1.1 トライボロジーと潤滑(tribology and lubrication)

1.1 トライボロジーと潤滑(tribology and lubrication)

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トライボロジーという言葉は、相対する表面の間に作用する、摩擦や摩耗、潤滑の原理と方法、潤滑剤、表面を構成する材料の特性、潤滑系、更に設計や保守管理、信頼性の技術まで、相互に影響しあう二表面についての機械工学や物理学、化学、材料工学などの幅広い学問技術を含んでいます。

トライボロジーという概念は、比較的新しく生まれました。1966年にイギリスの科学技術省が潤滑技術委員会を設置し、潤滑問題の実態調査と検討を行った際に発表された、”lubrication (tribology)” という表題の報告書で新たに示された概念です(この報告書は、委員長の名前をとって「Jost 報告」と呼ばれています)。

トライボロジー(tribology)は、ギリシャ語の ”tribos (摩擦する)” をもとにしたものですが、報告書の中で次のように定義されました。

“Tribology is the science and technology of interacting surfaces in relative motion and of related subjects and practices.”

「トライボロジーとは、相対運動をして相互に影響しあう二表面,ならびにそれに関連する諸問題と実際についての科学と技術」

 

一般に潤滑(lubrication)という言葉が、「機械の摩擦を低減させる技術」という機械工学に関連した分野にとどまった概念であるのに対して、トライボロジーは極めて広い分野を含んでいる概念です。対象となるのは機械に限らず、自然現象や生体まで広い範囲に及んでいます。

 

 

 

参考文献

トライボロジー入門  岡本純三他  幸書房

 

ORG:2019/9/11