2. 太陽電池の原理

2. 太陽電池の原理(principle of sollar cell)

 

 

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太陽電池の原理は、半導体に光エネルギーを照射すると、直接電力に変換されるものです。

私達の身の回りにある物質は、すべて元素の組合せからできていますが、それぞれの元素に応じた電子が含まれています。電子は、光のエネルギーを受けると、吸収したり反射したりします。物質に光を当てると、電子が光のエネルギーを吸収して、基底状態もしくは励起状態からさらにポテンシャルの高い励起状態に移動します。光エネルギーを吸収して励起状態になった電子は、エネルギーを周囲に伝達して、基底状態もしくは元の励起状態に戻ろうとします。その時周囲にばらまかれたエネルギーが熱になり物質全体を温めます(図2.1)。

図2.1光エネルギー照射による電子の振動と熱放射

 

太陽電池の場合も、光エネルギーを受けとり励起状態になった電子を選別して外部の電気回路に取り出します。励起状態になった電子を取り出す仕組みは、半導体の性質を利用します。太陽電池はダイオードの一種です。ダイオードはn型半導体とp型半導体を接合した構造をしています(図2.2)。

図2.2 光照射時の太陽電池内の状態

 

n型半導体は伝導電子と呼ばれる動きやすい電子がやや多く存在しており、接触している材料に電子が逃げやすい性質があります。
一方、p型半導体は伝導電子がやや少なく、正孔と呼ばれる電子が不足している場所が多くあります。
n型半導体とp型半導体とを接合すると、n型半導体からp型半導体に伝導電子が流れて、p型半導体の正孔を打ち消す作用を生じます。
その結果、n型半導体では電子が不足します。その結果n型半導体はプラスに帯電します。同じように、p型半導体はn型半導体から電子をもらった結果、マイナスに帯電します。そのために、n型半導体とp型半導体との接合部には、電界(内部電界)が発生します。

内部電界は、n型半導体からp型半導体に移動しようとする電子の流れを妨げるように作用して、n型半導体からp型半導体に電子が移動しようとする力と釣り合ったところで安定します。接合部分では電子と正孔とが結びつき、電子が固定され動けない状態になっています。この接合部分には内部電界が作用しています。この部分では伝導電子があっても内部電界の作用によりn型半導体に押し戻される状態になります。また、この接合部を空乏層といいます。

n型半導体とp型半導体との接合部に光を照射すると、光エネルギーにより電子と正孔が叩きだされます。内部電界により、伝導電子はn型半導体へ、正孔はp型半導体の方へ移動します。その結果、起電力が発生します。

起電力は、光を照射している間持続して発生します。外部の電気回路(例えば照明など)があると、接合部から電子が次々押し出されて、電力が供給されます。押し出された電子は、電気回路を通じてp型半導体の方に戻り、正孔と結合します。

伝導電子、正孔の動きをエネルギーバンド図に示します(図2.3)。説明については、改めて行おうと思います。

図2.3光照射時のエネルギーバンド