4.5.1 配管類(piping)

4.5.1 配管類(piping)

 


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要素機器を接続するために、配管類が用いられます。配管類には、鋼管、銅管、油圧ホースが用い油圧られます。これらについて見ていきましょう。

 

1. 管

油圧の要素機器を接続するために、可撓性を必要としない箇所については、管が用いられます。油圧回路に用いられる管には、鋼管と銅管があります。このうち鋼管がより多く用いられます。

鋼管には、低圧回路部に使用される配管用炭素鋼鋼管(JIS G3452-2019;SGP)や、高圧回路部に用いられる圧力配管用炭素鋼鋼管(JIS G3454-2017;STPG)、高圧配管用炭素鋼鋼管(JIS G3455-2020;STS)があります。STPG、STPTはスケジュール番号により、最高圧力によって各サイズごとに肉厚が規定されています。

この他、くい込み式管継手用精密炭素鋼鋼管(JIS B2351-2000付属書2;STPS)が2種類規定されています。これは、団体規格である日本フルードパワー工業会規格JFPS 1006に規定するOST-1,2に包含されます。経験上は実際の購入ではOSTで購入するのが通常だと考えます。また種別としてはOST-2の方が一般的だと考えます。表1にOST-2の諸元について示します。

表1 油圧配管用精密炭素鋼鋼管   出典:実用油圧ポケットブック 2012年版

銅管については、継目なし銅管が適用され、パイロット圧の管路や、ドレン管路等の低圧回路部に用いられます。

 

2, ホース

鋼管での配管が不可能な場合や、可動部がある場合、振動の伝達を遮断したい場合には、ホースが用いられます。ホースの選定方法、使用方法を間違えると大きく寿命に影響を及ぼすので十分注意する必要があります。

2.1 構造および種類

ホースは内面層、補強層および外面層より構成されます。ホース両端に口金具といわれる継手が、カシメなどにより取付けられています。図2にホースの構造図を、図3に口金具の例を示します。

図2 液圧用ホースの構造図   出典;油圧教本_増補改訂版

図3ホース口金具の構造   出典:油圧教本_増補改訂版

 

内面層は耐油性、耐法性および耐熱性が必要であり、耐油性の合成ゴムや、樹脂などの材料が使用されています。補強層は耐衝撃性および耐圧性が要求され、ワイヤや合成繊維を編んだ材料が単層または複数層組み合わせて使用されています。外面層は耐候性、耐油性及び耐摩耗性が必要ですので、耐候性合成ゴムや、樹脂などの材質が使用されています。表4はJIS規格に規定されている液圧用ホースを示します。

表4液圧ホースの規格と種類  ORIGINAL

ホースの継手金具の種類と記号については、JIS B8363-2015(液圧用ホースアセンブリの継手金具及び附属金具)に規定されています。ホースと継手の選定に際しては、使用流体、温度、使用圧力、使用環境および作動条件などを十分調査する必要があります。

 

2.2 ホース・継手金具の選定、取付についての注意事項

ホースと継手金具の選定については、以下の点に留意する必要があります。

(1)内圧が負圧になると、ホースの内面層の落込みや剥離が発生する可能性があります。そのため、負圧が発生しないように、回路設計を行う必要があります。負圧の発生が避けられない場合にはホースメーカと協議する必要があります。

(2)許容される温度範囲を超えて使用した場合、樹脂やゴムの熱劣化が進行するので、メーカの推奨温度範囲内で回路を設計する必要があります。樹脂ホースは、特に温度の影響を受けやすいので注意が必要です。

(3)作動流体の性状により、ホースの内面層や補強層が劣化する場合もあるので、ホース材料の選定には注意を払う必要があります。特に鉱物系作動油以外の流体については適合表などの確認が必須です。また、口金具や継手類の表面処理にも注意する必要があります。

(4)海水など腐蝕環境にて使用すると、口金具やホースの補強層が腐蝕しますので、口金具の材質・表面処理を検討したり、ホースの外面層を耐食性に優れた樹脂カバーなどで被覆することを検討する必要があります。

(5)ホース内の作動流体の速度が大きいと圧力損失が増加します。また最悪の場合、内面層の剥離に繋がりますので、流速は高圧側で2~8m/sec、戻り側で0.6~1.2m/sec程度に収まるようにホース呼び径を選択することが望ましいです。

(6)それぞれのホースにはメーカの違いや、耐圧区分、呼び径などにより、許容される最小曲げ半径が、カタログ等に示されています。規定の最小曲げ半径以下の小さな曲げで使用すると、ホースが潰れたり、折れ(キンク)が発生して、寿命が著しく短くなります。油圧設備の設計をする際には、最小曲げ半径以下にならないように、配管設計を行う必要があります。

(7)ホースが他の機器等に繰返し接触すると、ホース外面層が摩耗するするので、ホース表面を保護プレード、保護スプリングまたは樹脂カパーなどで保護する対策が必要です。

(8)ホースは圧力が加わると、径方向に膨張して、長さが短くなります。運転時に異常な張力がかからないようホースの長さを決める必要があります。

(9)ホースがねじれた状態で繰り返し加圧すると、継手付近や補強層にき裂が発生しホースの破裂につながります。ねじれないように、ユニオンなどを用いて配管の設計をしなければなりません。

 

2.3加圧力に対する内容積変化量

ホースには、圧力を加えると内容積が膨張する特性がある。この効果によりサージ圧力の軽減のメリットがありますが、一方膨張量が大きくなると油圧システムの応答性に影響を及ぼします。高応答性を要求される回路では、十分注意が必要です。

 

3. 配管用管継手

管を管や機器に接続するために配管用管継手を使用します。配管用管継手には、ねじ込み継手、差し込み溶接継手が、エルボやチーズ、ソケットなど各種の形式がありますが、溶接継手は着脱できない短所があり、ねじ込み継手も、管用テーパねじ(記号:G)によるシールが振動が多い場所では必ずしも完全ではないなどの問題があります。これらは油圧以外の流体管路に用いられます。

油圧配管で、使用頻度が高い継手は、ユニオン形溶接継手(図5)や、フランジ形溶接継手(図6)、フレア継手(図7)、フレアレスくい込み継手(図8)などが用いられます。

図5ユニオン形溶接継手   出典:実用油圧ポケットブック2012年

図6 フランジ型溶接継手   出典:実用油圧ポケットブック2012年

図7 フレア継手   出典:実用油圧ポケットブック

図8 フレアレスくい込み継手   出典:実用油圧ポケットブック

 

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参考文献
実用油圧ポケットブック 2012年版  日本フルードパワー工業会
油圧教本(増補改訂版)  塩崎義弘 他  日刊工業新聞社  1973年

 

引用図表
表1 油圧配管用精密炭素鋼鋼管   出典:実用油圧ポケットブック 2012年版
図2 液圧用ホースの構造図   出典;油圧教本_増補改訂版
図3ホース口金具の構造   出典:油圧教本_増補改訂版
表4液圧ホースの規格と種類  ORIGINAL
図5ユニオン形溶接継手   出典:実用油圧ポケットブック2012年
図6 フランジ型溶接継手   出典:実用油圧ポケットブック2012年
図7 フレア継手   出典:実用油圧ポケットブック
図8 フレアレスくい込み継手   出典:実用油圧ポケットブック

 

ORG:2023/05/16