3.1 硬さともろさ/ねばさ

3.1  硬さともろさ/ねばさ

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1.硬ければもろい?

硬いものはもろいとよく言われます。それは正しくなくて、硬さともろさは違う性質です。 硬さは、比較的小さい領域に、ゆっくりとした負荷を与えたときに、変形に対する耐性です。 一方、もろさは急激に作用する負荷に対する耐性です。しかし、一般的には同じ系統の材質であれば硬いほどもろくなる傾向があります。

2.もろいものをねばくする

もろい材料をねばくするには硬さを下げて柔らかくすれば良いと言われていますが、本当に柔らかくすればねばくなるのでしょうか。実は柔らかくしても、それがねばくなるものではありません。 本当は、柔らかくすると延性(延びやすさ)が増すのです。ねばい性質は靭性といいます。

具体的に示すと、

硬  い・・・脆性(ブリットル)・・・もろい(脆い)
柔らかい・・・延性(ダクタイル)・・・延びる
変形能大・・・靭性(タフ)・・・ねばい(ねばい)

脆性:brittle, 延性:ductile, 靭性:toughness

となります。 ダクタイル鋳鉄というのは、ねばい鋳鉄ではなく延びの大きい鋳鉄、つまり延性鋳鉄のことです。

3.ねばさと調質材

非調質材と調質材を比較すると硬いほうが軟らかいものよりねばいのです。調質することにより材料が強くなります。同じ材質(炭素鋼)で比べてみましょう。

材料の性質

しかしここで注意することは、同じ調質材でも、よく焼きの入ったものを焼もどしした場合と、甘焼き(不完全焼入れ)のものを焼き戻した場合とでは、調質後の硬さが同じであっても衝撃値(ねばさ)は違います。完全焼入れの調質材のほうがはるかにねばいのです。 熱処理屋さんは、完全に焼入れすることが大事と強調します。いうなれば、完全焼入れ/焼戻しが一番ねばいことになります。もちろん、完全焼入れ/焼戻し品であれば硬いものほどもろく、軟らかいものほどねばいことになります。
つまり、硬さだけで、もろい/ねばいは一概には断定できないということです。

 

修正:2016/8/8