9.4 非鉄金属のりん酸塩処理

9.4 非鉄金属のりん酸塩処理(Phosphate treatment of nonferrous metals)

スポンサードリンク

 

りん酸塩処理は、もともとは鉄素材に対して開発された技術で、鉄以外の素材への適用は一般的ではありません。その中で、りん酸亜鉛処理については、鉄素材だけではなく、亜鉛めっき鋼板や亜鉛ダイキャストのような亜鉛素材、アルミニウム合金板やアルミニウムダイキャストのようなアルミニウム素材に適用が可能です。
このため、自動車車体のように、冷間圧延鋼板や亜鉛めっき鋼板、アルミニウム合金板などが、車体構造に組み立てられた状態でのりん酸塩処理にはりん酸亜鉛処理が適用されます。

1.亜鉛素材への適用

亜鉛素材をりん酸亜鉛処理した場合、処理液中でエッチングされた亜鉛の一部は、りん酸亜鉛皮膜に取り込まれます。一部の亜鉛分は処理液中に拡散しますが、亜鉛イオンは処理液の成分であり、処理液の劣化を伴いませんので連続的に処理ができます。ただし、亜鉛素材を処理するためのりん酸亜鉛処理液には鉄イオンは基本的に含まれませんので、素材表面に析出する皮膜の成分はりん酸亜鉛のみです。鉄素材の場合のように
りん酸亜鉛鉄を含む皮膜にはなりません。

2.アルミニウム素材への適用

りん酸塩処理を、アルミニウム素材に摘要する場合、処理液中にフッ化物を含有することが必須条件になります。フッ化物を含有しない場合は、処理液中で素材がエッチングされず、析出反応が進みません。フッ化物を含むことによりアルミニウム素材がエッチングされ、皮膜析出反応が進行します。

 

 

参考文献
リン酸塩処理の基礎   石井均  表面技術  Vol.61,No.3 2010