CASE 24 飛行機のたわみ軸の破損

CASE 24 飛行機のたわみ軸の破損(failure of a quill shaft)

 

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“Failure Analysis of Engineering Structures: Methodology and Case Histories”からの事例です(CASE 24)。

注記:[]内の文言は、管理人の追記です。

 

要約

ジェットエンジンが燃焼停止を起こし炎上しました。エンジンのたわみ軸が、ねじり過負荷により破損していることが判明しました。

 

破損状態の目視検査(マクロ観察)

破断したシャフトの全体図を、Fig.CH24.1 に示します。HPTロータ側(駆動側)のスプラインから約50mmの位置で破断しています。シャフトのこの分は真っすぐで曲りはありませんし、他に損傷もありません。

破断部より補機ギアボックス側(従動側)のシャフト部分は、Sの字状に2か所で曲がっています。シャフトを保護しているスリーブも損傷しており、シャフトを取り出す際切り開く必要がありました。

 

目視検査及びSEMによる観察

シャフト破断面を、Fig.CH24.2 に示します。破断は、典型的なねじり過負荷によります。表面は平らで光沢があり、変形跡が認められます。破断面の周囲(領域A)はかなりのこすれが生じています。最終的な破断部 (領域 B) はシャフト断面の中心近くにあります。

SEMによる観察では、領域Aでは、細長いディンプル(伸長ディンプル)が観察されました(Fig.CH24.3)。 最終破壊領域である領域Bでは、等軸ディンプルが観察されました(fig.CH24.4)。[それぞれ領域AはモードⅢ変形、領域BはモードⅠ変形と考えられます。]

 

化学分析

破断シャフトを、SEMのエネルギー分散型X線分析(EDAX)で成分分析をすると、Ni;3.5%、Cr;1.5%、Mo;0.8%を含む鋼と考えられます。

[ニッケルクロムモリブデン鋼(JIS鋼種;SNCM)に相当しますが、ANSI、ASTM規格、JIS規格を確認しても、特殊成分が測定含有量の鋼種は見つけられませんでした。ただ、非常に機械的特性に優れた低合金鋼と考えられます。]

 

討議内容
  1. 破面検査の結果、ねじり過負荷によりシャフトが破損したことがわかりました。
  2. 領域Aは、伸長ディンプルが観察されることより、かなりの量のせん断を受けたと推定されます。
  3. 領域Bは、等軸ディンプルが観察されることより、最終低な破断面と考えられます。
  4. 破面周辺のこすれた痕跡は、破断後に2つの面の間に相対的な回転運動があったことを示しています。
  5. 破断したシャフトの片側に曲がりが無く、破断面が擦れていたことより、ねじり破断が発生した後に、シャフトの曲がりが発生した可能性が示唆されます。

 

結論

たわみ軸が、ねじり過負荷により破断しました。

 

推奨

ねじり負荷の発生源を調査しなければなりません。

 

Fig,CH24.1 破損たわみ軸と損傷したスリーブ に追記

Fig,CH24.2シャフト破断面(マクロ観察) に追記

Fig,CH24.3 Fig,CH24.2の領域Aの伸長ディンプル(SEM観察)

Fig,CH24.3 Fig,CH24.2の領域Bの等軸ディンプル(SEM観察)

 

 

元文献

“Failure Analysis of Engineering Structures: Methodology and Case Histories” 2005

 

 

 

[注目]

ここからが、結構管理人的には重要な内容です(個人的な思いが大きいですが)。

このケースをBardで要約してもらおうとしました。当該書籍の当該部分(2頁分、図は無し。)の原文(英語)を提示して、要約を依頼しました。その結果が以下の3つのプランです。要約の原文は英語ですが、和訳もそんなに間違っているとは思えなかったので、以下はGoogle翻訳でのBardの回答です。
中身を見ると、原文には無い内容が結構書かれています。つまり要約レベルではありません。
これらの内容が、管理人の知らないソースから不具合事象としてどこかのデータベースにあるものから導き出したのか、単なる推論(生成系AIでよく注意喚起されている)なのか、現時点では判断できません。
これから追々調査して、本コンテンツにアップデートしていこうと考えています。
ただ、内容はそれらしきもので、管理人も同じような現象を観察したら、ここに書いてあるようなことを言うかもしれないなと思われるものもあります。

 

[Bardにより生成された要約]:原文にないと考えられる個所は緑色で示しています。
Plan 1

航空機がフレームアウトを起こし、エンジンのクイルシャフトが破損した。 シャフトはねじり過負荷により破損したことが判明した。

クイル シャフトは、高圧タービン ローターをアクセサリ ギアボックスに接続する細長いシャフトです。 高張力鋼で作られているため、通常の動作中に高レベルのねじり応力にさらされます。

シャフトの破断面を顕微鏡で検査したところ、典型的なねじり過負荷であることが判明しました。 表面は平らで光沢があり、変形跡がありました。 破断面の周囲はかなり擦れていました。 最終的な破断はシャフト断面の中心近くでした。

シャフトを化学分析したところ、3.5% Ni、1.5% Cr、0.8% Mo を含む鋼でできていることが判明しました。これは、航空機エンジンのシャフトに一般的に使用される高張力鋼です。

シャフトの破損を引き起こしたねじり荷重の原因は特定できませんでした。 しかし、エンジン内に異物が入り込んでシャフトに当たったことが負荷の原因となった可能性がある。 シャフトの製造上の欠陥によって負荷が発生した可能性もあります。

クイルシャフトの破損によりエンジンが炎上した。 航空機が安全に着陸できなかった場合、重大な事故を引き起こす可能性がありました。

今後同様の障害が発生するのを防ぐために、次の推奨事項が行われます。

エンジン内に異物が入り込んでシャフトに当たった可能性のある異物がないか、エンジンを検査する必要があります。
シャフトに製造上の欠陥がないか検査する必要があります。
シャフトの設計を見直して、予想されるねじり荷重に耐えられるかどうかを確認する必要があります。

このまとめがお役に立てば幸いです。 他にご質問がございましたら、お知らせください。

 

Plan 2

航空機が炎上し、エンジンのクイルシャフトが破損していることが判明した。 シャフトはねじり過負荷によって破損しました。これは次のような要因の組み合わせによって引き起こされました。

シャフトは疲労亀裂が発生しやすい高張力鋼で作られていました。
シャフトは通常の動作中に周期的な荷重を受けました。
シャフトが適切に潤滑されていなかったため、疲労亀裂が悪化しました。
フレームアウト中にシャフトに過負荷がかかり、最終的な破損を引き起こしました。

クイル シャフトの破損は、次の方法で回避できた可能性があります。

シャフトに疲労に強い素材を使用。
シャフトにかかる繰返し負荷を軽減します。
シャフトに適切な潤滑を提供します。
シャフトに過負荷がかかるのを防ぎます。
今後同様の障害が発生するのを防ぐために、次の推奨事項が行われます。

航空機エンジンのすべてのクイル シャフトは、疲労亀裂の兆候がないか定期的に検査する必要があります。

クイルシャフトの潤滑手順を見直して更新し、シャフトが適切に潤滑されていることを確認する必要があります。

クイルシャフトに過負荷がかからないよう、航空機エンジンの操作手順を見直し、更新する必要があります。

このケーススタディにおけるクイルシャフトの故障は、航空機エンジンの適切な設計、メンテナンス、および操作の重要性を浮き彫りにしています。 上記の推奨事項に従うことで、同様の障害が発生するリスクを大幅に軽減できます。

ケーススタディに関する追加の詳細は次のとおりです。

この飛行機は双発ターボプロップ機でした。
エンジンは4段ガスタービンエンジンであった。
クイルシャフトは、引張強度が 180,000 psi の高張力鋼で作られていました。
シャフトの一端はスプライン加工されて高圧タービン ローターに接続され、もう一端はアクセサリ ギアボックスに接続されました。
シャフトは長さ12インチ、直径1インチであった。
故障時、シャフトは適切に潤滑されていませんでした。
フレームアウト中にシャフトに過負荷がかかり、最終的な破損を引き起こしました。
クイルシャフトの破損により航空機は失われました。 航空機の乗員2名が死亡した。

 

Plan 3

航空機がフレームアウトを起こし、その後の調査でエンジンのクイルシャフトが破損していたことが判明した。 シャフトはねじり過負荷によって破損しました。これは、次のような要因の組み合わせによって引き起こされたと考えられます。

シャフトの製造上の欠陥
シャフトの取り付けが間違っている
過度の振動
シャフトの過負荷

シャフトの破面には、細長いディンプルや破面周囲の擦れなど、ねじり過負荷の痕跡が見られました。 シャフトの化学分析により、シャフトが 3.5% Ni、1.5% Cr、0.8% Mo を含む鋼でできていることがわかりました。

シャフトの破損を引き起こしたねじり荷重の原因を明確に特定することはできませんでした。 しかし、研究者らは、最も可能性の高い原因はシャフトの製造上の欠陥であると結論付けました。 この欠陥によりシャフトが弱くなり、ねじり荷重下で破損しやすくなった可能性があります。

将来の同様の故障を防ぐために、研究者らはメーカーに対し、クイルシャフトの品質管理を改善する措置を講じるよう勧告した。 また、航空機エンジンのオペレーターに対し、クイルシャフト故障の可能性を認識し、シャフトに過負荷がかかるリスクを軽減する措置を講じるよう勧告した。

ケーススタディに関する追加の詳細は次のとおりです。

この飛行機は双発ターボプロップ機でした。
離陸中にフレームアウトが発生した。
クイルシャフトは高張力鋼合金で作られていました。
シャフトの一端はスプライン加工されて高圧タービン ローターに接続され、もう一端はアクセサリ ギアボックスに接続されました。
シャフトは両端がベアリングで支えられていました。
シャフトは、動作中に曲げ荷重とねじり荷重の組み合わせを受けました。
シャフトの破面を走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して検査した。
SEM 画像は、破壊が本質的に延性であり、ねじり過負荷と一致していることを示しました。
シャフトの破損を引き起こしたねじり荷重の原因を明確に特定することはできませんでした。

研究者らは、最も可能性の高い原因はシャフトの製造上の欠陥であると結論付けました。

メーカーはクイルシャフトの品質管理を改善するための措置を講じました。

航空機エンジンのオペレーターは現在、クイルシャフトの故障の可能性を認識しており、シャフトに過負荷がかかるリスクを軽減するための措置を講じています。

 

 

 

ORG:2023/05/23