1.22 慣性モーメント
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1.22 慣性モーメント(Moment of Inertia)
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1.慣性モーメントの定義
質量\( m \)(kg)の物体が回転軸から\( r \) (m) の距離で、回転数\( n \)(s-1)で回転しているとすると、物体の速度は、
\( v = 2 \pi r n \) (m/s2)
であり、この物体が持つ回転による運動エネルギ\( A \) は、
\( A = \displaystyle\frac{ 1} { 2 } \cdot m(2 \pi r n)^2 = \displaystyle\frac{ 1 }{ 2 } \cdot m r^2 (2 \pi n)^2 \)
\( = \displaystyle\frac{ 1 }{ 2 } \cdot mr^2 \omega^2 \) \( ( J ) \) (式1.22.1)
ここで、
\( \omega = 2 \pi n \) (rad/s);角速度
式1.22.1 で\( m r^2 \) は、回転数によらない定数になります。従って、
\( J = mr^2 \) (式1.22.2)
を回転軸に対する回転モーメントと定義します。慣性モーメントを表す記号は、昔は、\( I \) を用いていましたが、電流\( I \) と紛らわしいことから、現在では\( J \) を用いています。慣性モーメントの単位は(kg-m2)になります。
回転の運動エネルギーは、
\( A = \displaystyle\frac{ 1 }{ 2 } \cdot J \omega ^2 \) \( (J) \)
で表すことができます。
2. 極慣性モーメントと回転半径
質量\( M \)(kg)の物体の微小部分\( dM \) と、特定の\( O \) との距離を\( r \) とするとき、\( r^2 \) と\( dM \) との積を物体\( M \) の全部分について積分したものを、点Oの関する極慣性モーメント(polor moment of inertia)\( J_{ O } \) と定義します。
\( J_{ O } = \displaystyle\int r^2 dM \) (式1.22.3)
また、ここで微小部分\( dM \) と特定の軸Aとの距離を\( a \) とすると
\( J_{ A } = \displaystyle\int a^2 dM \) (式1.22.4)
により得られる\( J_{ A } \) を、物体の軸Aに関する慣性モーメントといいます。
物体の全質量を\( M \) としたときに、軸から\( k \) の距離に全質量\( M \) が集中していると考えると式が得られます。
\( J = k^2 M \)
∴ \( k = \displaystyle\sqrt \frac{ J }{ M } \) (式1.22.5)
で定義される\( k \) を回転半径(radius of gyration)といいます。
3. 回転軸が重心を通らない場合の慣性モーメント:平行軸の定理(Steiner の定理)
質量\( M \) (kg)の物体について、回転軸が重心を通る場合の慣性モーメント\( J_{ G } \) がわかっている場合、重心から外れた平行軸についての慣性モーメント\( J_{ P } \) は、平行軸の定理から求めることができます。
\( J_{ P } = J_{ G } + Mh^2 \) (式1.22.6)
ここで
\( J_{ G }\):重心を通る軸周りの物体の慣性モーメント
\( h \):2つの平行軸間の距離(m)
4. はずみ車効果
ポンプなどの起動時のトルクを計算するなどするときに、慣性モーメントが用いられますが、昔は重量単位系のGD2がよく使われていました。GD2の単位は(kgf-m2)です。
慣性モーメントJとの換算は、次式によります。
\( J = GD^2/4g \)
の関係があります。ここで、\( g \):重力加速度です。
5. いろいろな形状の慣性モーメント
表1.22.1 に回転体の慣性モーメントの例を示します。
表1.22.1 回転体の慣性モーメント
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参考文献
A Textbook of Machine Design R.S. Khurmi et al. EURASIA PUBLISHING HOUSE (PVT.) LTD. 2005
機械設計_イナーシャをどう設計するか 1980年9月号 日刊工業新聞社
引用図表
表1.22.1 回転体の慣性モーメント 参考:住友重機械工業(株)様HP
ORG:2021/05/20