トヨタ生産方式(TPS)用語集
トヨタ生産方式(TPS)用語集
(Toyota Production System (TPS) Glossary)
スポンサーリンク
アフィリエイト広告を利用しています。
ア行
・後工程引取り ・後補充 ・アンドン ・内段取り
カ行
・改善 ・可動率 ・稼働率 ・かんばん(/ 仕掛けかんばん,/ 工程内かんばん,/ 信号かんばん,/ 引取りかんばん,/ 運搬かんばん,/ 外注かんばん,/ 臨時かんばん) ・かんばんのサイクル ・工程の流れ化 ・工程能力表 ・混載運搬
サ行
・サイクルタイム ・作業順序 ・作業標準 ・自働化 ・ジャストインタイム ・順序表 ・順序引き取り ・少人化 ・省人化 ・省力化 ・生産管理板 ・生産リードタイム ・製造技術 ・外段取り
タ行
・多回運搬 ・タクトタイム ・多工程持ち ・多台持ち ・多能工化 ・段取り替え(時間) ・定位置停止方式 ・定員制 ・定時不定量運搬 ・定量不定時運搬 ・トヨタ生産方式
ナ行
・能率(/ 真の能率,/ 見かけの能率,/ 全体の効率と個々の能率) ・乗り継ぎ運搬
ハ行
・ハイヤー方式 ・離れ小島 ・はみ出し品 ・標準作業 ・作業標準組合せ票 ・標準作業票 ・平準化 ・ペースメーカー ・ポカヨケ
マ行
・水すまし ・ムダ(/ つくりすぎのムダ,/ 手持ちのムダ,/ 運搬のムダ,/ 加工のムダ,/ 在庫のムダ,/ 動作のムダ,/ 不良品のムダ,/ 手直しのムダ) ・ムラ ・ムリ ・目で見る管理
ヤ行
・ヨーイ・ドン方式
数字
・1個流し ・4S(5S)(/ 整理,/ 整頓,/ 清掃,/ 清掃) ・5回のなぜ
アルファベット
・AB制御 ・QC工程表
Contents
- トヨタ⽣産⽅式(TPS)⽤語解説
- ア行
- カ行
- サ行
- ・サイクルタイム Cycle Time
- ・作業順序 Working Sequence
- ・作業標準 Operation Standards
- ・自働化 (ニンベンの付いた自動化)Jidoka
- ・ジャストインタイム Just-In-Time
- ・順序表 Production Sequence Table
- ・順序引き取り Sequential Parts Withdrawal
- ・少人化 Flexible Manpower Line
- ・省人化 Manpower Saving
- ・省力化 Lobor Saving
- ・生産管理板 Performance Analysis Board
- ・生産リードタイム Production Lead Time
- ・製造技術 Operations Management Engineering
- ・外段取り Off-Line Set-Up
- ・多回運搬 Frequent Conveyance
- ・タクトタイム Tact-Time
- ・多工程持ち Multi-Process Handling
- ・多台持ち Multi-Machine Handling
- ・多能工化 Multi-Skill Development
- ・段取り替え(時間)(段替え(時間)) Set-Up (Time)
- ・定位置停止方式 Fixed-Position Stop System
- ・定員制 Fixed Manpower
- ・定時不定量運搬 Scheduled Time (Unscheduled Quantity) Conveyance
- ・定量不定時運搬 Scheduled Quantity (Unscheduled Time) Conveyance
- ・トヨタ生産方式 Toyota Production System
- ・能率 Productivity
- ・乗り継ぎ運搬 Truck Transfer System
- ハ行
- マ行
- ヤ行
- 数字
- アルファベット
トヨタ⽣産⽅式(TPS)⽤語解説
ア行
・後⼯程引き取り Pull System(of Production)
ジャストインタイムに⽣産をするための3つの基本原則の1つです。
後⼯程が、必要なものを、必要なときに、必要なだけ、前⼯程から引き取る手法であり、前⼯程は引き取られた分だけ⽣産するします。
これは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの仕入れの仕組みと似たような仕組みで、顧客が必要としている量に応じて生産するので、作りすぎのムダが生じません。
その手順としては、
① 顧客の要求に基づいて、生産計画を立てる。
② 最終工程に、生産計画を指示する。
③ 最終工程は、必要な分だけ前工程より引取り生産する。
④ 前工程は、引き取られた分を補充する。
⑤ 後工程から前工程に順に生産指示が進行していく。
この前工程・後工程間のやり取りの際に、作業指示・管理の道具として使用されるのが「かんばん」です。
・後補充(⽣産) Fill-Up System(of Production)
前⼯程は、その⼯程の完成品在庫を最小限もち、後⼯程に引き取られた分だけ種類毎に造って補充する⽅法をいいます。
・アンドン Andon
工程を起きた異常を監督者に知らせてアクションを促すために、異常内容を一目で判断できるようにした電光表示盤で、現場に隠れた問題やムダを表面化する、つまり明るく照らし出すことから、アンドンと呼ばれます。
現場の監督者は、常に作業状況を把握していかなければならないこと、また問題が発生した場合に速やかに解決できるような管理が必要です。
アンドンは、大きく4種類に分類されます。
① 呼び出しアンドン:部品を請求する。
② 異常アンドン:組み立ての異常を知らせる。
③ 稼働アンドン:機械の稼働状況を示す。
④ 進度アンドン:作業進度の確認。
・内段取り On-Line Set-Up
段取り替え作業は、内段取りと外段取りとに分類されます。内段取り作業は、ラインや機械設備を停止しなければ出来ない、型、刃具や治具類の交換作業をいいます。また、その作業に費やす時間を「内段取り時間」といいます。
カ行
・改善 Kaizen
4M(⼈(労⼒)、物(材料使⽤量及び材料・製品の在庫)、設備、および⽣産の仕組み)等に関するムダを発見し、、知恵を出しできる限り費⽤をかけずに、迅速にムダを一つづつ排除していく⼀連の活動をいいます。人手作業に対する改善では、設備改善よりも作業改善を優先して行わう必要があります。
改善は、全従業員がそれぞれの立場で取り組む必要があります。
・可動率 Operational Availability
「設備を動かしたいときに正常な状態で動いてくれる度合をいい、設備の生産保全度・作業効率を意味します。故障ゼロの指標の一つになります。
可動率 = (停止故障無しの実稼働時間)/(顧客要求に基づく稼働時間)× 100%
稼働率が、実作業におけるムダ取りの指標になるのに対して、可動率はムダ取りの実績評価になります。ジャストインタイムによる流れ生産を実現するためには、故障ゼロになる可動率100%が理想になります。
なお、稼働率と区別するために、可動率を「べきどうりつ」と呼ぶことがあります。
・稼働率 Rate of Operation
トヨタ生産方式では、「作業 = 動き + 働き」とされ、動き = ムダ、働き = 付加価値と定義されます。後者の働きが改革のキーワードとなります。
カドウ率については、上記のように稼動率と稼働率の2通りの解釈があります。何れも通常、生産にかかる所要時間を単位として得られます。
稼動率 = (稼動時間)/(操業時間)× 100%
ただ、稼動時間の内訳は、稼働時間とムダ時間の和になります。そのため、能率向上を稼働率を根拠に改善を進めると、単に動かす時間だけが増える残業などによる労働強化や、機械設備の自働化は、生産性は向上しますが、顧客不在のものづくりになる危険があり、かえってムダを増やし、コスト高も招きかねません。
一方、トヨタ生産方式で生産指標と考えるのは、稼働率になります。稼働率は作業における付加価値の比率に着目します。正味加工度、あるいは働き度とも言いかえられますが、次式で定義されます。
稼働率 = (稼働時間)/(稼動時間)× 100%
稼働時間 = サイクルタイム × 顧客要求数
稼働率は、稼働時間 = 稼動時間 に近づくため、ムダの要素を究極まで減らすムダ取りを進めて行く必要があります。
・かんばん Kanban
ジャストインタイムを実現して維持するための道具として位置付けられています。トヨタ生産方式の機能の一つになります。
かんばんは、品物の品目を表示する看板的機能と生産情報(作業指示)を示す伝票的機能とを合わせも落ちます。かんばんは、後工程が、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」前工程から引き取る「引張り生産」を原則とします。「顧客の要求」をもとにした生産計画を立案して、まず最終工程が作業します。この最終工程で生産した分を、「引取り情報」として、かんばんで伝達します(引取りかんばん)。前工程は受け取ったかんばんの情報に基づいて後工程に引き取られた分だけ、補充生産します(仕掛けかんばん)。
つまり、前工程は後工程の作業進度に基づいて生産するため、常に”生産計画 = 実績情報” であり、「情報の流れ」と実際の「ものの流れ」が一致することになります。
この各工程間およびサプライヤとの情報交換の道具が「かんばん」であり、必ず製品に付けられた移動します。トヨタ生産方式は、「かんばん無しでは物を作れない・運べない」仕組みです。品目・数量・作業指示などが明記されて、物の流れに沿って存在します。また、「かんばんのある所に“”仕掛かり”あり。」というように、かんばんの枚数は仕掛かり量であり、生産状況を表し、現場の改革を進める手がかりになり、「目で見る管理」として、有効なツールです。
そして、かんばん1枚に示すロット数、およびかんばんの枚数を最小限にとどめて、かんばんの発行・回収を細分化することが、計画変更に細かく対応して、トヨタ生産方式を維持する重要な手段です。
かんばんを適用するためのルールは、以下の6つにまとめられます。
① 後工程引取り
後工程が必要となったものを、前工程に引取りに行く。→ 引取りかんばん
② 引取り分前工程生産
後工程が引き取った分だけ生産する。→ 仕掛けかんばん
③ 100%良品
工程内で品質を作り込む。不良を出さない仕組みを導入する。→ 品質保証
④ 生産の標準化
生産のばらつきを無くして、安定した生産を維持するために、徹底して製品種別と生産量との平均化を図る。→ 平準化生産
⑤ 現物表示
かんばんは必ず現物と一緒に動かす。→ 目で見る管理
⑥ 改革ニーズ発見の道具
かんばんの枚数を減らすことにより、欠品やラインストップが品雑に起こり、問題の顕在化が図られて、真因の改革につなげることができる。
かんばんの役割を整理すると、以下のようになります。
1. 生産、運搬の指示情報
- 目で見る管理の道具
(1)造り過ぎの抑制
(2)工程の遅れ・進みの検出
- 工程・作業改善の道具
かんばんの機能別の分類では「引取りかんばん」と「仕掛けかんばん」とに分類されますが、もう少し詳しく見てみましょう。
かんばんの機能別分類 参考:https://qpon.fun/toyota/kanban/yougo/index.htm
/ 仕掛けかんばん Production Instruction Kanban
製造工程で、生産着手指示に使うかんばん。生産着手を仕掛けといいます。工程内かんばんと信号かんばんとがあります。
/ 工程内かんばん Intra-Process Kanban
工程内の生産着手指示に用いるかんばん。後工程に引き取られた量だけを、引き取った順に、後補充生産するよう仕掛けるために使うかんばん。
/ 信号かんばん Signal Kanban
1つの製造ラインで多種類の品物を加工しており、段取り替えに時間を要するロット生産工程での仕掛けに用いるかんばん。
/ 引取りかんばん Parts Withdrawal Kanban
後工程が、前工程へ部品を引取りにいくタイミングと引取り量を指示するかんばん。工程間引き取りかんばん、外注部品納入かんばんとがある。
/ 運搬かんばん(工程間引き取りかんばん) Parts Withdrawal ( Inter-Process )Kanban
社内の工程間で、後工程が前工程から必要なものを、引取るために用いるかんばん。
/ 外注かんばん(外注部品納入かんばん) Supplier Kanban
サプライヤから納入される部品に用いられるかんばん。納入はサプライヤが行うが、その際は納入工程ではずれた分だけ、サプライヤに戻した外注かんばんで納入されるため、基本的には、工程間引取りかんばんと同じ後工程引取りができます。
/ 臨時かんばん Temporary Kanban
型の保全、機械設備の修理、工場による稼働日の違いなどにより、通常生産分より多く必要とする部品の生産及び運搬を指示するかんばん。有効期限が明記されており、1回だけ使用し使用後回収されます。赤色の斜線を入れるなどして他のかんばんと識別します。
・かんばんのサイクル Kanban cycle (Delivery cycle)
かんばんには、納入サイクルが決められています。納入サイクルは、部品納入日、納入頻度(納入回数)、かんばんを引き取った便から、何回遅れの便で納入するかを取り決めたものです。かんばんサイクルの取り決めは、定期不定量の場合には必ず必要です。納入遅れの便数は、運搬のリードタイム程度にしなければなりません。
かんばんサイクルの表示方法の例を以下に示します。
“1:4:2” ; 1日に、4回納入する。納入は2回遅れの便で納入する。この場合、かんばんを持ち帰り後、2回目の便で納入する。
かんばんのサイクルの例 出典:トヨタ生産方式を理解するためのキーワード集
・工程の流れ化 Continuous Flow Processing
工程内、および工程間でのワークの停滞を無くして、一個流し生産を行うようにすることをいいます。ジャストインタイムを実現するための基本原則の一つです。
・工程別能力表 Standardized Production Capacity Sheet
ワークを各工程で加工するとき、各工程の生産能力を表すもので、手作業時間、機械の自動送り時間、および刃具交換時間などを記入して、工程能力を算出するための表をいいます。
・混載運搬 MIXED-Load Conveyance
1台の車両に、多種類の部品を積載して運搬する方法をいいます。混載運搬をすることにより、運搬効率を低下させずに(運搬車両のトータルとしての運行回数を増やさないで)、多回運搬ができて、前後工程の在庫量を少なくすることができます。また生産変動に対し運行回数の増減も容易になります。
混載運搬 ORIGINAL
サ行
・サイクルタイム Cycle Time
サイクルタイムとは、C/Tとして略されます。ワーク1個をどれくらいの時間で製作できるか、1回の作業サイクルの時間をいいます。
多くの場合、サイクルタイム(C/T)はタクトタイム(T/T)と比較されます。
C/T > T/T : 欠品
C/T < T/T : 在庫
を意味します。理想である、C/T = T/Tになるように、改革を進めます。
・作業順序 Working Sequence
材料から加工度を上げていく過程で、作業者が一番効率的に良品を製作できる作業者が行う作業の順序のことを言います。製品加工の順序を示す工程順序とは異なります。
・作業標準 Operation Standards
JIS Z8141-2022「生産管理用語」によれば、作業標準は製品又は部品の各製造工程を対象に、作業条件、作業方法、管理方法、使用材料、使用設備、作業要領などに関する基準を規定したものである。
としています。
具体的には、良い品質の製品を、安価に、早く、楽に製作するために、正しい作業のやり方と行動を規定したものになります。
一般的には、作業標準の体系は、
① 対象者別;作業者向けと監督者向け
② 用途別 ;作業用と教育用
③ 標準化対象別;直接作業についてのみ
④ 目的別;品質、安全など単独目標向け
⑤ 作成者;生産技術スタッフ
トヨタでは、これらの体系の具体的な内容が異なります。
① 対象者別では、作業者向けの作業要領書、監督者向けの作業指導者に加えて、部品別(工程別)能力表、標準作業組合せ票、標準作業票があげられます。
② 用途別では、作業用、教育用に加えて、改善用があります。
③ 標準化対象別では、直接作業および直接作業の段取り・調整作業、自主検査作業、工程・レイアウト・運搬・仕掛品、担当区分などが含まれます。
④ 目的別では、QCDSに関係します。QCDSとは、品質、原価、納期・数量・在庫量・生産期間、安全などを含みます。
⑤ 作成は、監督者自らが行うのが原則です。
・自働化 (ニンベンの付いた自動化)Jidoka
ジャストインタイムと共に、トヨタ生産方式の2本の柱の1つです。通常の自動化とは区別するために、「ニンベンのついた自動化」と言われます。
「自働化」とは、自ら働く機械を意味して、機械単独で付加価値のみを付加する仕組みを持ちます。具体的には、機械設備の異常や、品質の異常、作業遅れなど何らかの異常が生じたら、機械設備が自ら異常を検知し、自動停止するようにしたり、作業者自身が停止スイッチを押してラインを止められるようにすることをいいます。
これにより、不良の流出が無くなると共に、異常が明確にわかり異常の再発防止を図ることができるため、「品質を工程で造り込む」ことが可能になります。さらに、異常が発生しても自動停止するので、設備に対して異常発生のに対する見張りを行う必要がなくなり、「省人化(工数低減)」が可能になります。
・ジャストインタイム Just-In-Time
自働化と共に、トヨタ生産方式の2本の柱の1つで、変化に対応し、経営効率を高めるために、「必要なものを必要な時に、必要な量だけ生産・供給する仕組みとその考え方をいいます。
平準化を前提として、「後工程引取り」「工程の流れ化」「必要数でタクトを決める」3つを基本原則としています。
・順序表 Production Sequence Table
正式には「仕掛け順序表」といいます。生産を行う順序を表にしたもので、生産計画の生産車の車型比率に基づいて平準化した仕掛けの順番を表にしたものです。「順序表」と簡略化されることもあります。
・順序引き取り Sequential Parts Withdrawal
仕掛けられる製品や部品の順番が決まっている時、前工程からその仕掛け順序どおりにものを引き取ってくることをいいます。「順引き」と簡略化されることもあります。
・少人化 Flexible Manpower Line
顧客(市場)の要求(変化)に応じて、最少の人数(人件費)で効率的の生産することをいいます。作業者の増減を容易にして、多品種少量の「フレキシブル生産」を実現するための仕組みで、トヨタ生産方式の機能の一つです。
言いかえれば、「ムダを省いて、最も少ない人で対応する。」ことで、顧客の要求量に対応するための最少人数を意味します。
具体的のは、以下に示す仕組みが必要です。
① 流れ生産・一個流し
② 多工程持ち・多能工・立ち作業・助け合い作業
③ ライン化、人集め・人離し
④ 標準化
⑤ 非定員制
・省人化 Manpower Saving
「ムダを省かずに、単に人(人件費)を省く。」ことをいいます。
生産計画は、人・もの・機械・作業方法・コストの要素を、効率的に組み合わせることですが、コスト面だけにとらわれた安易な人員削減はかえって「労働強化」を招いてしまいます。
・省力化 Lobor Saving
ムダを省かずに、作業者が行う人手作業の一部を単に機械設備に置き換えることをいいます。例えば、機械設備導入により、作業者を0.9人分省力化しても、0.1人の人手作業は残り、省人化はできない状態のままです。
・生産管理板 Performance Analysis Board
ラインにおける稼働状況を知らせるための表示板で、生産予定数・生産実績とその比率の他、ライン停止の原因、改革対策、生産計画への影響を記録する表示板になります。通常は1時間単位で記入します。
標準化した計画数量を維持して、例えば作業に遅延が生じても、速やかに対策を講じるためには、常時生産状況を監視・把握する必要があります。
・生産リードタイム Production Lead Time
生産リードタイムとは、工場が受注してから、原材料の確保から製造工程を経て、製品として出荷されるまでの全ての時間の合計のことをいいます。具体的には、
① 該当製品の生産指示情報の滞留時間
② 該当製品の材料仕掛から完成にいたるまでの時間。加工時間だけではなく、工程間の停留時間も含まれます。
③ 該当製品の完成品の最初の1個(台)が完成してから、後工程が引き取る数の完成品が出来あがるまでの時間(運搬数 × 該当製品の生産タクトタイム)
であり、生産リードタイムは、①,②,③ の合計で表されます。
工程間の仕掛在庫が増加すれば、その分リードタイムは増加します。生産リードタイムを短縮するには、工程の処理時間だけではなく、工程間の無駄な時間も考える必要があります。
原材料から製品まで、どこでどのように時間を要しているのかを分析する手法に「工程分析」があります。
原材料の調達待ちや、仕掛在庫の管理までを考慮すると、工場の生産リードタイムは、工場の生産管理能力によって大きく左右されます。
・製造技術 Operations Management Engineering
ものを生産する過程で、現状の設備・材料・人をトータルとして、最も効率的に使いこなす考え方と手法をトヨタでは製造技術といいます
・外段取り Off-Line Set-Up
段取り替え作業のうち、ラインや機械設備の運転を止めないでできる段取り作業のことをいいます。すなわち、作業を中断しなくても段取り作業が進められます。
金型・刃具・治具類の事前準備、予熱作業や、後片付け等の作業をいいます。
・多回運搬 Frequent Conveyance
部品単位でみた場合の運搬頻度を多くする運搬方法をいい、前後工程の在庫量を少なくするために用います。ただし、単に車両の運搬回数を多くし、車両の積載効率を低下させないよう多回運搬するには、混載運搬をして運搬車両のトータルとしての運搬回数を増やさないような配慮が必要です。
例えば、4種類の製品を運搬する場合、各製品共の必要量は何れも1日当たり1社分とした場合、多回運搬の方法で在庫量の多寡が異なります。
多回運搬の例 出典:還暦Qpon喜寿様HP
・タクトタイム Tact-Time
顧客から要求された製品・部品を1台又は1個を生産するのに必要となる時間もしくはピッチをいいます。これは、機械能力や人員数により決められるものではなく、市場から要求された生産数量や稼働時間が判断基準となります。
1日当たりの生産数量 = (1カ月の生産数量)/(稼働日数)
タクトタイム = (1日の稼働時間)/(1日当たりの生産数量(日当たり数))
稼動時間は定時内時間とします。
タクトタイムでものを作るということは、「顧客・市場が要求する必要数によりラインピッチを決める。」ための、平準化生産を意味します。
・多工程持ち Multi-Process Handling
製品・部品を製造する順番に機械設備を設置してラインを形成し、一人の作業者が機械設備の並べられた順番に沿って、未加工品から加工済品にいたるまでの多工程のうち、より多くの工程を担当して1個づつ造り方法をいいます。
全体の流れを管理することができるため、在庫のムダが無く、不良も発見しやすい、短いリードタイムでの生産が可能で、納期変更への対応が柔軟になって、少人化が実現してコストダウンにつながります。「縦持ち」ともいいます。
・多台持ち Multi-Machine Handling
同一の仕事において、一人の作業者が同種の機械設備を複数台持ち、同一加工を大量に行うことをいいます。作業者は、機能別の単能工となるため、作業ごとにばらつきを生じ、ダンゴ生産になり易くなります。未加工状態から加工済品にいたるまでのリードタイムが長くなり、納期変更に対応しにくい、在庫が多く対流する傾向があります、「横持ち」ともいいます。
・多能工化 Multi-Skill Development
一個流しでかつ多工程持ちを行うために、多種の機械設備の操作や多種の作業、担当範囲外の作業もできるように、常に作業訓練をはかることをいいます。
多能工化を実践するためには、以下のポイントを考慮する必要があります。
① 徹底した機械設備の標準化を図り、誰もが同じように操作できるようにすること。
② 作業方法を徹底して標準化して、特殊作業、例外作業を無くすこと。
③ 多能工化を全社的に推進すること。
・段取り替え(時間)(段替え(時間)) Set-Up (Time)
製品の品種や工程内容が変わる際に、発生する段取り作業のことをいいます。プレス金型や、ドリルなどの治工具の交換、精密切削加工や化学装置の基準調整・変更、組立部品の部材の切換え、製造前の作業内容確認、清掃も段取り替えに含まれます。
段取り替え作業は、3つの作業に区分される。
① 外段取り:機械を停止させなくてもできる段取作業
② 内段取り:機械を停止させないとできない段取作業
③ 調整:段取替後 品質の精度確保やトラブル処理のため機械を停止して行なう作業
通常、段取り替え時間とは、現時点で加工している部品の加工が終わった時から、次に生産する部品の型や刃具などを交換して次の部品の良品1個目ができるまでの時間をいい、下のように区分する。
段取り替え時間=内段取り時間+調整時間
段取り替えの改革・改善がジャストインタイム実現の決め手になります。改善のための手順を示すと、以下のようになります。
① 段取り作業の分析:
段取りの仕組みを明確にする → 段取り替え実績表、段取り作業分析表 → オモテ化
② 段取り替えのムダ取り:
段取り作業は、「内段取り」、「外段取り」、「ムダ」の3つからなる → ムダ取りをする。
③ 内段取りの外段取り化
④ 内段取りの改善:
→ カセット方式、ボルトレス、並列段取り替え
⑤ 外段取りの改善:
→ 専用台車化、段取り工の設定、整理・整頓
・定位置停止方式 Fixed-Position Stop System
何らかの異常が発生した場合に、不良を出さない仕組みづくりの考え方。
手作業中心の組立ラインで、作業者が作業上のトラブル(作業遅れ、品質トラブル)などを発見した時、定位置停止用スイッチ(職制呼び出しスイッチ)を押すと、コンベアはすぐに停止しないで定められた位置(定位置停止地点)まで進み、停止するようにした仕組みをいいます。
停止信号が出てから、実際に停止するまでに一定の時間があるため、作業者、監督者が助け合って、ライン停止をせずにトラブルを処理できる可能性があります。
・定員制 Fixed Manpower
作業人員の考え方の一つで、各現場・各工程・各ラインの作業者の人数が、生産量の増減にかかわらず一定であるとする考え方です。
能率向上を図るのに定員制を基本に検討する場合、生産性( = 産出高 / 投入高 )を改善するためには、投入高は一定なので、産出高を増加させるしかありません。高度成長期の需要が供給を上回る状況なので、この考え方で問題はありませんが、多品種少量生産で市場の変動が大きい時代では、定員制ではフレキシブルな対応が難しくなります。
トヨタ生産方式では、定員制を取りません。日々変化する受注をこなして、生産性を上げるには、顧客要求に応じて作業人数を決める、非定員制の仕組みを取り入れています。これが「少人化」です。
・定時不定量運搬 Scheduled Time (Unscheduled Quantity) Conveyance
決められた時間毎にモノを運搬する方法を定時運搬といいます。この場合、運搬量は運搬間隔での後工程での消費量により一定ではありません。前工程が後工程の進捗状況に関係なく運搬するため、後工程のモノの量は変動します。後工程と前工程との距離が離れており、小刻みな運搬が困難な場合に用いられます。
・定量不定時運搬 Scheduled Quantity (Unscheduled Time) Conveyance
後工程のモノの使用が一定量に達したら、その時点で、同じ量を前工程へ引き取りに行く方式をいいます。運搬効率が良いですが、工場内運搬の原則です。この方式では、ラインが停止したときは、当然運搬も自動的に停止します。
・トヨタ生産方式 Toyota Production System
トヨタで行なっている製造に関する方式で、ムダの徹底的排除の思想に基づいて、生産の全体を通してモノの作り方の合理性を追求し、品質のつくり込みと合わせて原価低減などをする考え方と、それを進める総合技術をいいます。ジャストインタイムと自働化を2本の柱としています。
・能率 Productivity
一定時間内に出来る仕事の割合。仕事のはかどり方の程度を表し、生産工程の生産性を評価するものさし。
トヨタ生産方式では、「真の能率」と「見かけの能率」に分けられます。
/ 真の能率 True Efficiency
顧客(後工程)から要求された数量を、従来の人数より少ない人数で生産できるようになる、本当の原価低減を実現する能率です。設備の増設や改善での能率向上はコスト低減にはならないので、真の能率向上ではありません。
/ 見かけの能率 Apparent Efficiency
顧客(後工程)から要求された数量に対して、人数は変更せずに生産量を増やして能率を上げる方式です。この方式は、要求量より多い分だけ作りすぎのムダになります。
/ 全体の効率と個々の能率 Total Productivity and Independent Productivity
トヨタ生産方式は、ジャストインタイム生産により企業全体の効率向上を追求しています。これの対極の位置にあるのが、個々のライン・工程・あるいは各機械設備など、前工程・後工程に関係なく、自工程の能率だけをあげようとしてとられる能率の考え方を、個々の能率といいます。
個々の能率向上だけを追求する部分最適化の考え方では、必要数以上にものを造ったり、自工程の都合でダンゴ生産を行なったりしがちになります。
・乗り継ぎ運搬 Truck Transfer System
トラックの運搬作業と積み下ろしの荷役作業との役割を分離して、運転者は目的地へ運搬・納入したら、納入場所で、既に積み込み(積み卸し)が終わって待機しているトラックに乗りかえる方式です。
この方法により、荷役作業と運搬作業を平行して行うことができ、物流のリードタイム短縮・在庫量低減が可能となります。また、運転手の数と比較して、多い台数のトラックを運用することにより、運転手の運搬の生産性を向上させることができます。
ハ行
・ハイヤー方式 On-Call Delivery
運搬専従者(水すまし)が、プレス品や鋳鍛造品などをリフト・台車などで、1パレットずつ運搬する作業に摘要する方式。各部品を必要とする工程からの運搬依頼情報が表示される集中管理板(集中アンドン)に、ある工程で必要なモノを表示されると、待機している運搬専従者が、その工程で要求されるモノを、1パレットの単位で供給します。供給後の運搬専従者は、集中管理板の前に戻り、次の運搬指示を待つシステムです。
・離れ小島 Isolated Jobsites
主ライン工程から離れて孤立していて、一人もしくは数人で単独に作業するライン構成をいいます。
袋詰めやワッシャ入れなどの組立作業を行うケースが多いです。生産変動に対応できないラインであり、少人化の阻害要因になります。インライン化を進める対応を進める必要があります。
・はみだし品 Overflow Parts
製造現場のライン側の部品棚など、指定の部品置場からはみだして、床などに置いてある部品をいいます。
・標準作業 Standardized Work
人の動きを中心として、ムダの無い順序で、人と機械設備、モノを最も効率的に組み合わせて生産できる仕組みを標準作業といいます。
標準作業の目的は、以下の如くです。
① 人、モノ、機械を有効に組み合わせて、良いモノを安価に、効率よく、安全に、低在庫で、必要な数だけ、短い製作期間で作るために決めた基準のこと。
② 人を中心とした作業の改善手段。
また、標準作業の3要素と言われるものは、タクトタイム・作業順序・標準手持ちになります。
標準作業の決定手順は、以下のようになります。
① タクトタイムを決定する。
② 1個当たりの製作時間を決める。
③ 作業順序を決める。
④ 標準手持ち数を決める。
⑤ 標準作業票を作成する。
・標準作業組合せ票 Standardized Work Combination Table
標準作業を実践するにあたり、目安となる作業票に一つになります。タクトタイムを基準として、人と機械設備の作業に時間的な経過を表にするためのものです。作業手順は以下のとおりです。
① タクトタイムを赤線で引く。
② サイクルタイムから、一人でできるか否かの見当をつける。
③ 作業内容を工程順に記入する。
④ 手作業・自動送り・歩行時間数をそれぞれ記入する。
⑤ ④の数値を表にしてグラフ化する。
⑥ 作業の組合せをチェックする。手持ちのムダなどの問題点を洗い出す。
⑦ 標準作業組合せ票通りに作業が出来るか、実践・確認する。
・標準作業票 Standardized Work Chart
目で見る管理の道具の一つで、あらかじめ決められた標準作業が正しく実施されているか、随時確認するために提示される工程レイアウトや作業手順を一目でわかるように図で表したもので、「歩行図」ともいいます。標準作業組合せ票と対で用いられます。これらは各作業者ごとに作成されます。
記入項目は以下のとおりです。
① 作業順序:
作業順に機械設備配置図にナンバリングして、これを実線で結ぶ。ただし、工程の最後と最初とを結ぶ線は破線とする。
② 品質チェック:
品質チェックの必要な機械設備に印をつける。
③ 安全注意:
安全・保全面で注意の必要な機械設備に印をつける。
④ 標準手持ち:
手持ちが必要な個所に印をつける。
⑤ タクトタイム/サイクルタイム
⑥ 正味時間:
標準作業手順に従って行ったときの作業時間。正味時間に、品質チェックや治工具交換時間は含まない。
⑦ 標準手持ち数:
最低限必要な手持ち数量。自動送り・人離しのモノは一つに数える。
⑧ 分解番号:
複数の作業者でワークを完成させる場合に必要である。
・平準化 Levelled Production (Heijunka)
徹底した、品種と量の平均化をいいます。どの時間帯をとらえても、取り扱っているすべての品種とそれぞれの生産量が生産比率に比例し均一にします。生産計画は、日当たり生産、また時間・分・秒単位まで細かく立てるのが望ましいです。そうすることにより、計画変更や、追加注文に対して柔軟な対応ができます。また、小刻みに生産し、速やかに納入するので、在庫量が少なくなります。
平準化を実践するにあたっては、次のポイントがあります。
① 月産数、日当たり数から、タクトタイムを算出する。
② タクトタイムを基本にして、タクト表を作成する。
③ 段取り替えや部品切替えの時間を短縮する。
④ 生産の流れ化を図る。
⑤ 情報を小刻みに伝達し、モノの運搬は多数回引取りとする。
・ペースメーカー Pacemaker
ライン作業を一定のペースで行えるように整えるシステムです。
製造業の現場では、作業員のペースにより、生産作業が進められるため、作業スピードにバラツキ(ムラ)が生まれがちです。このムラを見える化して、作業スピードを一定に保つようにする仕組みがペースメーカーです。
効果的な、ペースメーカーは「強制移動」によるものです。例えば、作業ラインに、駆動コンベアを導入して、一定速度で流れるように設定すれば、作業者はペースに合わせて作業を完了できます。
・ポカヨケ Failsafe Devices (Pokayoke)
不良を生み出す、作業者の作業ミスを総称して「ポカミス」と呼び、ポカミスを犯しても不良が避けられる仕組みを「ポカヨケ」といいます。不良ゼロを実現化するための対策の一つで、機械設備などにポカヨケの仕組みを組み込んでいきます。
ポカヨケの仕組みとしては、「異常停止」、「作業ミス規制」、「予知警報」、「不良停止」、「流れ規制」、「発生警報」などに分類されます。
マ行
・水すまし Fixed-Course Pick-Up (Mizu-sumashi)
部品供給係のこと。部品置場と工程間を、部品を運搬して巡回することから、水面を旋回する「水すまし」にたとえられます。
・ムダ Muda (Non-Value Added)
生産現場において、付加価値を生み出さないで、原価だけを高める生産活動の諸要素をいいます。
標準作業、流れ化、および目で見る管理は、ムダの発見方法であり、道具です。トヨタ生産方式では、これらをもとに発見したムダを区分して「7つのムダ」に分類しています。
ムダをなくす基本的な取組には、次に示す方法があります。
① 4Sを徹底して、ムダが見える職場にする。
② 標準作業を決め、しっかり守らせる。
③ 「かんばん」による生産方式で、進み過ぎを規制する。
④ コンベアラインに作業域を明示し、早めに手掛けることを止めさせる。
⑤ 目で見てわかる管理の道具を工夫する。
/ 作りすぎのムダ Muda of Over-production
7つのムダの中で一番問題となるムダになります。
ジャストインタイム生産の鉄則にはずれ、必要な時より早くつくりすぎたり、かんばんなどに示される必要以上に生産すること、及びそのために発生する在庫をいいます。このつくりすぎのムダは、手待ち、動作のムダを隠したり、加工・運搬のムダを発生させるとともに、運搬車、パレットなどの増加という2次的ムダを発生させてしまいます。
/ 手待ちのムダ Muda of Waiting
加工・運搬・検査など、いろいろな場面で発生する、作業をしたくても出来ない状態を手待ちといいます。
具体的な例としては、前工程からモノが来るのを待っていたり、自動加工をしている機械の監視、設備の故障・停止、つくり過ぎによる順番待ちなどがあります。機械の稼働率よりも人の待ちを重視しなければなりません。
/ 運搬のムダ Muda in Conveyance
運搬は、すべての作業につきものですが、運搬自体は付加価値を生まないので、ムダと考えます。
倉庫から材料や部品を運搬により、次工程へモノを送るために、仮置きや移し替えをするなど、不必要な運搬や長い距離の運搬はムダです。
/ 加工のムダ Muda in Processing
工程の進行や、加工品の精度などには何ら寄与しない不必要な加工を行うことをいいます。
/ 在庫のムダ Muda of Inventory
ものづくり企業では、原材料、部品、仕掛品、製品などの在庫が存在します。在庫は多過ぎると、資金の流動性を低下させ、また、借入金の金利や保管費用などのムダのコストが発生します。さらに陳腐化や劣化を起こす可能性があります。
/ 動作のムダ Muda of Motion
生産活動で、付加価値を生まない人の動きや、機械・設備の動きを、動作のムダといいます。
/ 不良・手直しのムダ Muda of Correction
廃却しなければならない不良品や、手直しをしなければ製品にならない物を造ってしまうことをいいます。
手直し工程、調整工程を、正規の工程にしてしまうと、このムダが発生している感覚が薄れてしまい、改善が進みいません。
・ムラ Mura (Unevenness)
製品や部品の生産計画や生産量が一定でなく、一時的に増減変動する状態をいいます。作業者に対しては、ある基準に対して、負荷のバラツキがある状態を示します。
・ムリ Muri (Overburden)
生産現場において、作業者では、心身に過度の負担がかかることをいい、機械設備に関しては、それらが保有する能力に対して、過度の負荷をかけることをいいます。
ムダ・ムラ・ムリを総称して「3ム」といいます。
・目で見る管理 Visual Control
管理・監督者が、生産活動の状態が正常か異常かを、目で見て即時に判断できる現場管理の形態をいいます。目で見る管理の方法として次のようなものがあります。
① 赤札、 ② かんばん、 ③ 生産管理板、 ④ 白線表示、 ⑤ 赤ライン、 ⑥ 標準作業票、 ⑦ アンドン、 ⑧ ミス防止板、 ⑨ さらし首
ヤ行
・ヨーイ・ドン方式 Simultaneous-Start Time Study
実践的にラインバランシングを行う方法で、作業者がラインより一歩下がったところで待機し、現場リーダーの「ヨーイドン」のかけ声で、一斉に作業を始めます。作業者間に停滞、待ちを発生させて、作業者のアンバランスを起こし、目で見ることにより、現場で作業バランシングを行う方法です。
数字
・1個流し(⽣産) One-Piece-At-a-Time Production
工程順にワークを1個づつあるいは1台づづ、加工・組立てを行い、1個づつ次工程に流す手法です。流れ生産、1個づくりの根本的条件になります。
JIT改革の基礎となる、「徹底したムダ表面化の思想と技術」と考えられます。
まず、現在の設備レイアウト、作業手順で、1個流しを試みます。こうすることにより、ロット単位の作業では、運搬のムダなど、いわゆる7つのムダなどいろいろなムダに気付きます。この気づきから、これらのムダを取り去るために、工程順に設備機械を設置する「ライン化」、「立ち作業」、「多工程持ち」、「多能工化」や、「U字ライン」
へ改ざんすることができます。
・4S Four S’s
整理、整頓、清潔、清掃の4つの日本語の表音の頭文字を示したものです。トヨタ生産方式では、作業改善の面から重要性を強調して、改善の道具としています。4Sに躾(しつけ)を加えて5Sともいいます。
整理・整頓は能率と安全を示し、清掃・清潔は品質の基本と言われています。
/ 整理 Seiri (Sifting)
現場で必要なモノと不要なモノとを区別して、不要なモノは即刻廃棄することをいいます。
/ 整頓 Seiton (Sorting)
整理し、必要として残したモノを、誰もが必要な時に、必要なだけ容易に取り出せたり、使いやすいように、所番地を定め、並べて置くことをいいます。単純に並べて置くだけでは整列であり、整頓ではありません。
探すムダが発生するようでは、整頓された職場とはいえません。
/ 清掃 Seiso (Sweeping and Washing)
油汚れやほこりを十分に除去することで、機械設備や作業員の能力が十分に発揮できる職場づくりをすることです。
/ 清潔 Seiketsu (Spick and Span)
整理、整頓、清掃の3Sを、良好な状態を維持することをいいます。
・5回のなぜ Five “Whys”
大野耐一氏の著書である「トヨタ生産方式」に記述がある、真因を突き止めるための手法で、なぜなぜ分析ともいわれています。
一つの問題に対して、「なぜ?」と問題を引き起こした要因を現地現物で見つけ出し、さらに「なぜ?」を繰り返すことで、要因を発見していきます。「なぜ?」を何回か繰り返すことで、問題の根本原因(真因)を発見することができ、根本的な対策を打つことができます。
非常に人気のあるツールですが、提案者により作法が異なり、本当にものづくりの現場で役に立つのかなと考えさせられる作法もあります。常に、現地現物でものを見て考えるようにしましょう。
アルファベット
・AB制御 Two-Point Control
⼯程あるいは⼯程内の標準⼿持ち量が常に⼀定に保持されるように、各搬送機の動いてもよい条件及び⼯程から製品を搬送できる条件を、2ヵ所(A点・B点)の製品の有無により制御する仕組みをいいます。
後工程での仕掛かりが標準手持量になったとき、前工程の機械が停止する仕組みになります。AB制御の仕組みを組み込んだラインを「フルワークシステム」といいます。
AB制御の説明
・QC工程表(図) QC Process Table (Chart)
一つの製品について、原材料、部品の供給から完成品として出荷するまでの工程を示し、各工程の特性に合わせた管理項目を決められた規格や基準に基づいて、誰がいつ、どのような方法で検査、チェックし、管理していくかを定めたものです。
QC工程表を見れば、この工程で何を目的として、どのような作業が行われ、どのようにチェックしていけばよいのかがわかり、各工程での管理項目(管理特性)と管理方法とを明確にしたものです。QC工程表は、QC工程図、管理工程図などといいます。また、英語では、”Control plan” といいます。
QC工程表は、概略次の手順で作製します。
(1)QC工程表を計画・管理する部署は、製品実現計画に基づいて、適用する工程順に必要な監視・測定の管理項目を明確にします。
主要な項目は、以下のとおりです。
① 工程管理:工程名、管理項目、管理水準、方法(サンプリング、監視・測定)、管理帳票、不適合時の処置、担当部署
② 作業標準書:作業手順書、基準書、条件表
③ 設備・治工具の管理:名称、点検項目、管理水準、点検方法、管理帳票、不適合時の処置、担当部署
(2)改訂を実施した場合、改訂記録をQC工程表の「改訂履歴欄」に記述します。
(3)各工程での作業者は、QC工程表に従い、定められた工程管理や、設備・治工具などの管理を行います。
QC工程表を正しく活用することにより、監視・測定作業が的確に実行でき、確実な工程管理が行えます。
|
|
参考文献
還暦Qpon喜寿様HP トヨタ生産方式(TPS)用語集 https://qpon.fun/toyota/kanban/yougo/index.htm
図解5S・JIT基本用語 平野裕之 日刊工業新聞社 1994年
トヨタ生産方式で品質管理を徹底するためのキーワード集 千野俊猛 日刊工業新聞社 2004年
トヨタ生産方式を理解するためのキーワード集 トヨタ生産方式を考える会 日刊工業新聞社 2001年
ORG:2023/10/04