1.26 動力

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1.26 動力(Power)
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1.動力の定義
動力とは、単位時間当たりの仕事として定義されます。
動力=(仕事)/(時間)
SI単位系では、単位はワット(W)を用います。1Wは、1秒当たり1Jの仕事をしたときの動力で、
\(1W=1J/s=1N・m/s\)
となります。一般には、1000Wに等しい1kWと呼ばれる大きい単位が用いられます。
ここで例題です。
井戸から井戸水をくみ上げる場合を考えましょう。
質量5kgの水が入るおけを、10m下の水面から1回10秒でくみ上げる人(Aさん)と、5秒でくみ上げる人(Bさん)がいます。
図1.26.1 井戸水をくみ上げる
1回の仕事は2人とも、
\(5×9.80665×10=490J\)
で同じですが、動力は
Aさん: 490/10 = 49 W , Bさん: 490/5 = 98 W
となり、BのほうがAと比較して2倍のパワーがあることになります。
\(P=A/t=\frac{Fl}{t}=F・\large{\frac{l}{t}}=Fv\) (式1.26.1)
ここで、
A:仕事
F:力
l:移動距離
t:時間
v:速度
2.モータの動力
図1.26.1 に、荷物をワイヤロープで吊り上げるクレーンの模式図を示します。ワイヤロープはモータによる回転するドラム(巻胴)と呼ばれる円筒に巻き付けられて、荷物を上下させます。
図1.26.2 クレーンの模式図
直径Dのドラムが、電気モータにより1分間にn回転して荷物を引き上げるときにワイヤロープに加わる張力をF[N]とすると、動力P[W]は次式で表されます。
\(P=F\large(\frac{\pi Dn}{60×1000})\) [W] (式1.26.2)
ドラムを回そうとするトルクT[N・m]は、力のモーメントで表されます。
\(T=F\large(\frac{D}{2})\) [N・m] (式1.26.3)
この時の動力は、(式1.26.1)に、(式1.26.2)を変形した\(FD=2T\) を代入すると、
\(P=\large\frac{2\pi nT}{60×1000}\) [W] (式1.26.4)
になります。
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参考文献
A Textbook of Machine Design R.S. Khurmi et al. EURASIA PUBLISHING HOUSE (PVT.) LTD. 2005
絵ときでわかる 機械設計 池田茂 et al. オーム社
引用図表
図1.26.1 井戸水をくみ上げる ORIGINAL
図1.26.1 クレーンの模式図 絵ときでわかる 機械設計
ADD:2021/10/20
ORG:2019/12/6