3.11 冷間加工プロセス

3.11 冷間加工プロセス(Cold Working Processes)

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冷間加工プロセスには、以下の通り様々なものがあります。

1. 冷間圧延

冷間圧延は、一般的に滑らかで明るい表面仕上げが得られるので、すべての形状の棒材やロッド、板、帯板の製造に採用されます。
また、熱間圧延した製品をより精密な公差でじん性と硬さを向上させるために最終仕上げに使用されます。熱間圧延した製品は、はじめにスケールを除去するために酸に浸漬した後、水で洗った後乾燥させます。この製品を洗浄するプロセスは、酸洗いとして知られています。これらの洗浄後は、圧延機を通過します。圧延機は熱間圧延に使われているものと同様です。

2. 冷間鍛造

冷間鍛造は、スエージングとも呼ばれています。冷間加工のこの方法で、金属は圧縮力と衝撃によりダイの形状に沿ったあらかじめ決められた形状に形作られます。延性金属を成形するのに広く使用されます。以下に一般的に使用される冷間鍛造プロセスを示します。

(a) サイジング

冷間鍛造の最も単純な形式です。より厳しい公差と平坦な面を得るために鍛造品や鋳造品、もしくは鋼製品をわずかに圧縮する操作です。垂直方向の圧縮のみに限定されます。

(b) 冷間圧延

このプロセスは、ボルトやリベットのような頭を持つ部品に広く適用されます。通常はコールドヘッダーマシンが使われます。ねじの頭は非加熱材料から作られるので、機械は高圧に耐えられなければなりません。棒材は、機械に供給され切断されねじ頭のダイスに移動します。ボルトの頭を成形した後、ねじ転造機でネジが形成されます。これもまた冷間加工プロセスです。ねじ転造のプロセスは、表面がねじ形状に溝が設けられた2つの回転ロールの間にブランク材を通過させます。

(c) ロータリースエージング

この方法は、回転しながら短いストロークの往復運動を高速で行う2~4個のダイスをにより、棒材やパイプを直下方向に加圧しながら素材の断面形状を変化させる方法です。素材へのダイスの加圧は、バッカーと呼ばれる治具の抑えの頂面に形成されたカム面がローラと転がり接触にすることにより行われます。素材はダイスによる加圧が解除される短い時間の間に軸方向に行われます。

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ロータリースエージング    出典: https://www.yano­iw.co.jp/shibori/index.html

3. コールドスピニング

コールドスプリングのプロセスは、金属が室温で加工されることを除けば、ホットスピニングと同様です。コールドスピニングプロセスは、アルミニウムなどの軟質金属に適しています。一般的には、アルミニウムやその合金をやかんや、調理器具、液体容器、反射板などに加工するのに使われています。

4. 冷間押出し

冷間押出しの原理は熱間押出しと全く同様です。最も一般的な冷間押出しプロセスは、衝撃押出しです。冷間押出しの操作はパンチとダイスにより行われます。ビレットを金型の中に適正な位置に置いて、高速、高圧力でパンチを上から打撃します。金属はカップ状部材を形成するパンチの表面に沿って流れます。パンチが上方に移動するとき、圧縮空気をパンチから部品を分離するために使用します。側壁の厚さは、パンチとダイスとの間にできる隙間量によって決まります。衝撃押出しプロセスは、鉛や、スズ、アルミニウム、亜鉛及びその合金のような軟質の延性材料に限定されます。衝撃押出しの製品は、薬の軟膏などのチューブに使われています。

5. 冷間引抜き

冷間引抜きは、一般的に棒材やロッド、ワイヤなどの製造に使用されます。重要な冷間引抜きプロセスとして、以下のようなものがあります。

(a) 棒材、もしくはロッドの引抜き

棒材の引抜きについて、工場から出荷された熱間引抜き棒材やロッドは最初に、酸洗、洗浄し、表面の酸化を防止するために被覆を行います。引抜機は、冷間引抜きのために使用されています。
棒材の一端は、引抜きダイスに入れることができるようにスエージング加工で直径を小さくしています。この棒材の端面は、引抜機のダイスに挿入してチェーンに固定されたキャリッジのジョーによって保持されます。引抜きが可能な棒材の長さは、キャリッジの最大移動距離によって制限され、おおよそ15~30mです。冷間引抜きは、高い表面仕上げと正確な寸法が得られます。出来上がった製品は、特に追加の機械加工無しに使用されます。

(b) 伸線

伸線では、工場から出荷された圧延棒材は、最初に酸洗され、洗浄の後酸化を防止するために被覆されます。その後、要求される線形になるように径を徐々に減じた数個のダイスを通します。ダイスは通常は超硬材料で製作されています。

(c) 管引抜き

管引抜きは棒材引抜きとほぼ同様であり、ほとんどの場合引抜機を使用します。

6. 冷間曲げ

棒材や線材、管、形鋼、シートメタルは、ダイスにより冷間で色々な形状に曲げることができます。少し考えればわかりますように、金属が弾性限界を超えて曲げるとき、曲げの打ち上げは圧縮状態である一方、外側は引張状態になります。金属の外側の引張は部材を薄くします。通常、金属帯はロール成形により曲げられます。ロール成形に使用される一般的な材料は、鋼及び、ステンレス鋼、青銅、銅、真ちゅう、亜鉛、アルミニウムです。それらの製品の中には、金属製の窓、スクリーン枠の部品、
自転車のホイールリム、トロリーレールなどがあります。今日使用される管のほとんどは、冷間条件でロール成形された後、抵抗溶接で溶接されます。

7. 冷間ピーニング(ショットピーニング

冷間ピーニングプロセスは、表面に圧縮応力を付加することで金属の耐疲労性を改善するのに使用されます。 ピーニングされる表面に対して高速度で小さい弾を大量にぶつけます。ショットピーニングは、エアもしくは機械的な手段で行われます。ショットが当たることにより小さなくぼみが発生し、数十ミクロンの深さで金属表面にわずかに塑性流動を起こさせます。外側の繊維の伸びは元の長さに戻すような力を受けます。このように表面では圧縮応力が作用する一方その直下は引張応力を発生しています。さらに、表面はわずかに冷間加工によって硬く、強くなります。