2.9 合金鋳鉄

2.9 合金鋳鉄(Alloy Cast Iron)

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2.8項に示す鋳鉄は、炭素の他にシリコン、マンガン、硫黄、リンなどの成分が微量含まれています。 これらの鋳鉄は、普通鋳鉄と呼ばれます。本項で記述する合金鋳鉄は、ニッケルや、クロム、モリブデン、銅、マンガンなどの合金元素を添加することにより、機械的性質や、耐熱性、耐食性、耐摩耗性などの性質を改善したものです。これにより、普通鋳鉄では対応できない環境でも使用できるようになります。表2.9.1 に比較的使用される合金鋳鉄の例を示します。

表2.9.1 合金鋳鉄の例

 

1.低クロムねずみ鋳鉄(low chromium gray cast iron)

Crは強い炭化物生成元素で、鋳鉄の組織を大きく変化させます。低クロム鋳鉄は、1.5%以下のCrを添加したもので、パーライトを安定化させて、かつ微細化させるので、機械的性質および、耐熱性、耐摩耗性、耐食性の向上が図られています。Crが多いと白銑化しやすいのでNiやCuなどの黒鉛化促進元素を添加することが多いです。

 

2.高クロム鋳鉄(high chromium cast iron)

高クロム鋳鉄は、Crを10~35%添加したもので、Cr炭化物が大量に存在して耐摩耗性に優れています。また、耐熱性や耐食性もステンレス鋼に匹敵するレベルです。

 

3.低ニッケル鋳鉄(low nickel cast iron)

低ニッケル鋳鉄は、Niを4%以下添加したもので、CrやMoを併用して機械的性質の向上を図っています。Ni-Cr鋳鉄あるいは Ni-Cr-Mo鋳鉄と呼ばれます。

 

4.マルテンサイト鋳鉄(martensitic cast iron)

Niの添加量が4~8%程度になると、基地組織がマルテンサイトあるいはベイナイトとなり耐摩耗性が非常に優れた鋳鉄になります。これをニハード鋳鉄と呼びます。CやCrが多いほど耐摩耗性は良好となります。

 

5.オーステナイト鋳鉄(austenitic cast iron)

Niを12%以上含有すると、鋳鉄は鋳造したままで黒鉛とオーステナイト基地からなるオーステナイト鋳鉄となり、耐熱性、耐食性に優れた材料となります。また非磁性になります。ニレジスト鋳鉄が最も有名ですが、その他にも、モネル鋳鉄、ニクロシラル、ノーマグといった名称で呼ばれるものがあります。

 

 

 

参考文献
A Textbook of Machine Design  R.S. Khurmi et al.   EURASIA PUBLISHING HOUSE (PVT.) LTD. 2005
機械工学便覧 第6版  β02-02章

 

引用図表
表2.9.1 合金鋳鉄の例   改機械工学便覧


ORG:2019/11/21