1.1エロージョンとは何か

1.1 エロージョンとは何か(What is Erosion?)

 

スポンサーリンク

アフィリエイト広告を利用しています。

 

1. エロージョンのもとの意味

エロージョン(erosion)は、元来は地政学上の自然現象である、氷河や風雨、河川、砂ぼこりなどによる、山や谷の岩石の侵食や、海岸の波浪による侵食現象を示す言葉でした(図1)。
しかし現在では、工業上で発生する類似の現象を表す用語としても使用されるようになってきています。

図1エロージョンの例  出典:Pixabay

 

2. 本コンテンツの範囲

本コンテンツでは、主に工業上で現れる現象について述べようと考えています。

すなわち、
(1)液滴や液体
(2)減圧などにより液体内に発生する蒸気の泡
(3)液体中に含まれる固体粒子
などの機械的作用による材料の損傷現象を、エロージョンと呼んでいます。

 

3. エロージョンの定義

エロージョンとは「流体が材料表面に繰返し衝突したり、衝撃を与えることにより、機械的な損傷を与えてその一部を脱落させていく現象」と定義されます。
エロージョンを他の損傷現象と区別する点は、流体の衝突作用により材料に損傷を与えることです。

ここで作用する流体としては、
(1)液体の流れ
(2)固体の流れ(サンドブラストなどの粉粒体の流れ、土石流など)
(3)混相流(気-液系、液-固系、気-液系)
があります。

この中で最も重要なのは、(3)の混相流です。

 

4. エロージョンによる損傷

材料が受ける損傷は、エロージョンの種類や条件によっても異なりますが、一般的には圧縮による塑性変形、掘り起し、亀裂、切削状損傷、はく離などがあります。

エロージョンは、日本語では、壊食、侵食、潰食、摩食などといわれることもありますが、現在ではエロージョンとするのが一般的です。

 

5. エロージョンの例

ここでは、ポンプ羽根車のエロージョンの例を示します(図2)。これは砂と水との液-固混相流によるスラリー・エロージョンを示しています。

図2 スラリー・エロージョンの例  出典:流体機械・環境装置のエロージョン・コロージョン

 

 

 

参考文献
エロージョンとコロージョン  社団法人腐食防食協会  裳華房 1987年
流体機械・環境装置のエロージョン・コロージョン  宮坂松甫 他 材料-環境  Vol.57 No.3

 

引用図表
図1エロージョンの例  出典:Pixabay
図2 スラリー・エロージョンの例  出典:流体機械・環境装置のエロージョン・コロージョン

 

REV:2024/07/05
ORG:2015/02/24