フォルクスワーゲン、欧州でも排ガス不正  / 「環境のディーゼル」に暗雲

フォルクスワーゲン、欧州でも排ガス不正
「環境のディーゼル」に暗雲

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欧州の自動車メーカの最大手、ドイツのフォルクスワーゲン(以下、VW)の、米国で発覚した排ガス試験不正の問題で、世界的にディーゼル車の販売が悪化する懸念が広がっています。

米国での、ドイツフォルクスワーゲン社(以下、VW)のディーゼル車に対する排ガス不正問題を受けて、ドイツ当局は、9月24日、ドイツ北部ニーダーザクセン州の本社への調査を開始しました。黄種のメディアによると、ドイツのドブリント運輸相は欧州でもVWの不正車両が見つかったと表明しました。対象車両と規模について早急に公表するそうです。

自動車業界のエコカー戦略は、日本車がハイブリッド車(HV)で先行し、それをディーゼル車で欧州勢が挽回する構図で、激しい競争が続いています。

欧州には、世界のディーゼル車販売の3/4が集中しています。ディーゼル車は、窒素酸化物(NOx)を多く排出して大気汚染の要因として批判がありました。欧州の自動車メーカは、ドイツボッシュ社などの部品大手とともに、NOxの低減技術を改善してきました。
ディーゼル車は、欧州発の環境技術の象徴で、日本や新興国の市場を開拓するための戦略車との位置付けにあります。

日本の自動車メーカは、欧州市場に入り込むため、現地メーカとの提携に相次ぎ踏切っています。トヨタ自動車はドイツBMW、日産自動車はドイツダイムラーとそれぞれ提携して、ディーゼルエンジンの調達を測っています(ディーゼル技術を巡る提携は別表参照)。自動車業界の合従連合のキーとなる技術として脚光を浴びるディーゼル車ですが、そのトップ企業であるVWによる不正であっただけにその衝撃は大きいものがあります。

ディーゼルエンジンに関する提携

他社は、VWの不正発覚によるディーゼル車に対する負のイメージが広がることを恐れています。ディーゼル車を主力としているマツダは、「排ガス試験は適切に実施している。」と強調しています。トヨタは、新興国や欧州を中心に、年間100万台規模でディーゼル車を販売しています。欧州勢と比較すると、その依存度は低いですが、「業界の全体への信頼が損なわれれば悪影響が出る。」と幹部は懸念しています。

欧州では、ディーゼル車規制が広がり始めていることも懸念材料です。フランスパリでは、ディーゼル車の乗り入れを規制しています。自動車会社は「クリーンディーゼルの技術力を理解してほしい。」(ダイムラー)と訴えてきましたが、今回のVWの不正問題で理解が遠のく可能性があります。

VWの不正問題は、日本国内の自動車関連企業や資源価格にまで影響が及んでいます。VWに排気系部品を供給しているイビデンは、9月24日の株価終値を前週比8%安まで下落しました。この他、取引のある部品メーカの株価は軒並み落ち込んでいます。

マツダの株価も、7%下落しました。松井証券窪田朋一郎氏は、「不正問題が他社にも広がるとの懸念から連動して売られた」との見方を示しました。

ディーゼル車の排ガス浄化に使用する、白金(プラチナ)は相場が下落しました。ディーゼル車離れによる需要後退の懸念から、2001年1月以来の安値になりました。逆に、ガソリン車の排ガス浄化触媒に採用されるパラジウムは大幅に相場が上昇しました。
■低燃費のエコカー技術として欧州を中心に普及している、ディーゼルエンジンについてポイントをまとめました。

◆ガソリンエンジンとの違いは?
(1)燃料に軽油を使用しています。
(2)ガソリンエンジンよりも、燃焼効率が優れています。ガソリンエンジンが電気スパークで点火するのに比較して、ディーゼルエンジンは吸気の圧縮時に発生する熱により燃焼が進みます。また低回転でのトルクがガソリンエンジンに比較して大きいため、始動時の力強さが特徴です。

 

◆ディーゼル車の経済性は?
(1)一般に同じ車種のガソリン車より数十万円高い。但し、日本ではエコカー減税の対象になっており自動車取得税が必要ありません。
(2)燃料の軽油の価格は、ガソリンより1~2割安価なため、数年使用すれば価格差は解消されるといわれています。
◆日本でディーゼル車が定着していない理由は?
1999年に当時東京都知事だった石原慎太郎氏が、真黒なすすが入ったペットボトルを提示して、トラックやバスなどは排出する粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)が大気汚染を域起こすと説明し、日本でのディーゼルエンジン車に対する排ガス規制の嚆矢となったPMに対する東京都独自の規制を行いました。その際の説明により、ディーゼルエンジンは環境に悪いとのイメージが広まり開発が遅れたといわれています。

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◆日本での普及の見通しは?

排ガス技術の改良などにより、2015年の販売台数は15万台を超える見込みとのことです。新車販売に占める比率は2%程度ですが、ハイブリッド車や電気自動車と並んで「第3のエコカー」として認知が高まりつつあります。
現在、マツダが国内のディーゼル車のシェアの約70%を占めています。ここにきて海外メーカも日本での販売を強化するところで今回の問題が露呈しました。

 

 

ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの仕組み

出典: https://www.a-nob.com/diesel-engine.html

出典: https://www.a-nob.com/diesel-engine.html

https://www.a-nob.com/diesel-engine.html

 

 

 

 

 

 
2015/9/25 日本経済新聞朝刊

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