2.5 金属の機械的性質

2.5 金属の機械的性質(Mechanical Properties of Metals)

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金属の機械的特性とは、機械的な力と荷重に対する材料の能力を示す色々な性質をいいます。いかに列挙して示します。

 

1.強度(Strength)

強度とは、材料が破壊または降伏せずに外部から付加された力に抵抗する能力をいいます。外部から付加される力により材料に発生する内部抵抗を応力(Stress)といいます。

 

2.剛性(Stiffness)

剛性とは、材料が応力を受けた状態で、変形に耐える能力をいいます。剛性を示す尺度が弾性率(modulus of elasticity)です。

 

3.弾性(Elasticity)

弾性とは、外力を付加して発生した応力によりひずみが生じるが、除荷すれば元の形状に戻る性質をいいます。

 

4.可塑性(Plasticity)

可塑性は、材料に負荷が加わったときに生じる変形が除荷しても永久的に残る特性をいいます。鍛造や絞り加工などにはこの特性が寄与します。

 

5.延性(Ductility)

延性は、材料に引張力を加えた際の変形する能力を指し、線状に延ばせる能力で表されます。材料の延性は、通常は単軸引張試験で伸び率と断面積の減少率によって示されます。

 

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6.脆性(Brittleness)

脆性とは、破壊に要するエネルギーが小さいことをいいます。永久ひずみがほとんど無い状態で材料が破損する特性です。脆性が顕著に表れる材料として鋳鉄やガラスなどがあります。

 

7.展性(Malleability)

展性は、圧縮力などによって材料を平板状に加工する際に、破断せずに薄いシート状に広げることができる性質をいいます。よく似た性質として、延性があります。延性は引張力を加えた際に変形する能力をいいます。英語では、延性に使われる”ductility” で、延性と展性の両方の性質を表します。これを日本語では「展延性」といいます

例えば、金は展性も延性も高いですが、鉛は展性には富みますが、延性は小さいです。

 

8.靭性(Toughness)

靭性は、ハンマーなどにより高衝撃荷重を与えた際、破壊に耐える材料の特性です。破壊に対する感受性や抵抗を意味します。人生を定量的に評価する指標として、衝撃試験を用いた材料の衝撃吸収エネルギーがあります。評価指標としてはシャルピー衝撃試験やアイゾット衝撃試験があります。ただし、これらの値は靭性の絶対的評価には用いるのは難しいです。主に、材料を選定する際の目安や、品質を評価する指標に用いられます。

 

9.被削性(Machinability)

被削性とは、材料の切削加工のし易さの程度をあらわす特性です。「被削性の良い材料」とは、削りやすい材料のことを、「被削性の悪い材料」とは削りにくい材料のことをいいます。

被削性の判断基準としては、加工方法や、使用する工作機械、切削工具、切削条件などの様々な要因が関与しています。

この「被削性」については、加工する工具の寿命や、切りくず処理の難しさ、寸法精度の出しやすさ、加工面の仕上げやすさなど多くの判断基準が存在しています。材料の機械的な特性が被削性に及ぼす影響について、表2.5.1 に示します。

表2.5.1 被削性の判断基準

10.回復力(Resilience)

回復力は、エネルギーを吸収して、衝撃荷重に耐える材料の特性をいいます。弾性限界内で材料の谷体積当たり吸収されるひずみエネルギー量として測定されます。この特性は、例えばばね材料の評価に用いられます。

 

11.クリープ(Creep)

クリープは、材料が高温で長時間一定の応力が付加されると、永久的な変形が生じます。ボイラーやタービンブレードの設計では考慮が必要です。

 

12.疲労(Fatigue)

材料が繰返し応力を受けると、材料の引張応力よりはるかに低い応力で破損します。この破壊形式を疲労といいます。疲労破壊は、微細のサイズの進行性の亀裂が進行することによって引き起こされます。締結ボルトやシャフト、歯車など、繰返し応力が付加される部品では考慮が必要です。

 

13.硬さ(Hardness)

硬さは、材料の物理的特性に広く関連しています。摩耗に対する抵抗や、ひっかきに対する抵抗、弾性係数、降伏点、引張強度、展延性、脆性など多くの機械的特性と関係深い尺度を示します。これらの代用特性として、色々な硬さの測定方法が実用化されています。材料評価をする際に引張試験が望ましいですが、大型の引張試験機が必要になります。硬さの測定ははるかに簡便に行えます。

硬さの測定方法にはいろいろありますが、JIS規格に規定されているのは次の4種類です。
(a)ブリネル硬さ試験
(b)ロックウェル硬さ試験
(c)ビッカース硬さ
(d)ショア硬さ

 

内部リンク: 硬さ入門 4.硬さの測定方法

 

 

 

 

参考文献
A Textbook of Machine Design  R.S. Khurmi et al.   EURASIA PUBLISHING HOUSE (PVT.) LTD. 2005
三菱マテリアル(株)HP Permanent course http://mmc-permanent.learnways.com/courses/89/machinability.html

 

 

引用図表
表2.5.1 被削性の判断基準  三菱マテリアル(株)HP Permanent course

 

 

ORG:2019/11/13