1.19 力のモーメント(Moment of force)
1.19 力のモーメント(Moment of force)
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モーメントは、力が物体に作用し、この物体をある定点(あるいは軸)のまわりに回転させようとする傾向を生じるとき、力の回転に対する効果を表すもので、その力の大きさと定点より力に至る距離(定点から力のベクトルへの垂線の長さ)との相乗積で表されます。
図1は、はりに働く力のモーメントに説明図です。物体に\( P \)という力が作用したとき、点Oのまわりのモーメントは、\( P \times l \)に等しくなります。この\( l \)の値をモーメントのアーム(arm)といいます。
モーメントの単位は、力の単位と長さの単位との積で、通常はN・m またはN・cm で表されます。
同じ平面で作用する複数のモーメント合成したモーメントは、それぞれのモーメントの代数和に等しくなります。各々のモーメントを、その回転方向によって正および負に区別して、その代数和を求めると、合成モーメントが得られます。
図1はりに働く力のモーメント 出典参考:実務の力学
図1において、点Oのまわりの合成モーメント\( M \)は、
\( M = Pl – Qm \)
となります。
図2の場合は斜めに取り付けられた部材AOBの点Aに荷重\( P \)が垂直に加わると、点OのまわりにOAを右方向に回転しようとするモーメントが作用します。曲げモーメントの値は\( P \times l \)になります。
\( P \)の値をAOBの方向とその直角方向とに分解すると、力\( P_{ 2 } \)はOAの線上にあり、モーメントのアームは0なので、モーメントは発生しません。一方、AOBの直角方向に分解した力\( P_{ 1 } \)により、モーメントは\( P_{ 1 } \times OA \)です。
\( P \times l \)と\( P_{ 1 } \times OA \)とを比較すると、斜材AOBが水平線となす角度を\( \alpha \)とすると、
\( P_{ 1 } = P \cos \alpha \)
\( l = OA \cos \alpha \)
従って、\( P_{ 1 } \times OA = P \cos \alpha \times OA = Pl \)
となり、同じ値になります。
図2斜めに取り付けられた部材のモーメント 出典参考:実務の力学
参考文献
機械設計 実務の力学 伊藤隆吉 理工学社 1971年
引用図表
図1はりに働く力のモーメント 出典参考:実務の力学
図2斜めに取り付けられた部材のモーメント 出典参考:実務の力学
ORG:2023/12/27