押し付けるのではなく、ルールを守る必要性を理解させ、自ら進んでルールを守るようにすることが重要です。

2.1 しつけの定義

5Sにおけるしつけとは、決められたルールを守る習慣を従業員全員が持つことを指します。整理・整頓・清掃・清潔の4Sを定着させるためには、従業員が自発的に取り組める環境を作ることが不可欠です。

 

2.2 しつけの具体的な取り組み

 • ルールの明確化と周知徹底:
 職場におけるルールやマナーを明確にし、全従業員に周知徹底します。 ルールブックやポスターを作成し、いつでもルールを確認できるようにします。

 • ルールの必要性の理解:
 ルールを守る理由を説明し、従業員にルールの重要性を理解させます。 ルールがなぜ必要なのかを理解することで、従業員はルールを単なる義務ではなく、自ら守るべきものとして意識するようになります。

 • 継続的な教育:
 新入社員研修や定期的な教育を通じて、ルールやマナーを徹底します。 教育内容を定期的に見直し、従業員のレベルアップを図ります。

 • 模範となる行動:
 管理職やリーダーが率先してルールを守ることで、従業員の模範となります。 管理職が率先してルールを守ることで、従業員はルールを守ることが当たり前のこととして受け入れるようになります。

 • 相互注意:
 従業員同士でルール違反を指摘し合うことで、ルール遵守の意識を高めます。 ただし、相手を責めるのではなく、ルールを守ることを促すようなコミュニケーションを心がける必要があります。

 • 称賛とフィードバック:
 ルールをきちんと守っている従業員を褒め、良い行動を積極的に評価します。また、ルール違反があった場合は、個別にフィードバックを行い、改善を促します。

 • 5S委員会の設置:
 各部門からメンバーを選出し、5S委員会を組織します。 委員会は、5S活動の推進、ルールの見直し、従業員への教育などを担当します。

 • 5Sの目標設定と進捗管理:
 5S活動の目標を設定し、その進捗状況を定期的に確認し、改善活動を継続的に実施します。 目標達成度を数値化し、進捗状況を「見える化」することで、従業員のモチベーションを高めます。

 

2.3 しつけの効果

 • 規律の向上:
 ルールを守る習慣が身につくことで、職場全体の規律が向上します。 規律のある職場は、生産活動がスムーズに進み、品質向上にもつながります。

 • コミュニケーションの円滑化:
 職場でのルールやマナーを守ることは、コミュニケーションの円滑化にもつながります。 従業員同士が気持ちよくコミュニケーションをとれる職場環境は、情報共有を促進し、より良い製品づくりに貢献します。

 • チームワークの向上:
 従業員が同じルールを守り、協力して仕事に取り組むことで、チームワークが向上します。 チームワークの良い職場は、問題解決能力が高く、より高い目標を達成できます。

 • 顧客からの信頼向上:
 従業員がルールやマナーを守ることで、顧客からの信頼が向上します。 顧客は、ルールを遵守し、礼儀正しい対応を心がける企業に安心感と信頼感を抱きます。

 • 企業文化の醸成:
 ルールを守る習慣を共有することは、企業文化の醸成につながります。 良い企業文化は、従業員のモチベーションを高め、企業の成長を促します。

 

2.4 しつけを定着させる方法

しつけを職場に定着させるためには、以下のような取組みが効果的です。
 ・ リーダーシップの発揮:
 経営層や管理職が率先して5Sを実践することで、しつけを定着することができます。

 ・ 教育と啓発活動:
 経営層や管理職は、5Sの目的やメリットを定期的に従業員へ説明することが必要です。

 ・ 評価とフィードバック:
 経営層や管理職は、頻度良く5Sの達成度を評価し、良い取組みを表彰することで、従業員のモチベーションを上げることができます。

 ・ 習慣化の仕組み作り:
 チェックリストを活用したり、朝礼時に5Sの実施状況を確認することを習慣にすることにより、5Sの取組みを定着することができます。

 

3. 「清潔」と「しつけ」の相乗効果

「清潔」と「しつけ」は、それぞれ単独でも効果を発揮しますが、両者が組み合わさることで、より大きな相乗効果を生み出します。 清潔な環境を維持するためには、ルールを守り、責任をもって清掃活動を行う「しつけ」の力が不可欠です。
一方、「しつけ」を徹底するためには、清潔な環境の中で、従業員が気持ちよく働ける状態を作ることが必要です。 両者は互いに影響しあい、高め合う関係にあることを理解し、一体的に取り組むことが重要です。

 

4. まとめ

5S活動における「清潔」と「しつけ」は、単なる清掃活動やルール遵守にとどまらず、従業員の意識改革と行動変容を促す重要な要素です。 中小製造業においては、5S活動を通じて、品質向上、生産性向上、安全確保を実現するだけでなく、従業員の成長と企業文化の醸成を目指す必要があります。 本コンテンツが、御社における5S活動の一助となれば幸いです。

よろしければ、ご覧ください。

 

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参考文献
5S導入ハンドブック   西沢和夫  かんき出版  2007年

 

ORG:2025/02/07