3.2 調査のために必要な知識
3.2 調査のために必要な知識(Knowledge necessary for investigation)
破損解析で誤った結論に到達しないためには、様々な知識が必要です。
破損解析のステップは大体次のようになります。そのために必要とする知識を、以下に示します。
1.破損状況の記録:
基礎データの収集を行いますが、負荷の掛かり方、大きさなどを推定するための、力学や材料力学の知識が要求されます。
2.目視検査:
破損部の状態を確認記録します。マクロフラクトグラフィの知識が要求されます。
3.力学的解析(応力解析):
破損面に加わる負荷のかかり方や、発生応力を推定するために、材料力学(弾性力学、塑性力学を含む)や、破壊力学の知識が要求されます。
4.化学解析:
破損部表面に付着している酸化物などの生成物質の特定や皮膜の状態などを検討する、発錆の要因など、化学論的な知識が要求されます。
5.フラクトグラフィ(破面解析):
破損部や表面の状態、二次割れの有無など、破損部表面についての経験的・総合的な知識が必要となります。2項で示したマクロフラクトグラフィとともに、SEMなどの観察結果から破損原因を推定するためにミクロフラクトグラフィの知識が要求されます。
6.金属学的解析:
例えば、粒内腐食は結晶構造により、特定の破面で発生する傾向があります。破損に至る金属組織の影響など、金相学的な知識が必要です。
7.材料の特性検査:
耐力、引張強さなど破損材料の特性についての知識が必要です。
8.破損シミュレーション:
可能な限り破損の検証のため、使用時を想定した試験とその評価を行うための知識が必要です。