3.4 鋳造設計

3.4 鋳造設計(Casting Design)

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1.鋳造設計時に考慮すべき要因

鋳造は、設計上非常に自由度が高い素形材の成形プロセスです。しかし設計者が、その能力を十分発揮できる設計を行うためには、よく理解しておかなければならない、鋳造に対する考え方や検討を要する色々な要因があります。鋳造方法には、鋳造作業の熟練度や、その作業上必要な多くの注意事項があり、非常に多くの変動要因が存在します。

鋳造設計をする際には、以下の要件について考慮する必要があります、

(1)鋳造により得られる機能
(2)鋳造品の健全性
(3)鋳造品の強度
(4)生産の容易さ
(5)安全性への配慮
(6)生産性

これらの要件を満足するためには、設計者は、型製作、型込め、溶解、溶湯注入など、鋳造の全プロセスについて完全な知識が要求されます。最適な鋳造設計をするためには、様々な利用可能な方法について理解と適切な選択ができるようになる必要があります。

 

ここでは、その指針となるいくつかのルールについて記述したいと考えます。

2.鋳造設計時に考慮すべきルール

(1)応力集中を避けるために、鋭角の交差部は隅肉丸みを設ける必要があります。ただし、隅肉の丸みはあまり大きくしてはいけません。その部分の溶融金属量が増加して凝固時に巣などの不良が発生する場合があります。

(2)鋳物の各部分は、できるだけ均一な厚さで設計する必要があります。断面が厚い部分は鋳物の外側上でしかも鋳型の表面にあるように設計するのが望ましいです。

(3)肉厚が厚い部分から薄い部分への急激な変化は避ける必要があります。肉厚が変化する場合は徐々に変化するように設計する必要があります。

(4)鋳造品は外観が良好な状態で、可能な限りシンプルな設計をする必要があります。

(5)鋳造で広い平面を得ることは大型鋳造品では特に困難であるので設計時に注意が必要です。大きい平面部は、鋳型の分離面内にくるような設計が望ましいです。

(6)鋳造品を設計する際は、鋳型の成型時に許容すべき様々な寸法公差を考慮する必要があります。

(7)溶湯は凝固時に収縮するため、長い直線状の部材の設計は避けるべきです。大径のプーリやホイールはハブと中心部とをつなぐアームは湾曲した形状になるように設計されます。

(8)鋳造品のリブなどの補強部材は収縮時に色々な欠陥を引き起こす可能性があるので可能な限り最小限にする必要があります。

(9)鋳型形状はできるだけ単純な形状が望ましく、型込め時などに鋳型の組立ができるだけ容易になるように設計する必要があります。

(10)中子を設計する際は、鋳型内で適切に支持され、浮き上がりなどが生じないように十分な考慮が必要です。

(11)型ばらし後の清掃処理費用を削減するため、鋳造品の深くて小さい穴やくぼみはできる限り避けるように設計する必要があります。

(12)鋳造時にケレンなどの中子押さえの使用は最小限になるようにしてください。

(13)図番や鋳造日を鋳込むマーキングは、鋳型を引き出す際に妨げにならない位置にする必要があります。垂直面に使用しないようにします。

(14)鋳造は、ほかの製造プロセスと比較して精度に劣ります。JIS等に規定された鋳物公差などを考慮して設計する必要があります。

 

 

 

参考文献
A Textbook of Machine Design  R.S. Khurmi et al.   EURASIA PUBLISHING HOUSE (PVT.) LTD. 2005
機械の設計原理  ロバート. E. パー  産業図書

 

 

ORG:2019/11/27