2.硬さを測る理由

2.硬さを測る理由(Reasons for measuring hardness)
スポンサーリンク
アフィリエイト広告を利用しています。
Contents
0. はじめに
金属材料における硬さとは、材料が外部からの力に対して抵抗し、形状を維持しようとする能力のことを指します。硬さは、機械的特性の一つで、材料の耐摩耗性や耐久性を判断する重要な指標となります。硬さは、金属の加工性、強度、およびその他の機械的特性と密接に関連しています。本コンテンツでは、金属材料の硬さに関する基本的な概念、硬さを測定する方法、および硬さに影響を与える要因について解説します。
1. 硬さの基本概念
金属の硬さの評価方法は、材料表面に小さな圧子と呼ばれる測定子を押し込んでどれくらい凹むかを測定する方法(ブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ビッカース硬さなど)、金属表面に圧子を落下させて反発の度合いを測定する方法(ショア硬さ)などのより測定されます。何れも、材料が変形に対して、どの程度抵抗するかによって硬さが評価されます。機械部品で強度部材を設計する際は、ほとんどの場合硬さを指定します。
2. 硬さ試験の種類
金属材料の硬さを測定する方法はいくつかありますが、JIS規格で規定される測定方法について説明します。
2.1 押込み硬さ
(1)ブリネル硬さ試験(HBW):
金属表面に、超硬合金製の球を一定の荷重で押し込んで、その時に出来たくぼみの直径を求め、その表面積を押込み荷重で除した値で求められます。昔は焼入れされた鋼球も圧子として用いられましたが、現在のJIS規格では超硬合金球のみが適用されます。
(2)ロックウェル硬さ試験(HRA, HRB, HRC):
頂角が120°のダイヤモンド円すい、または超硬合金球を圧子として用い、測定対象材料により決められた荷重で金属に押し込み、その押し込み深さに基づいて硬さを評価します。
(3)ビッカース硬さ試験(HV):
ダイヤモンド製の正四角錐の圧子を用いて、測定対象材料に荷重を加え、押し込まれた痕の永久くぼみの表面積から硬さを求めます。
2.2 反発高さ
・ショア硬さ(HS):
形状と質量が決められたダイヤモンドハンマーを、測定対象材料に対して一定の高さから垂直に落下させたときの跳ね上がり高さを測定する、動的反発硬さ試験方法です。
3. 硬さに影響を与える要因
金属材料の硬さに影響を与える主な要因は以下の通りです。
(1)材料組成:合金元素の種類や含有量が多いほど、一般的に硬さは高くなります。
(2)熱処理:焼入れや焼戻しなどの熱処理を行うことで、金属の結晶構造が変化し、硬さが大きく変化します。
(3)冷間加工:金属を冷間で加工する(圧延、鍛造など)ことにより、硬さが高くなります。
4. 硬さと他の機械的特性との関係
金属の硬さは、その他の機械的特性とも密接に関連しています。例えば、一般に硬さが高い材料は、強度も高い傾向がありますが、一方、じん性が低下する傾向が多いです。このため、材料を選定する際には、用途に応じて機械的強度とじん性とのバランスを考慮する必要があります。
5. まとめ
金属材料の硬さは、その耐久性や加工性を判断する上で非常に重要な機械的特性です。硬さを適切に測定し、評価することで、材料の適用範囲を正確に理解し、最適な利用が可能となります。硬さ試験は、ブリネル、ロックウェル、ビッカースや、ショアなど、いろいろ異なる方法で行われますが、それぞれに特徴があり、用途に応じて選択する必要があります。また、硬さに影響を与える要因を理解することで、材料の性能を最大限に引き出すことができます。
参考文献
材料試験硬さ技術の系統化調査 国立科学博物館技術の系統化調査報告第14集(独)国立科学博物館 2009年
REV:2024/02/12
ORG:2016/11/25