10.17 平行すみ肉溶接継手の強度

10.17 平行すみ肉溶接継手の強度(Strength of Parallel Fillet Welded Joints)

 

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平行すみ肉溶接継手はせん断強度を考慮して設計されています。図1 に示す二重平行すみ肉溶接継手について考えます。前回の記事で、溶接の最小面積またはのど部面積については、10.16で説明しましたので、参照して下さい。

のど面積: \( A = 0.707 s \times l \)

\( \tau \)を溶接金属の許容せん断応力とすると、単一の平行すみ肉溶接の接合部のせん断強度は、

\( P = のど面積 \times 許容せん断応力 = 0.707 s \times l \times \tau \)

二重平行すみ肉溶接の接合部のせん断強度は、

\( P = 2 \times 0.707 \times s \times l \times \tau = 1.414 s \times l \times \tau \)

図 1平行すみ肉溶接継手の例  出典:Textbook of Machine Design

注: 1.
図1(b)に示すように、単一の横方向すみ肉溶接と二重平行すみ肉溶接が組み合わされている場合、接合部の強度は単一の横方向すみ肉溶接と二重平行すみ肉溶接の強度の合計で表されます。

数学的には、

\( P = 0.707 s \times l_{ 1 } \times \sigma_{ t } + 1.414 s \times l_{ 2 } \times \tau \) 

ここで、\( l_{ 1 } \)は通常、プレートの幅、\( l_{ 2 } \)は平行すみ肉溶接長さを示します。

注:2.
強化すみ肉溶接の場合、のど寸法は \( 0.85 t \) とすることができます。

例1: 幅 100 mm、厚さ 10 mm のプレートを、二重平行すみ肉を使用して別のプレートに溶接します。プレートには 80 kN の静的荷重がかかります。溶接部の許容せん断応力が 55 MPa を超えない場合の溶接部の長さを求めます。

解答。与えられた値: *幅 = 100 mm、厚さ = 10 mm、P = 80 kN = 80 × 103 N  \( \tau \) = 55 MPa = 55 N/mm2

l = 溶接の長さ、
s = 溶接のサイズ = プレートの厚さ = 10 mm ・・・ (既定値)

二重平行すみ肉溶接でプレートが支えられる最大荷重は、

\( 80 \times 10^3 = 1.414 \times s \times l \times \tau = 1.414 \times 10 \times l \times 55 = 778 l \)

∴ \( l = 80 \times 10^3 / 778 = 103 mm \) ・・・ Ans

 

 

参考文献
Textbook of Machine Design  R.S.KHURMI and J.K.GUPTA  EURASIA PUBLISHING HOUSE (PVT.) LTD. 2005年

引用図表
図 1平行すみ肉溶接継手の例  出典:Textbook of Machine Design

ORG:2024/08/19