2.4.1 粘性と粘性係数、動粘度

2.4.1 粘性と粘性係数(coeficient of viscosity)、動粘度(kinematic viscosity)

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図2.4.1.1 に示すように、たがいに平行な無限長さ/幅の2つの平面の間に流体が満たされている状態で、上側の平面が速度⊿uで右方向に移動すると考えます。

図2.4.1.1. 流体の粘性

流体の性質から、上下の両方の平面に接している流体はその表面に密着して運動するので、上の平面に接する流体は⊿uの速度で移動し、下の平面に接する流体は静止状態を保ち速度はゼロとなります。その中間の平面に接していない流体は、距離⊿yに比例して直線的に速度が変化すると考えられます。つまり、隣り合う流体の層には、お互いに相手の層の運動を妨げようとする力が生じていると考えられます。この性質を流体の粘性といいます。

この運動を妨げようとする力、流体摩擦応力τは、隣接する層との速度勾配(⊿u/⊿y)に比例する関係があり、次式のように示されます。

      (式2.4.1.1)

ここで、μはその流体の温度と圧力によってのみ影響を受けて変化する一方、それぞれの流体特有の値をもっています。この比例定数を粘性係数(coeficient of viscosity)または粘度(viscosity)といいます。

式2.4.1.1.で、⊿y→0 とすると、

      (式2.4.1.2)

が得られます。この式をニュートンの粘性の法則といいます。
粘性係数μが速度勾配 du/dyによらず一定値になる流体をニュートン流体といいます。油圧作動油や水はニュートン流体に属します。
しかし、塗料などニュートン流体とみなすことができない流体も多くあります。これを非ニュートン流体といいます。非ニュートン流体については下記のリンクをご覧ください。
ニュートン流体と非ニュートン流体

なお、流体工学では、粘性係数μをその流体の密度ρで除した、

       (式2.4.1.3)

が、流れやすさを表わすことからよく用いられます。このνを動粘度(kinematic viscosity)もしくは動粘度係数(kinematic coefficient of viscosity)といいます。

 

[参考]粘度の単位について

粘性係数の単位

粘性係数は、SI単位系では、Pa・s(パスカル・秒)となります。

   (式2.4.1.4)

日本では、古くから慣用的にポアズ(P)が使用されてきました。ポアズはcgs単位系における粘性係数の単位です。古い書籍には、ポアズもしくはその1/100を単位とするセンチポアズ(cP)が用いられています。
SI単位系との換算は、

    (式2.4.1.5)

になります。

動粘度の単位

動粘度は、SI単位系では、[m2/s] になります。

  (式2.4.1.6)

動粘度についても、慣用的にcSt(センチストークス)という単位が用いられてきました。
SI単位との換算は、

  (式2.4.1.7)

になります。

 

 

参考文献
油圧教本 増補改訂版 日刊工業新聞社
例解演習・油圧工学   日刊工業新聞社

引用図表
 [図2.4.1.1] 流体の粘性     油圧教本

Add:2021/02/21
ORG: 2018/2/10