2.3.2 ポンプとアクチュエータの効率
2.3.2 ポンプとアクチュエータの効率(efficiency of pump and actuator)
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1. 油圧ポンプの効率
油圧ポンプを駆動するには、電動機もしくはエンジンが用いられます。電動機やエンジンが油圧ポンプに与える動力を、ポンプ軸動力といいます。
油圧ポンプは、このポンプ軸動力を流体動力に変換する機器ですが、軸動力は100%流体動力に変換されることはありません。理由は、ポンプの回転部分などの摩擦抵抗により動力を失うからです。これをポンプの機械的損失といい、有効に伝達される動力の割合を、ポンプの機械効率といいます。
また、油圧ポンプには作動油を加圧する部分に必ずすきまがあります。例えば、ピストンポンプのピストンとシリンダブロックのピストンボアとのすきまのようなものです。ポンプが運転されている間はこのすきまから作動油が漏れます。漏れ量は作動油が高温・高圧になるほど増加します。
そのため、実際にピストンが移動することにより得られる吐出し容量は、理論的なポンプ押しのけ容積より少なくなります。つまり、ポンプの内部で容積的な損失が発生していることであり、ポンプの理論的吐出量Qthと実際の吐出量との比を、ポンプの容積効率といいます。
ポンプの機械効率とポンプの容積効率との積をポンプ効率といいます。図2.3.2.1 にポンプ効率の例を示します。
ポンプは、使用圧力が高圧になるほど容積効率が低下しますが、極端に落ち込むことはありません。ポンプ効率を見ると、吐出圧力が低くなると極端に効率が悪くなります。
図2.3.2.1 ポンプ効率の例 油圧教本_増補改訂版
油圧ポンプについてのこれらの関係を表2.3.2.2 に示します。
表2.3.2.1 油圧ポンプの特性計算式 ORIGINAL
2. アクチュエータの効率
油圧シリンダや油圧モータなどのアクチュエータは、作動油の流体動力を機械的な仕事に変換する機器です。油圧ポンプと同様、与えられた動力の全てを有効な動力に変換することは出来ません。
ここでは、油圧シリンダについて考えましょう。
油圧シリンダは、ピストンとシリンダとの間に、油漏れを防止するためにパッキンを用いています。このパッキンとシリンダとの摩擦により、動力の一部が失われます。また、パッキンを使用していても作動中はシリンダの高圧側から低圧側に内部で油漏れが生じます。
このように油圧シリンダの場合も、摩擦と油漏れによる動力損失があります。油圧シリンダの効率はおおよそ80~95%程度になります。
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参考文献
油圧教本_増補改訂版 油圧教育研究会 日刊工業新聞社
実用油圧ポケットブック_2012年版 (一社)日本フルードパワー工業会
引用図表
図2.3.2.1 ポンプ効率の例 油圧教本_増補改訂版
表2.3.2.1 油圧ポンプの特性計算式 ORIGINAL
ORG:2021/10/23