4.2 金型鋳造法(重力金型鋳造法)

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4.2 金型鋳造法(metal mold casting process),(重力金型鋳造法(gravity die casting process))

砂型と同様に、製品形状に相当する空げきをもつ金型内に溶湯を注入して、鋳造する鋳造方式です。
鋳型に金型を用いるのはすべて金型鋳造になりますが、一般に、金型内に溶湯自体の重力を利用して鋳造する場合を、重力金型鋳造といいます。同一金型で繰返し鋳造することができ、自動化、機械化が容易であるので、生産性が高く保てます。

金型鋳造には、中子や型の一部に砂型を利用することができます。砂中子の使用により、複雑な形状でアンダカットの鋳物の製造ができます。砂型に比べて、寸法精度が高く、鋳肌が滑らかで、また溶湯の冷却速度が速いため組織が微細となり、ピンホールが生成しにくいなど、機械的性質が優れた鋳物ができます。

鋳造方案は、基本的には砂型と同じですが、自由度が制限されます。具体的には、湯口、湯道、押湯などの位置が、型の分割面に制約されます。鋳物の形状、鋳造方案によっては、指向性凝固をさせることが難しい場合が多く、金型を部分的に空冷あるいは水冷したり、塗型剤の材質や膜厚を変えることや断熱材の利用や砂型との組合せにより、冷却速度と温度こう配を調節します。

金型鋳造は、アルミニウム合金や、鋳鉄、銅合金などに適用され、特にアルミニウム合金においては主鋳造法の一つです。鋳鉄や銅合金では、金型寿命が短いためほとんど用いられません。また銅合金に適用する場合でも、収縮応力による鋳造割れが生じやすく、鋳造品は、簡単な形状の黄銅およびアルミニウム青銅に限られます。

金型は、溶湯による熱衝撃と侵食に耐えられる材料で、鋳物の数、材料費、加工費などにより選択されます。生産量の少ないものは、FC 200~FC 300の普通鋳鉄、ミーハナイト鋳鉄を、生産量の多いものは低合金鋳鉄、炭素鋼、ダイス鋼などが用いられます。
アルミニウム合金鋳造における金型の寿命は、鋳鉄で2~4万ショット、SKD 6熱処理材で3~10万ショットです。

金型鋳造機は左右開きの簡単なものから、前後、左右、上下を組合わせた複雑なものまであります。また、生産上、単に鋳造機を並列に設置したものや、ターンテーブル式にテーブル上に数機の金型を配置して、一周回ることにより鋳造、冷却、凝固、鋳造品取出し、塗型のサイクルとなるものがあります。

 

 

参考文献
機械工学便覧 第6版 β03-02章

 

2016/11/4
本稿(初稿)は、筆者の興味と復習を兼ねているため、参考文献からの引用が主たるものになっています。第2稿ではより内容を絞り、かつより広範囲なデータに基づく記述を企図しております。