8.2 軸受荷重とゾンマーフェル卜数
8.2 軸受荷重とゾンマーフェル卜数(Bearing load and Sommerfield number )
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前項(式8.1.11)のように圧力分布が得られているので、その圧力の総和P と軸受荷重W との釣合いを求めます。図8.2.1に示すジャーナル軸受について、軸受荷重と圧力の釣合いを示します。圧力P と軸受荷重W とには、ベクトルの関係が成立します。
図8.2.1 ジャーナル軸受における荷重と圧力との釣合い
O1 ,O2 の方向をh 方向とし、それと直角の方向をv 方向とします。軸受の軸方向の長さをL とすると、次の関係が成り立ちます。
(式8.2.1)の計算を部分積分すると
になります。
(式8.2.3)の第1項は0になります。そこで、第2項に、”8.1 ジャーナル軸受の圧力分布”に示す、
を代入して計算を進めると、
が得られます。
本式の右辺の積分でとにおける値は等しくなるので、 となり、となります。
この結果の意味は、軸中心に荷重W が付加されると、軸中心O1 は軸受中心O2 に対して、荷重と直角方向に移動することを意味します。Ph が荷重と直角になるので、荷重W をPh が支えています。
従って、(式8.2.2)は、
になりますが、(式8.2.5)の右辺第1項は0になります。第2項に(式8.2.3)の場合と同様に、(式8.1.4)、(式8.1.5)の関係を代入して、計算を進めると
が得られます。
(式8.2.6)は、軸受の運転条件として、η ,U ,L ,r ,c が与えられると、偏心率ε がわかれば、軸受の負荷能力W を求めることが出来ます。
しかし、ε は運転条件により決まりますので、以下に示す関係を用いて求めます。
軸の回転数をN[sec-1]とすると、 になります。また、平均軸受圧力pm はであるので、(式8.2.6)は、
になります。
ここで、Sはゾンマーフェルト数(Sommerfield number)と呼びます。
S は、軸受半径r (mm)、隙間c (mm)、粘度η (Pa・s)、回転数N (sec-1)、および平均軸受圧力pm (Pa)から構成される無次元量になります。これより、寸法や運転条件がわかれば、S よりε が求めることが出来、軸受性能を計算することが出来ます。
参考文献
トライボロジー入門 岡本純三他 幸書房
引用図表
図8.2.1 ジャーナル軸受における荷重と圧力との釣合い トライボロジー入門
ORG:2019/7/30
REV.2022/07/31 : M様の御指摘により、式8.2.6 を修せしました。(6を取りました)