10.16 横すみ肉溶接継手の強度

10.16 横すみ肉溶接継手の強度(Strength of Transverse Fillet Welded Joints)

 

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すみ肉または重ね継ぎは、プレートを重ねてプレートの端を溶接することで得られます。
横すみ肉溶接は、引張強度を考慮して設計されています。図 1 に示すように、1 重および 2 重の横すみ肉溶接を考えます。

 

図1 横すみ肉継手  出典: Textbook of Machine Design

すみ肉接合部の強度計算を行うには、すみ肉の断面は直角三角形 ABCとします。斜辺 AC は他の 2 つの辺 AB および BC と等しい角度45° とします。
すみ肉継手の関係を、図 2 に示します。各辺の長さAB、BCは、溶接の脚またはサイズといいます。脚の交点Bから、斜辺ACへの垂直距離を、のど厚といいます。溶接部の最小面積は、のど厚 BDと溶接線の長さとの積で、えられます。

図2 横すみ肉継手の強度計算  出典: Textbook of Machine Design

ここで、
\( t \) = のど厚 (BD)、
\( s \) = 溶接脚長またはサイズ、= プレートの厚さ、
\( l \) = 溶接部の長さ

図 2 から、
のど厚は、
\( t = s \times \sin 45° = 0.707 s \)

従って、溶接部の最小面積もしくはのど面積は、
\( A = のど厚 \times 溶接部長さ \)
 \( = t \times l = 0.707 s \times l \)

溶接金属の許容引張応力を\( \sigma_{ t } \)σtとすると、

一重すみ肉溶接継手の引張強度\( P \)は、
\( P = のど面積 \times 許容引張応力 = 0.707 s \times l \times \sigma_{ t } \)

二重すみ肉溶接継手の引張強度\( P \)は、
\( P = 2 \times 0.707 s \times l \times \sigma_{ t } = 1.414 s \times l \times \sigma_{ t } \)

となります。

注: 溶接部はどうしても母材(プレート)より弱くなります。そのため溶接部には余盛を行うことになります。ただ、すみ肉溶接の余盛は止端部(プレートとの接合面)が、応力集中を生みやすいので、疲労設計を考慮する場合は、余盛を削るなど後処理を施す必要がある場合も考慮しなければなりません。

参考文献
Textbook of Machine Design  R.S.KHURMI and J.K.GUPTA  EURASIA PUBLISHING HOUSE (PVT.) LTD. 2005年

引用図表
図1横すみ肉継手  出典: Textbook of Machine Design
図2横すみ肉継手の強度計算  出典: Textbook of Machine Design

ORG:2024/08/18