7.5 縦応力(Longitudinal Stress)
7.5 縦応力(Longitudinal Stress)
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図7.5.1(a),(b)に示す、両端閉止の薄肉円筒について考えてみましょう。この円筒で、軸方向に作用する引張応力を縦応力といいます。
σt2:縦応力
この場合、横方向断面(すなわちY-Y軸に沿った)に作用する全ての力は、
=内圧x(断面積)
(式7.5.1)
対して、全抵抗力は
式7.5.1と式7.5.2とは等しいので、
これより、
もしくは
軸方向に継手があれば、
このことより、縦応力は周方向応力(フープ応力)の半分になることがわかります。
従って、圧力容器の設計の際は、フープ応力をベースにして設計すれば良いことがわかります。
例7.5.1
1.75N/mm2の圧力の水蒸気を発生させる直径1.2mの円筒薄肉圧力容器について、最小壁厚みを求めましょう。ここで許容応力は、(a)縦応力は28MPa以下、(b)周方向応力は42MPa以下の条
[解答]
与えられた条件
d=1.2m=1200mm,p=1.75N/mm2,σt1=42MPa=42N/mm2,σt2=28MPa=28N/mm2
から、
(a)縦応力(σt2)が28MPaを超えない場合
最小の壁の厚みは、
(b)周方向応力(σt1)が42MPaを超えない場合
最小の壁の厚みは、
例7.5.2
内圧2N/mm2が作用する直径0.5mの円筒薄肉圧力容器について、容器の厚みが20mmの場合に、フープ応力と、縦応力、最大せん断応力を求めましょう。
[解答]
与えられた条件
d=500mm,p=2N/mm2,t=20mm
から、
(a)フープ応力
(b)縦応力
(c)最大せん断応力
最大主応力説によれば、最大せん断応力は最大主応力と最小主応力の代数差の1/2になります。最大主応力はフープ応力(σt1)であり、最小主応力は縦応力(σt2)ですので、最大せん断応力は、
例7.5.3
図7.5.2に油圧によるシリンダ回路を考えます。球形圧力容器”A”が作業用シリンダ”B”に接続されています。ポンプにより圧力容器に3MPaの内圧を保持しています。
1.圧力容器の直径が800mmの場合、接続部の継手効率が100%の場合の肉厚を求めましょう。ただし、材料の許容引張応力は50MPaとします。
2.操作力25kNを発生させる鋳鉄製のシリンダの内径と壁の肉厚を決定しましょう。
仮定として、
(ⅰ)シリンダとパッキングとの摩擦抵抗として、操作力の10%を余裕とする。
(ⅱ)圧力容器とシリンダの間の配管で圧力損失が0.2N/mm2ある。
とします。
また、鋳鉄の安全応力は30MPaとします。
3.シリンダのピストンの移動距離が450mm、移動に許容される時間が5秒の場合の、シリンダの出力を決定しましょう。
4.1サイクルの繰返し時間が30秒で、油圧制御の効率が80%、ポンプ効率が60%の場合、電動機の出力を決定しましょう。
[解答]
与えられた条件
d=800mm,p=3N/mm2,η=100%=1,σt1= 50MPa = 50N/mm2,F=25kN=25×103N,σtc=30MPa=30N/mm2,ηH=80%=0.8,ηp=60%=0.6
から、
1.圧力容器の肉厚
2.シリンダと直径と肉厚
D=シリンダ直径、t1=シリンダの肉厚とすると、
操作力Fの10%の余裕は、シリンダとパッキングの摩擦抵抗に供給されるので、操作に必要な力は
=27500N
圧力容器とシリンダの間の圧力損失が0.2N/mm2なので、
従って、シリンダに付加される力の関係は、
F1=π/4xD2xp1
判っている値を代入すると
より
シリンダの肉厚については、
肉厚については、実際は腐れ代を付加する場合がほとんどです。
3.シリンダ出力
シリンダのピストンの移動距離が450mm=0.45m、移動するのに許容される時間が5秒より、
1秒当たりのピストンの移動距離は、
1秒あたりになされる仕事は、
従って、シリンダの出力は、
ここで、1N-m/s=1W の関係があります。
4.電動機の出力
運転サイクルは30秒毎に繰り返すので、5秒間にシリンダが生み出す出力が、30秒の電動機の運転により得られることから、
電動機の出力は、