AR(拡張現実)技術の建設現場での応用    2017/2/7

AR(拡張現実)技術の建設現場での応用    2017/2/7

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建設現場で、現実の空間の映像に、様々な付加情報を重ねて表示する、AR(拡張現実)技術の導入が進み始めています。ゼネコン各社では、AR技術の導入により、工事内容の発注者への提案や施工管理などの業務の効率化を図るのが狙いです。

■大林組の取組み

大林組の新技術は、カメラ付きのタブレットを使用します。
事前に、発注者から提供された建築物の平面図をシステムに登録します。現場で、どの位置から撮影するかをあらかじめ決めておくと、現実空間の画像に完成イメージを重ねて表示できます。

https://www.obayashi.co.jp/press/news20170324_01

例えば、耐震改修工事では、柱と柱との間に据え付ける部材の状態が3次元の立体的な画像で確認できます。工事作業用の足場や仮囲いのイメージも伝えやすくなります。

商業施設などの改修工事では、店舗の営業中に工事をする際、来店する客に看板がどのように見えるかをシミュレーションする様な使い方も可能です。従来は、現場で撮影した写真を持ち帰ってから完成後のイメージを合成し、後日、顧客に提案していました。
改修工事では、視界や動線が変化することもあり、発注者と施行者が作業内容を擦り合わせるには、2週間程度かかっていました。新しいシステムでは、その場で見え方の変更ができるため、3日程度に短縮できるそうです。

■清水建設の取組み

地中の水道管やガス管を、タブレット上に容易に映し出す技術の開発を進めています。
事前に、埋設物の図面データを登録しておけば、衛星からの電波(GPS)を利用して、埋設物の位置を特定できるそうです。埋設物の形状を把握できれば、施工管理がしやすくなり、作業の正確さを増します。
これまでは、地下の埋設物の位置を調べるには、現場で図面を広げて確認するのが一般的でした。清水建設は、既にタブレットのカメラで撮影した実際の画像に埋設物の位置を特定する技術を開発済です。2017年中に、これをより臨場感のある3次元画像で表示できるように開発を進めます。

https://www.shimz.co.jp/tw/tech_sheet/rn0364/rn0364.html

■建設業界の動向

建設業界は、足元の受注は堅調ですが、将来の人手不足への懸念は根強くあります。施工現場での生産向上や工期短縮は大きな課題です。ARは、これらの課題を解決する有力な技術として期待されています。安藤ハザマや三井住友建設なども、開発や導入を進めています。

ただ、現実の画像と付加情報とを重ね合せるためには3次元の設計データの整備が欠かせません。現状では、図面情報を手入力でシステムの登録しており、今後のAR活用には3次元の設計システムの導入が課題となります。

■その他のビジネス用途への展開

現実の風景とコンピュータグラフィックス(CG)とを組み合わせるAR(拡張現実)技術は、2016年7月に日本国内でも配信され、爆発的な人気となった、スマートフォン(スマホ)用ゲームの「ポケモンGO」に活用され、2016年は「AR元年」ともいわれています。映し出す場所の認識技術なども進化し、応用範囲がビジネス用途にも広がりつつあります。

(1)セイコーエプソン

セイコーエプソンは眼鏡型端末を開発しました。次にこなすべき作業内容や注意点を表示するが、眼鏡型なので、ヘルメットをした作業員でも装着ができます。建設現場に加えて、工場などでの利用も見込んでいます。

(2)富士通

富士通も、工場作業をサポートするARシステムを開発しています。整備が必要な場所や建設現場、在庫品を入れた箱などに、あらかじめバーコードを貼り付けておき、タブレットやスマホでその場を映し出すと、次に必要な作業や在庫数などを示します。

(3)リコー

リコーは、営業現場での活用を見込んでいます。顧客のオフィス内に複合機が、どのように設置されるかを事前に確認できるようにすることで営業効率を高めようとする試みです。

(4)その他

/観光地での観光案内などでの利用が始まっています。
/婦人服、紳士服売り場で、バーチャルフィッティングルームで、いちいち着替えなくてもいろいろな服を試せます。

 

 

 

 

出典:日本経済新聞   2017/2/7(火) 朝刊

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