日本のものづくり

7.4 周方向応力(フープ応力)(circumferential or hoop stress)

7.4 周方向応力(フープ応力)(circumferential or hoop stress)

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内圧を受ける薄肉円筒を考えます(図7.4.1(a),(b))。円周の接線方向に作用する引張応力は、周方向応力(circumferential stress)あるいはフープ応力(hoop stress)と呼ばれます。言い換えると、縦断面(もしくは円筒壁)に作用する引張応力です。

 

円筒胴の縦断面(直径X-Yに沿った)に作用する全負荷は、「圧力の強さ」x「投影面積」に等しく、()となり、

 

       (式7.4.1)

一方円筒胴壁に作用する全抵抗力は()となります。

      (式7.4.2)

式7.4.1と式7.4.2とは等しいことより、

これより、

     (式7.4.3-1)

もしくは、

    (式7.4.3-2)

以下の点に注意する必要があります。

1.エンジンのシリンダヘッドの設計では、式7.4.3で計算される肉厚に、磨耗した場合の修正が可能なように6mmから12mm余厚みを持たせます(注記:これはインドの場合です。日本の場合は未確認ですが、少なくとも乗用車のエンジンではこれほどの厚みを余厚みとして持つことはありません)。すなわち、

      (式7.4.4)

2.蒸気ボイラのような高圧容器の組立では、鋼板の端を結合するために、リベット継手もしくは溶接継手が用いられます。
リベット継手の場合の円筒胴のの壁厚みは、リベット継手の継手効率を考慮して、

           (式7.4.5)

ここで、
ηl: リベット継手の効率

3.延性材料の円筒の場合、周方向応力(σt1)は、耐力(σy)の0.8倍に取ることができます。脆性材料の場合の周方向応力は、極限引張応力(σu)の0.125倍に取られます。

 

ORG:2016/12/13
Correct:2018/11/14

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