2.1.2 シリンダと速度

2.1.2 シリンダと速度(cylinder and velocity)

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図2.1.2.1のようなシリンダについて、見ていきましょう。

図2.1.2.1  油圧シリンダの作動

D:ピストンの直径(m)
A:A側の受圧面積(m2
B:B側の受圧面積(m2
p1:A側に送り込まれた油の圧力(Pa)

シリンダのピストン面に作用する力F(N)(シリンダ推力)は、

      (式2.1.2.1)

となります。

図のように、油圧回路に背圧(p2 Pa)があると、背圧によりp1による仕事が妨げる作用があります。

背圧を考慮すると、

         (式2.1.2.2)

ピストンの速度は、ピストンに入る作動油の流量を制御する場合(メータイン)と、ピストンから出る作動油の流量を制御する場合(メータアウト)とがあります。
何れの場合も、ピストンのA側では、流量Q1(m3/s)と、ピストン速度v1(m/s)との関係は、次式のようになります。

           (式2.1.2.3)

一方、B側(ロッド側)では、流量Q2とピストン速度v2との関係は、

           (式2.1.2.4)

となります。

シリンダ力、およびシリンダ速度との関係は、

(シリンダ力)=(圧力)x(シリンダ面積)

(シリンダ速度)=(流量)/(シリンダ面積)

の関係があります。

これらの式より、シリンダに大きい推力を与えるには、圧力を高くするか、面積を大きくするかの何れかの方法があります。しかし、シリンダ面積を大きくすると、速い速度を必要とする場合、大流量が必要です。流量が多くなると、ポンプやバルブなどの要素機器が大型になり、配管径も大きくする必要があり、不経済であるので、通常はシリンダ面積はできるだけ小さくして、圧力を高くすることで対応します。

 

 

参考文献
油圧教本 増補改訂版 日刊工業新聞社

 

ORG: 2018/1/12