日本のものづくり

2.5 縮みしろ,仕上げしろ

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2.5 縮みしろ,仕上げしろ

溶融金属の凝固収縮は、鋳型の設計の際に考慮しなければなりません。すなわち、鋳型の寸法は製品寸法より収縮量分を、縮みしろ(shrinkage allowance)として大きく製作する必要があります。凝固収縮量は鋳物の材質によって決まりますが、縮みしろは、形状や肉厚、鋳型材料などを考慮して定めなければなりません。

表2.5.1に、各種鋳物の収縮量を示します。模型を製作する際は、この収縮量を補正値として目盛にした鋳物尺(shrinkage rule)と呼ばれる定規を、表2.5.2に示す基準で使い分けます。

鋳造品は、機械部品としてその主要部については機械加工されます。したがって、加工部分には仕上げしろ(machining allowance,finishing allowance)を設けておく必要があります。仕上げしろは、凝固収縮量のほかに、鋳造表面に形成された硬いチル層を除去することも考慮して、若干大きめに取るように設計されます。ただし、必要以上に仕上げしろを大きくすると加工費が高価になるので、適正な値になるように設計する必要があります。

表2.5.3は、各種合金の仕上げしろの基準値を示します。また、鋳鉄の場合は残留応力の影響で、鋳造後の変形が予想されますので、形状・寸法により適正な仕上げしろを考慮しなければなりません。

 

 

 

参考文献
機械工学便覧 第6版 β03-02章

引用図表
表2.5.1  各種鋳物の収縮量                    機械工学便覧 第6版 β03-02章
表2.5.2  鋳物尺の使用基準                    機械工学便覧 第6版 β03-02章
表2.5.3  各種合金の一般仕上げしろ基準            機械工学便覧 第6版 β03-02章

2016/11/3
本稿(初稿)は、筆者の興味と復習を兼ねているため、参考文献からの引用が主たるものになっています。第2稿ではより内容を絞り、かつより広範囲なデータに基づく記述を企図しております。

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