3.1 純音の”大きさ(Loudness)”と等ラウドネス曲線

3.1 純音の”大きさ(Loudness)”と等ラウドネス曲線

周波数1kHzの音を基準にとって、例えば、1kHz、音圧レベル40dBの音をスピーカから発音させて、正常な聴力を持つ人が、これを聞いてその音と同じ大きさに聞こえると判断した「音の大きさ」(Loudness)のレベル(Loudness level)を、40P(phon、フォン)と定義します。
周波数1kHzの音について、色々な音圧レベルdBの音を、音の大きさのレベルphonで目盛ります。

次に、これを物差しとして、他の周波数の音圧レベルdBを音の大きさのレベルphonの尺度で目持っていきます。すなわち、1kHzmのx(dB)の音(x(phon))を正常な聴力を持つ人に聞かせて記憶してもらい、次に他の周波数、例えば100Hzの音を発生させて、記憶している音と比較させて、同じ大きさと判断された100Hzの音の”音圧レベル”を求めると、100Hzの場合はこの音圧レベルを持つ”音の大きさのレベル”はx(phon)になるということです。以下、同様にして、色々な周波数のについて、1kHzの音と比較して、同じ大きさと判断される、その周波数での音の音圧レベルを求めていくと、これらの”音圧レベル”の音が、等しい”音の大きさのレベル”を持つ点を求めることができます。

このようにして、等しいphon数を持つ曲線を求めることができます。これを等ラウドネス(Loudness)曲線あるいは等感度曲線といいます。

周波数による人間の聴感の変化に関する測定は、フレッチャー・マンソン(Fletcher-Munson)に始まり、1957 年にロビンソン(Robinson, F)らによって正常な聴覚を持つ人が等しい大きさに感じる純音の音圧レベルと周波数の関係を求めるために、再測定がなされました。

長らくロビンソンによる等ラウドネス曲線が使われてきましたが、大きな誤差が含れていることがわかり、2003 年に新しい等ラウドネス曲線が ISO226 として国際規格化されています(図3.1.1)。
本図ではロビンソンによる旧等ラウドネス曲線を青色で、新ラウドネス曲線を赤色で示し差異を対比させています。

純音の等ラウドネス曲線

 

この等ラウドネス曲線から見て、人間の聴覚のいくつかの特徴が読み取れます。

1 低周波数域では、耳の感度が非常に悪くなります。例として、音の大きさのレベルが40phonの曲線を例にとります。1kHzの純音では40dBですが、250Hzでは50dB、63Hzで73dBの強い音でないと、同じ大きさの音に聞こえません。

2 周波数4kHz付近で耳の感度は最も鋭くなります。

3. 4kHz以上の高い周波数では、耳の感度は周波数の増加にともなって上昇しますが、8kHz近傍から徐々に感度が悪くなってきます。

4. 人間が音として感じることができる周波数の範囲は、音の強さによっても変りますが、 低域の周波数限界(最低可聴限)は、15~20Hz、高域の周波数限界(最高可聴限)は約 20kHzとなります。

この図は、多数の青年の平均値として考えて良いのですが、実際にはかなり個人差があります。また、20 才を過ぎると老化現象が表れて(かなり早いですね)、最高可聴限は加齢に従って低下してゆきます。

 

 

参考:小野測器_技術資料