13.19 フランジ形たわみ継手
13.19 フランジ形たわみ継手(flexible flanged shaft coupling)
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フランジ形たわみ継手は、JIS B1452-1991 「フランジ形たわみ継手」に、構造や寸法、材質などが決められています。たわみ継手としては日本でもっともよく使われています。図13.19.1 に構造を示します。
図13.19.1 フランジ形たわみ継手
フランジ形たわみ継手は、継手ボルトに耐油性の加硫ゴムのブッシュを用いて、ゴムの変形を利用してわずかな軸心の狂い(ミスアライメント)を吸収する構造です。ゴムブッシュの弾性変形分なので大きな値は許容できません。ミスアライメントの許容値については別項で記述します。
1.材質
JISB1452では、それぞれの構成部品について以下のように決められています。
継手本体:FC200(JISG5501),SC410(JISG5101),SF440A(JISG3201),S25C(JISG4051)
継手ボルト:
ボルト:SS400(JISG3101)
ナット:SS400(JISG3101)
座金 :SS400(JISG3101)
ばね座金:SWRH62(JISG3506)
ブシュ:NBR[B12(JISK6386);耐油性加硫ゴム,Hs(JISA)=70]
JISB1452では、4種類の材質が規定されていますが、日本で最も多く本形式の継ぎ手を製造しているナベヤのカタログでは、鋳鉄製(FC200以上)と、炭素鋼製(S25C以上)の2種類が決められています。
2.性能
それぞれの軸継手は、継手サイズ(継手外径)により許容回転数が決められていますが、材質により異なります。
一方、許容伝達トルクは継手ボルトの強さによりきめられますので、継手サイズが同じであれば一定です。
一例として、ナベヤカタログから、許容回転数と許容伝達トルクについて抜き出した表を示します(表13.19.2)。
表13.19.2 フランジ形たわみ継手の性能
3.アライメントの調整
(1)フランジ形たわみ継手は、他のたわみ継手と比較すると大きくはないですが、ミスアライメントを許容します。ミスアライメントの許容値を超えると、継手寿命が急速に低下したり、振動が発生したりします。アライメントの調整(芯出し)は、回転機器の組立、据え付けなどの際にきわめて重要な技能要素になります。
(2)軸のミスアライメントには、次の3種類があります。
・偏心(Parallel Offset Misalignment):両軸心の平行誤差
・偏角(Angular Misalignment):両軸心の角度誤差
・エンドプレイ(End-Play):軸の軸方向の移動
表13.19.3 に、それぞれのサイズ毎のミスアライメントの許容値を示します(ナベヤカタログより)。
また、それぞれの状態について示したものを、図13.19.4に示します。
表13.19.3 ミスアライメントの許容値
図13.19.4 軸のミスアライメント
(3)表13.19.3に示すミスアライメントの許容値は、偏心,偏角,エンドプレイのいずれか一つのみが発生している場合についてのものです。2つ以上のミスアライメントが複合する場合は、それぞれの許容値は1/2となります。
(4)ミスアライメントは、回転機器の組立、据え付け時に調整しても、稼働中の振動や、熱膨張、軸受の摩耗などが要因になって大きくなる場合があります。そのため、組立、据え付け時にミスアライメントの調整量は、許容値の1/3以下にすることが推奨されます。
参考文献
JIS B1452-1991 「フランジ形たわみ継手」
ナベヤカタログ 鍋屋バイテックHP https://www.nbk1560.com/products/#coupling
引用図表
図13.19.1 フランジ形たわみ継手 JIS B1452-1991
表13.19.2 フランジ形たわみ継手の性能 ナベヤカタログ
表13.19.3 ミスアライメントの許容値 ナベヤカタログ
図13.19.4 軸のミスアライメント ORG
ORG:2018/9/27