22.1 はじめに(フライホイール)
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22.1 はじめに(フライホイール)
フライホイールの機能は、エネルギーが機械が必要とする以上に供給される場合は貯蔵し、機械が必要とするエネルギーが供給を上回る場合は放出するエネルギーの貯蔵庫として機能します。
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[図22.1.1] フライホイール
蒸気機関や、内燃機関、往復動圧縮機、往復動ポンプなどの場合、エネルギーは一工程の間に発生します。そしてこれらの機械は、一工程の間に生成されたエネルギーで全工程動かねばなりません。
例えば、内燃機関の動力は、エンジン負荷よりはるかに大きい爆発工程中にのみ発生します。4サイクルエンジンでは吸入、圧縮、排気工程では動力は発生しないし、2サイクルエンジンの場合は圧縮工程では動力を発生しません。
[図22.1.2a] 4サイクルエンジン
[図22.1.2b] 2サイクルエンジン
爆発工程で発生した余剰エネルギーは、フライホイールのよって吸収されて、エネルギーの発生が無い他の工程でクランクシャフトに供給され、クランクシャフトをほぼ一定の速度で回転させます。フライホイールがエネルギーを吸収するとその回転速度は増加し、放出すると低下します。フライホイールの役割は、速度変動をできるだけ低減することにあります。
打抜き機や、シャーリング、リベット加締機、破砕機などの、動作が断続的な機械では、フライホイールの役割は、これらの機械の動作サイクルの大部分は動力源からのエネルギーを蓄積して、動作サイクルのわずかな時間に放出することにあります。従って、動力源から機械へのエネルギーの供給は、動作中ほぼ一定の速度で行われます。
注記:
エンジンに使用されているガバナ(調速機)の機能は、フライホイールの機能とは異なります。
ガバナの役割は、エンジンへの負荷に変動がある場合に、回転速度を一定に調整することです。エンジン負荷が増加すると、燃料の供給を増やす必要があります。一方、負荷が減少すると、燃料供給を減らす必要があります。
[図22.1.3] ガバナ
このように、ガバナの役割は、負荷条件が変動する際に、エンジンへの燃料の供給を自動的に制御して回転速度を一定の範囲内に保持することにあります。
一方、フライホイールは、一定の速度を積極的に維持するのではなく、回転速度の変動を低減する役割があるだけです。ガバナが、変動負荷により生じる速度変動を制御するのに対して、フライホイールは、エンジンの各動作サイクル中に発生する、旋回モーメントの変動により生じる速度変動を制御する役割を持っています。
参考文献
A textbook of machine design
引用図表
[図22.1.1] フライホイール https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/ee/White_and_Middleton_Engine.jpg
[図22.1.2]a 4サイクルエンジン https://www.makingdifferent.com/wp-content/uploads/2013/06/4-stroke-2.jpg
b ww.cycleworld.com/sites/cycleworld.com/files/styles/large_1x_/public/import/embedded/wp-content/uploads/2015/04/Two-Stroke-590×378.jpg?itok=8O-sCcvJ
[図22.1.3] ガバナ https://2.bp.blogspot.com/-1uVCS5ioVbU/UptuiW-WQII/AAAAAAAAArM/UzqJZViipZM/s1600/01-engine_speed_governor_four_stroke_diesel_thumb.jpg