2.5.3 回路の諸損失

2.5.3 回路の諸損失(Loss of hydraulic circuits)

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油圧回路は、ポンプやシリンダ、フィルタなどの機器類と、それらの機器と配管やホースとを接続する継手類(ユニオン、エルボ、チーなど)から構成されています。これらの接続部は、流路の断面積が変化したり、流れの方向を変化させる場合が多くあります。

そのため、摩擦による圧力損失に加えて、流れの状態が変化する(衝突や渦の発生など)ことによるエネルギー損失により圧力損失が発生します。流れの状態が変化することにより発生する圧力損失は、速度の大きい方の流速の速度エネルギーを基準にして次式のようになります。

ここで

Δpm:圧力損失(Pa)

K:損失係数(管路の種類やサイズ、およびレイノルズ数に依存します)(-)

ρ:流体の密度(kg/m3

v:平均流速(m/s)

です。

損失係数について、幾つかの事例を示します。

 

1. 管路の入口

1.1 助走区間における損失(図2.5.3.1)

管内の流れが管入口から十分に発達するまでの距離である助走区間の距離 Lの区間での圧力低下は次式で表されます。

ここで、

Δp:圧力損失(Pa)

λ:管摩擦係数(-)

L:助走区間管長(m)

d:管内径(m)

ρ:流体の密度(kg/m3)

v:平均流速(m/s)

損失係数Kの値については、

層流の場合:K=2.25~2.33

乱流の場合:K=1.06~1.09

になります。


 図2.5.3.1 助走区間における損失

 

1.2 円管路入口の損失

タンクからの取出し口によくありますが、壁面に対して円管路が垂直に取り付けられている場合、入口の形状や取付角度によって損失係数Kは大きく異なります。図2.5.3.2は、ワイズバッハ(Weisbach)が乱流の場合のKの値を示したものです。

 図2.5.3.2 円管路入口の損失

入口形状で、損失に大きな影響を与えるのが入口の角の丸みです。図2.5.3.2の(a)の形状は、詳しく流れの状態を見れば、図2.5.3.3のように、入口でいったん収縮した後、及び管路内に広がるので、この部分で入口損失の大部分を生じています。

 図2.5.3.3 入口エッジ部による流れの収縮

 

2. 断面積が急に変化する場合

2.1 拡大する場合

 図2.5.3.4 急拡大管の流れ

図2.5.3.4のように、管路の断面積がA1からA2に急激に増加する場合、急拡大部を通過する流量Q(m/s)による流れの損失Δp(Pa)は、次式で表されます。

ここで、

,    

の関係が成り立つので、損失係数Kとξとの間に、次の関係が成り立ちます。

ここで、ξの値はほぼ1.0になります。従って急拡大管路の場合は、次式が成立します。

これらの関係式は、各断面の流速分布が一様の場合はほぼ成立します。

また、圧力は流速が減少するので、上昇します。圧力上昇率は次式で表されます、

ここで、p1p2は断面1,2での圧力を示します。

 

2.2 縮小する場合

 図2.5.3.5 急縮小管の流れ

図2.5.3.5のように、管路の断面積がA1からA2に急激に縮小する場合、急縮小部を通過する流量Q(m/s)による流れの損失Δp(Pa)は、次式で表されます。

ここで、v2は下流側の断面平均流速(m/s)になります。

損失係数Kは、図2.5.3.5 に示されるように、流れの収縮がある場合は、次式で示されます。

ここで、

は収縮係数と呼ばれます。

収縮係数Ccや損失係数Kは、入口の形状と縮小管前後の面積比(A2/A1)によって異なります。

図2.5.3.5に示す、急縮小部の縁が鋭い場合の、A2/A1K及びCcとの関係を、表2.5.3.6および図2.5.3.7に示します。

  表2.5.3.6 急縮小管の面積比に対する損失係数と縮流係数

 表2.5.3.7 急縮小管の損失

 

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3. 実用的な継手類の損失

3.1 損失係数Kにより求める方法

これらの要素についても、1項と同様、圧力損失は次式のようになります。

ここで

Δpm:圧力損失(Pa)

K:損失係数(管路の種類やサイズ、およびレイノルズ数に依存します)(-)

ρ:流体の密度(kg/m3

v:平均流速(m/s)

です。

表2.5.3.8に弁及び継手の損失係数Kを示します。管内の状態や取付位置(各継手間の距離など)により、バラツキがありますので、表2.5.3.8 (c)を参照してください。

 図2.5.3.8 (a) 継手類の損失係数

 図2.5.3.8 (b) 弁・継手類の損失係数

 図2.5.3.8 (c) 弁・継手類の損失係数のバラツキ

 

3.2 相当管長(L/D)により求める方法

3.1項に示す、損失係数Kで圧力損失を示す

と、直管の圧力損失を示す、ダルシー・ワイズバッハの式

とを比較すると、

となり、継手や弁による圧力損失を、直管の圧力損失と等価と考えることができます。

従って、L/D比あるいは直管径の相当長さ(相当管長)として、継手や弁による圧力損失を計算する方法があります。(筆者は、ターボ機械の設計者であった際、もっぱらこの項で記述する相当管長で配管抵抗を計算していました。)

実験結果では、継手や弁の口径が大きくなるにつれて、Kの値は減少する傾向があるのに比較して、L/Dの場合はほとんど一定であるといわれています。

また、この方法の長所は、圧力損失を求めるのに、ダルシー・ワイズバッハの式を使用するので、動粘度について考慮されていることです。

各種継手や弁のL/Dについては、表2.5.3.9に示します。

 表2.5.3.9 継手及び弁の相当管長

具体的な計算方法については、本サイトの

管摩擦係数(Moody)線図

の項を御参照下さい。

 

 

 

 

 

 

参考文献
油圧教本 増補改訂版     日刊工業新聞社
機械工学便覧 第6版   α04-08章   日本機械学会
技術資料 管路・ダクトの流体抵抗   日本機械学会
ポンプハンドブック  I. J. カラシク他   地人書館

 

 

引用図表
図2.5.3.1 助走区間における損失  機械工学便覧 第6版
図2.5.3.2 円管路入口の損失   技術資料 管路・ダクトの流体抵抗
図2.5.3.3 入口エッジ部による流れの収縮  技術資料 管路・ダクトの流体抵抗
図2.5.3.4 急拡大管の流れ  技術資料 管路・ダクトの流体抵抗
図2.5.3.5 急縮小管の流れ  技術資料 管路・ダクトの流体抵抗
表2.5.3.6 急縮小管の面積比に対する損失係数と縮流係数  技術資料 管路・ダクトの流体抵抗
表2.5.3.7 急縮小管の損失  技術資料 管路・ダクトの流体抵抗
図2.5.3.8 (a) 継手類の損失係数  ポンプハンドブック
図2.5.3.8 (b) 弁・継手類の損失係数  ポンプハンドブック
図2.5.3.8 (c) 弁・継手類の損失係数のバラツキ  ポンプハンドブック
表2.5.3.9 継手及び弁の相当管長  ポンプハンドブック

 

ORG:2018/7/29