(3) モース硬度

(3)モース硬度(Mohs hardness)

 

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1. モース硬度とは

モース硬度は、1812年ドイツの地質学者・鉱物学者のフリードリッヒ・モース氏(Friedrich Mohs)により考案された、鉱物の硬さに対する尺度を表します。硬さの尺度として1から10までの10段階の整数値を考えて、それぞれに対応する標準鉱物を設定したものです。

工業的な金属材料の硬さの指標ではないので、一般にはモース硬度といいます。

モース硬度の考え方は、「硬い材料と軟らかい材料とをこすり合わせたときに、傷がついたほうを軟らかいと判断する。」、引っかき硬さの指標に属します。

モース硬度の数値の間には、比例関係はありません。硬度1と硬度2との間の硬度差よりも、硬度9と硬度10との間の硬度差のほうがはるかに大きいです。
工業的に考えると、合理性の無い不便な見分け方のように思えられますが、分析装置が無い野外で、鉱物を同定する際に有効で簡便なコストのかからない方法です。

図 フリードリッヒ・モース  出典:Wikipedia

 

2. モース硬度の測定方法

最も柔らかいものを1、最も硬いものを10として、以下のように各硬度に対する標準鉱物を定めています。

試料物質の硬度測定は、10段階ある標準鉱物と試料物質とをこすり合わせて硬さを測定します。

しかし、これらの硬度は相対的なものなので、例えばモース硬度4.5と示されている2つの鉱物があったとしても、それらは同じ硬さとは限りません。あくまでもこれは、蛍石で引っかくと傷がつかず、燐灰石で引っかくと傷つくということを示すのみで、絶対的な硬さを表すものではありません。

表4.5.3.1 標準鉱物のモース硬度

 

3. 修正モース硬度

修正モース硬度とは、モース硬度の10段階による硬さの指標を、更に細かくして15段階の硬度に分類しなおしたものです。工業分野でよく利用される物質を追加しています。新モース硬度とも言われます。

表4.5.3.2 修正モース硬度

 

4. モース硬度の標準鉱物

モース硬度の標準鉱物を示します。

滑石(モース硬さ:1)

滑石(モース硬さ:1)

石こう(モース硬さ:2)

石こう(モース硬さ:2)

方解石(モース硬さ:3)

方解石(モース硬さ:3)

蛍石(モース硬さ:4)

蛍石(モース硬さ:4)

燐灰石(モース硬さ:5)

燐灰石(モース硬さ:5)

正長石(モース硬さ:6)

正長石(モース硬さ:6)

石英(モース硬さ:7)

石英(モース硬さ:7)

トパーズ(モース硬さ:8)

トパーズ(モース硬さ:8)

鋼玉(モース硬さ:9)

鋼玉(モース硬さ:9)

ダイアモンド(モース硬さ:10)

ダイアモンド(モース硬さ:10)

 


 

まとめ

・モース硬度は、引っかき硬さの一種です。

・モース硬度は10段階、修正モース硬度(新モース硬度)は15段階の指標になります。

・モース硬度、修正モース硬度とも、得られる値は相対的なものです。例えば、燐灰石で引っかくと傷がつき、蛍石で引っかいても傷がつかない2つの材料は、モース硬度はどちらも4.5 ですが、絶対的な硬さ(例えば、ビッカース硬さ)は同じになるとは限りません。

・修正モース硬度は、工業材料、特に研磨剤の硬度を評価する尺度として考えられたと推定します。

 

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参考文献
モース硬度   Wikipedia
Ted Pella, Inc.HP   https://www.tedpella.com/company_html/hardness.htm

 

引用図表
図 フリードリッヒ・モース  出典:Wikipedia

表4.5.3.1 標準鉱物のモース硬度   参考:Wikipedia
表4.5.3.2 修正モース硬度   参考:Wikipedia

 

REV:2021/06/24; 図表追加等
修正日:2016/8/8