工場生産工程の分類:プロセス製造型と組立製造型

工場生産工程の分類:プロセス製造型と組立製造型
(Classification of factory production processes: process manufacturing and assembly manufacturing)

 

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0. 工場製造工程の分類:プロセス製造型と組立製造型

工場における製造工程は大きく分けて「プロセス製造型」と「組立製造型」とに分類されます。
これらは、製品や設備の特性、生産フロー、改善の重点等が異なるため、製造現場での役割や効率化の方向性も大きく異なります。本コンテンツでは、両者の違いを詳細に解説します。

図 プロセス製造型と組立製造型との比較  参考:今と未来がわかる工場

 

1. 製造する製品の違い

(1)プロセス製造型:

プロセス製造型では、主として液体状、粉体状、ガス状の清浄を持つ、石油製品、化学製品、食品、飲料などの原材料を、連続的な流れの中で、加工・変化させて製品化します。製品は量産型で、多くの場合、均一な性質が要求されます。これらの製品は、一旦製造させると分解・再構成が困難なことが多いです。
例えば、石油製品、セメント、飲料、医薬品などが該当します。

(2)組立製造型:

組立製造型では、部品や素材を組み立てて完成品を作る製品が対象です。多くの部品を組み合わせて製品化します。製品製造は、多品種少量生産から大量生産まで幅広い範囲の製品に適用されます。製品の形状・機能は、複雑で多岐にわたります。また一般的に、組立製造型の製品は分解・再組立てが可能であり、個別の部品ごとに異なる役割を持ちます。

 

2. 装置・設備の違い

(1)プロセス製造型:

プロセス製造型では、連続運転に適した大型の設備・装置が多く使用されます。例えば、反応炉、蒸留・精製塔、混合機、熱交換器、および大型タンクなどが該当します。これらの設備・装置は、最適な条件を維持するための高度な制御システム(DCS:Distributed Control System)を備えており、プロセス全体を自動的に効率的な管理を行います。

(2)組立製造型:

組立製造型では、ライン生産方式が主流ですが、製品の性質によっては一部セル生産方式も採用されています。機械加工、組立、検査など、製品形状や機能に応じて、多様な部品を効率的に製造・組立てて、検査するための多様な設備が求められます。顧客の多様なニーズに応えるため、柔軟性の高い製造ライン設計が必要です。

 

3. 製造部門が果たす役割の違い

(1)プロセス製造型:

プロセス製造型では、原材料から最終製品までの一連の化学的・物理的プロセスを一貫して管理することが、製造部門の主な役割です。特に、プロセスの安定性を確保し、歩留まりを最大化するために、プロセス制御、品質管理、保全など、プロセス全体を通しての最適化が重要です。
また製造部門は、品質管理部門と密接に連携し、規格を満たした製品を安定的に供給する責任があり、高度な専門性が要求されます。

(2)組立製造型:

組立製造型では、部品供給の最適化や、効率的な組立ラインの管理が中心的な役割となります。加工、組立、品質管理、保全、物流など、多様な工程があります。製造部門は、それぞれの工程での歩留まりや精度を確保し、不良品の発生を最小限に抑えることが、重要な役割を持っています。
また、顧客の要求に応じたカスタマイズに対応可能な、柔軟性が要求されます。

 

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4. 製品の流れの違い

(1)プロセス製造型:

プロセス製造型では、原材料が連続的に処理され、最終製品へと変化していきます。例えば化学製品では、原材料投入 → 反応・分離 → 精製 → 製品出荷のような、連続的な流れの中で製品が生産されます。この流れは一方向であり、一旦製品が流れると途中で停止することが難しい場合が多いです。そのため、機械設備の稼働率を最大化し、非稼働時間を削減することが重要です。

(2)組立製造型:

組立製造型では、製品は工程ごとに順次組み立てられていきます。例えば、機械系の製品では、部品調達 → 加工 → 組立 → 検査 → 出荷。複数の工程を経て、製品が完成します。
部品供給がタイムリーであること、各工程が効率よく連携していることが求められます。製品の流れは、柔軟性が要求され、工程ごとに異なるカスタマイズを加えることも必要になります。

 

5. 改善ポイントの差異

(1)プロセス製造型:

プロセス製造型の改善ポイントは、主として原材料の効率的な使用や、エネルギー消費の最適化、プロセス効率の向上、品質安定化など、各条件の最適化にあります。
例えば、製造プロセスのモニタリングを強化し、データ分析を活用して品質のばらつきを削減することが挙げられます。また、廃棄物の削減や環境負荷の低減も重要な課題です。

(2)組立製造型:

組立製造型の改善ポイントは、主として生産リードタイムの短縮などの作業効率の向上や、不良率低減やラインバランスの最適化などによる生産コストの削減、品質向上などがあります。
例えば、作業者の動線を改善したり、組立工程を自動化することで、生産性を向上させる取組みを行い、柔軟な生産システムの構築が重要です。また、製品ライフサイクル全体を考慮した生産計画の立案も、競争力強化につながります。

 

6. まとめ

プロセス製造型と組立製造型とでは、それぞれ異なる特性と課題を持っています。これらを十分に理解し、製造工程に適した改善策を講じることで、生産効率の向上と競争力の強化を図ることが可能です。製造現場のニーズに応じた柔軟な対応と継続的な改善活動が、現代の製造業に求められる鍵となるでしょう。

 

参考文献
組立製造とは?プロセス製造との違いを解説  BizAppチャンネル  2025/01/24閲覧
今と未来がわかる工場  多田夏代  ナツメ社 2022年

図表
図 プロセス製造型と組立製造型との比較  参考:今と未来がわかる工場

ORG:2025/01/25