ばねの種類と特徴

ばねの種類と特徴(types and characteristics of springs)

 

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1. ばねとは

ばねとは、金属やゴムなどの材料が有している弾性という性質を、有効に利用できるように形状を定めたもので、機械装置や構造物において力の吸収、エネルギーの蓄積、振動の制御などに利用される重要な部品です。

 

ばねの3つの機能を、次に示します。
 ① 負荷の増減により、たわみが変化する。
 ② エネルギーを吸収・蓄積・放出する。
 ③ 振動・衝撃を緩和する。

負荷とたわみとの関係は、通常の圧縮・引張ばねでは直線的に変化します。これはフックの法則とよばれるものです。

フックの法則は、次式で示されます。

\( F = -kx \)

ここで、\( F \)はばねに作用する力、\( k \)はばね定数、\( x \)はばねの変位です。この法則により、金属ばねはその形状や材料によって特定の力に対する特定の変位を生じさせます。

また、皿ばねなどでは、負荷とたわみとの関係は非線形になります。

図1は、ばねの一般的な分類を示します。機械工業の場面では、金属ばねが多く使用されます。本コンテンツでは、主として金属ばねについて記述します。

図1 ばねの一般的な分類   出典:参考;メカ設計術

 

2. 金属ばねの種類と特徴

金属ばねには多くの種類があり、それぞれの用途に応じて異なる特性を持っています。主な種類とその用途を以下に示します。

2.1 コイルばね

コイルばねは、線材をコイル状に巻いて成形したばねで、金属ばねの代表格です。コイルばねは、低価格でコンパクトな長所があり、もっとも広い用途に用いられています。コイルばねは、負荷の受け方から次の3種類に分類されます。

(1)圧縮コイルばね:

圧縮コイルばねは、圧縮力を吸収するために使用されます。コイルばねの中では一番多く使用されます。自動車のサスペンションや工業用機械のクッション、流体機械のバルブなどに広く採用されています。一般的にコイル外径は一定である円筒型が使用されますが、特殊な用途では、円すい型、鼓型、樽型があります。これらは円筒型コイルばねより密着高さを低くすることができ、ばね定数も変化させることができます(図2)。

図2 特殊な圧縮コイルバネ  出典:メカ設計術

 

(2)引張コイルばね:

引張コイルばねは、引張力を蓄積するために使用されます。コイルばねの中では圧縮コイルばねについで広く使用されます。用途としては、ドアのクローザーやトランポリンのフレームなどに使われます(図3)。

引張ばねは、基本的には圧縮ばねと同様のたわみと負荷の関係が有りますが、冷間成形で製造した場合、初張力を有することと、フック部に応力集中とたわみを生じることなどを考慮する必要があります。

詳しくは、引張ばねについてのコンテンツで記述します。

図3 引張コイルバネ  出典:メカ設計術

 

(3)ねじりコイルばね:

ねじりコイルばねは、外力として受けるねじりモーメント(トルク)を制御するために使用されます。用途としては、ガレージのドアや時計のメカニズムに用いられます。

ばねの末端にねじりモーメントを負荷すると、コイル素材に対して曲げモーメントとして作用することにより曲げ応力を生じます。外部から作用する力の方向は、ばねを巻き込む方向にするのが普通です(図4)。

図4 ねじりコイルバネ  出典:メカ設計術

 

2.2その他のばね

(1)板ばね:

板ばねは、薄い金属板を積層した構造を持つばねで、主に自動車のサスペンションシステムや鉄道車両に使用されます(図5)。

特に板厚が4mm以下の板ばねを一般に薄板ばねといいます。プレス加工で大量かつ高速で生産できますので、価格が安い一方、少量生産には適していません。

ばねの作用としては、たわみを大きく取りやすいが、純粋な曲げモーメントを受ける特別な場合を除いて、長さ方向の位置により曲げを受ける度合いが異なります。このため均一な応力とはならないので、コイルばねより材料の利用効率が悪いです。この点を改善したのが、自動車のサスペンションばねのように、順次長さが異なる板を数枚重ね合わせた重ね板ばねが用いられます。重ね板ばねは、素板間で生じる摩擦により、振動を減衰できる特徴があります。

図5 板ばね  出典:Spring Design Manual AE-11

 

(2)線細工ばね:

線細工ばねは、ばね素線を適当な形状に曲げ加工して、ばね作用を付与したものです。カメラやスイッチ、止めピンなど、形状や用途は多種多様です。

精度を要求されることは少なく、物を挟んだり、元の位置に戻したり、単に着脱のためなどに用いられます。

 

(3)皿ばね:

皿ばねは、円すい型のディスク状のばねで、大きい力を小さな変位で吸収する能力があります。形状的に重ねやすいため、直列・並列に重ね合わせて使用されることも多いです(図6)。ワッシャとしてボルトの緩み止めや、高圧シール装置に用いられます。管理人が関与した油圧機械では、油圧ブレーキ用に用いられたのを記憶しています。

図6 皿ばね  出典:Handbook for Disc Springs  Adolf Schnorr GmbH

 

(4)トーションバー:

トーションバーは、棒にねじり変形を与えてばねの役割をさせるものです。使用例としては、小型自動車の懸架用のばねや高速回転エンジン用バルブスプリングなどがあります。トーションバーの設計上の注意点として、ねじり荷重だけが負荷されるように設計する必要があります。取付部の剛性が不足するため、曲げ荷重が負荷されると破損する可能性があります。ばねは、ねじれ角度に比例した反力を提供する特性があります。

 

(5)渦巻ばね:

渦巻ばねは、断面が一様な帯金を、一平面上に渦巻形に巻いたばねです。曲げによる弾性変形を利用します。コンパクトな割に大きなエネルギを蓄積できる長所があります。ばねの形状により、接触型と非接触型の2種類に分類され、その他特殊なものとして定荷重渦巻ばねがあります。

接触型渦巻ばねは、自動車のシートベルトや電気コードの巻取り装置などに組込まれています。非接触型渦巻ばねは、自動車のリクライニングシートやウィンドウレギュレータなどに用いられます。定荷重渦巻ばねは、帯鋼を自由時に密着巻した特殊な渦巻ばねで、電車の上下窓のバランサや扇風機の上下動装置などに使用されます(図7)。

図7 定荷重渦巻ばね  出典:メカ設計術

 

(6)竹の子ばね:

竹の子ばねは、長方形の板材を円錐状に巻いて、全体を竹の子状に成形したものです。荷重とたわみとの関係は、たわみの少ないうちは直線的に増加しますが、荷重が増加してばねの中心部付近も押し込まれるようになるとたわみに対する荷重が急激に増加します(図8)。

竹の子ばねの長所は、過大荷重に対してばねを保護することができ、スペース的に余裕が無く大荷重を受けなければならない部位に使用できます。一方短所は、製作時に特別な芯金を必要とすることと、板と板とのすき間が狭く、焼入れが困難なことが挙げられます。

図8 竹の子ばね  出典:メカ設計術

 

いろいろな種類の金属ばねは、その特性に応じて異なる用途に最適化されています。これにより、機械装置や構造物の性能を最適化し、信頼性を向上させることが可能です。

 

 

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参考文献
メカ設計術 -構想設計から機械要素の使い方まで- 日経メカニカル別冊  1989年
Spring Design Manual AE-11  Society of Automotive Engineers, Inc.
Handbook for Disc Springs Adolf Schnorr GmbH
Assisted by chatGPT

 

引用図表
図1 ばねの一般的な分類   出典:参考;メカ設計術
図2  特殊な圧縮コイルバネ  出典:メカ設計術
図3 引張コイルバネ  出典:メカ設計術
図4 ねじりコイルバネ  出典:メカ設計術
図5 板ばね  出典:Spring Design Manual AE-11
図6  皿ばね  出典:Handbook for Disc Springs  Adolf Schnorr GmbH
図7 定荷重渦巻ばね  出典:メカ設計術
図8 竹の子ばね  出典:メカ設計術

 

ORG:2024/06/04